166 はるばる来たぜ
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《レリトニール公子視点》
おお。龍人だ。角が生えているよ。
しかもエロい鎧姿だよ!
ファンタジーあるあるだけど現実の世界でこれは視線のやり場に困るよ。
「リリューシュ陛下のお姿は、戦闘着ですか? とてもお似合いで陛下のような素敵な人が戦闘服を着ると返って女性らしさが強調されるのが不思議ですね」
あははは。
あれ? 顔が真っ赤に、、、
やっちまった。いくらかっちょ良くってもこの褒め言葉はダメダメだよね。あ、リビエラ嬢が怖い目でにらんでるし。
「公子様。こんなところでは何ですし、奥にお連れしたら、いかがでしょうか?」
はい。はい。そんなに怒らないでよ。リビエラちゃん。
「ああ。そうだね。では龍帝陛下もあなたもどうぞ」
☆
「あっちのお城の方が広いんですけど、戦火で酷い有様でして。ここは仮住まいなんですよ。古い砦をここに持って来てましてね。
外見が渋いので気に入ってるんですが、中は綺麗にしているので。
あははは」
この砦は、レイバーン辺境伯の更に辺境に立っていた壊れかけた古城。昔は前線の補給基地としてそれなりに栄えていたらしいが、なにせ古い。
洗いに掛けたら綺麗になるのだろうがそこは古い遺跡の外見を壊すのはどうかとかそんな前世の知識が邪魔をして、外見はそのままに使っている。
しかし中身は全替した。
俺の物になるようだし、始商王サスティナに聞いたらお金の方は全然大丈夫ですよってことで内装を綺麗にしたのだ。
こっちの世界の大理石は磨きが雑なので魔法を駆使してピッカピカに磨いてみました。
部屋の中は、綺麗な大理石でピッカピカです。
家具は、テンシラーオンから持って来た。
え? 誰が持って来たかだって?
俺自身がだよ。俺の我儘なんて誰も聞いてくれなかったのさ。みんな全力で首を左右に振って否定してたよ。
二、三日かかってもいいから家具を取って来てって頼んだだけなのに。
リビエラ嬢にも自分で取って来てくださいって言われちゃったし。
リールセラートって産業が無いんだよね。ディーガ王国の方がまだ大分ましだよ。ここは農業国だったんだね。
家具は、走って寮から取ってき
たよ。何しろリールセラートの家具はどうもいただけないので。
あの宰相のエクセルとか言う馬鹿は、俺が王城を攻める少し前に、王家を皆殺しにしたらしい。
スタンピードを起こそうとしたり、神を怒らせてみたりとめちゃくちゃする奴らだったが、実は謀反を計画していたとは驚きだった。
そんな混乱の中、タイミング良く? 俺達がやって来たわけだ。
宰相は、国王を殺したのが俺のせいにしたかったようだが、さすがに無理だったようで、彼と一緒に捕らえた他の忠臣達に断罪されたりして俺に汚名を着せることに失敗してしまったのだ。馬鹿である。
策士策に溺れる。
しかしこの馬鹿は、予期せぬ俺の攻撃に面食い、俺達が城に突入しようとした時に王城に火をつけて逃げようとした。そのため被害を拡大してしまったのだ。
自分たちだけ助かろうとするどこまでも卑劣な奴らだ。
俺がしたのは王城の各所の城壁を壊して人が逃げるお手伝いをしただけだ。
戦争のために首都を空けていたが、貴族達が急を聞いて駆けつけてみれば王城は惨憺たるもので、国王をはじめ王位継承権者は宰相のエクセルとその子供だけになっていたのだ。
しかもそいつら全てが俺に囚われているし。
さらに王都には見たこともない古いとはいえ立派な砦が建てられており、その砦には俺の家の家臣団と辺境伯軍の約一万の兵が駐留している状況だ。
戦争を仕掛ける馬鹿な貴族もいたが、剣王一人で壊滅してましたよ。
瞬殺ね。
もはや、国を存続するのは無理となり、リールセラートの貴族達は、俺達に泣きついて来た。
俺はリールセラート王国をラッシート王家、テンシラーオン大公家、レーベン辺境伯家の三家に割譲する案を主張したが、結果として俺個人に3分の2。残りを王家と辺境伯で折半することとなった。
元リールセラートの貴族達は、俺達の騎士団に編入されることになった。
女王様とレーベン辺境伯(あゝ今はレーベン公爵に陞爵したんだっけ)は、どうするのか知らないが、俺は面倒くさいので所領はそのままで、さすがに爵位をそのまま使うのは無理らしいから全て騎士爵として俺の家臣団に編入し、所領はそのままにしてある。
働きしだいて所領をどうするか決めるとか言っているが特に変更するつもりはない。
税金も取るつもりは無い。
賢王リビエラ嬢は、内政を内政をと矢のような催促であるが、面倒くさいのでリビエラ嬢に任せるつもりだ。
元ディーガ王国は、メーラシアが女王となり復国されることになった。めでたしめでたしだ。
で、今日は隣の大国ケーセシャリー帝国の龍帝がお尋ねになったのだ。
こんなに混乱している上に学園に帰してもくれないほどに忙しいのにだ。
疲弊した国土でも狙って来たのかよ! なんて想像したくなるよね。
☆
「外とここは随分雰囲気が違うのですね」
龍帝が目をキラキラさせて言った。
「えっと。僕はテンシラーオン公の嫡子レリトニールです。こちらは我が家の最大の貴族でリューペンス伯爵のご息女のリビエラスト嬢です。
で、今日はどのようなご用向きでいらしたのです?」
自己紹介くらいしてよって意味ですよ。
「突然の訪問、失礼と承知しておりましたがお許しください。
こちらに座すお方は、ケーセシャリー帝国の龍帝リリューシュ陛下でございます。わたくしは、ケーセシャリー帝国の守護龍の息女で龍王スーザリアンと申します。
前の国王からは入国を許して頂いておりましたが、大丈夫でしょうか?」
え? このツノ娘は龍なの? かっけー。最高じゃん。
「ご用向き次第ですが?」
俺が大歓迎と答えようとしたら横からリビエラ嬢が邪魔をした。
「あゝ。そうですね。わたくしの父上、守護龍ゴーダガルーズは、予知の能力を持ちます」
「ほう。予知能力を」
「はい。そして父ゴーダガルーズは、龍帝リリューシュ陛下に、ここの城主と仲良くするように予言したのです」
おお。こんな素晴らしい女性たちと仲良くね。
「仲良くとはどのような意味なのでしょう?」
おお。リビエラ嬢は容赦がない。
「いや。そこまではわたくし達にもわからぬのじゃ。しかし仲良くするにはまず会わねばならないだろう?」
龍帝が答えた。
ほう。なんか天然な方?
「我が主人は、見ての通りご婦人方からとても人気があるお方です。龍帝陛下自らおいでくださったのに不敬であるとお怒りにならないで頂きたいのですが、簡単にはいありがたくとはいかないのです」
あれ?
どうしてリビエラ嬢が断っているの?
彼女のことだから恐らく何か考えがあるのかな?
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