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017 やっぱりおかしい

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《従者アイリス視点》


 おかしい。


 公子様が凄いのは最初から分かっていた事だ。


 しかし、公子様のレベルと実力はどうしても乖離していると言わざるを得ないのだ。


 わたくしは、正式な公子様の従者とはいえ、さすがにステータスの事を根掘り葉掘り聞くのはマナー違反だ。しかし想像を絶する活躍をされた時などは、レベルを聞かずにはおれない。


 公子様は、「サブ職業の転職によりレベルリセットされても気合いでステータスを維持する、、、」なんて冗談をいつも仰っておられるが、そもそも教会に行かずにサブ職業を付け替えるなんてできるはずもないのだからそれは冗談だと分かっている。


 まぁ、度々レベルを聞かれる度に真剣に答えて頂けないのは仕方がない。


 レベル4だとか今レベル12になったなんて冗談ばかり仰られるのは仕方がない事だ。


 しかし、つい最近の事。レベル100が俺の上限だ。などと言う明らかな冗談を仰ってわたしにステータスボードのレベルを見せてくださった事があった。あの時は確かにレベル100だった。


 恐らくその後、何度かレベルアップされたはずだが、わたくしのレベル280よりも上と言う事はないだろうとわたくしも想定している。


 なら、どうして公子様は、あのようにバターナイフでバターを切るように聖剣を扱う事ができるのだろうか。


 確かに聖剣は、硬い。魔力を通せばなんでも切れる伝説の武器だ。しかし、それはあくまでも勇者となったらの話だ。


 聖剣は持つ者を選ぶと言う。公子様は、勇者に相応しい方なので聖剣に選ばれるのは理解できる。だが持つ事ができるのとちゃんと能力を全て扱う事ができるのとは別の話なのは魔法武器を操るわたくし達のような高ランク冒険者なら常識である。


 勇者にジョブチェンジしていないのに聖剣の能力を完全に発揮する事などさすがにあり得ない。


 つまり公子様は、聖剣を魔法アイテムではなく普通の剣として扱われているはずなのだ。そしてAランク魔獣をバターのように両断して見せるのだ。


 どれだけの膂力と俊敏、器用さと技術力を持っていおられるのか、ステータス、剣術、体術、技術などのスキルをどれほど駆使しておられるのだろう。


 わたくしも公子様にあやかって、魔法剣の力を借りずにAランク魔獣バフォメットを公子様のように両断しようとしてみたが全然無理だった。


 技術は、レベルやスキルを凌駕する。とはいにしえの大賢者が仰ったことだ。大賢者の存在は御伽噺と思われており、この言葉には大きな意味は無いとするのが大人の考え方である。ところが公子様はこの御伽話を体現して見せてくださっているような気がしてならないのだ。


 最近では、剣王のわたくしでも剣で公子様とまともに戦う事はできないのは公子様の動きを見ていたら分かる。


 国で一番剣術が強い人を神々が剣王にすると言うのが定説だが、公子様を見ていると違うとしか言えない。


 ダンジョン漬けの毎日の後、公子様から剣の稽古をと所望されたとき、わたくしは、疲れを理由にお断りしたことがある。恥ずかしながら剣王の称号が無くなるのが怖かったのかもしれない。


 それから公子様からの稽古のお誘いが無くなってしまったことは、寂しいことだが、少しだけ安堵したと言うのが正直な気持ちである。


 ずっと公子様から格上扱いして頂いていたが、もはや明らかに格下。稽古の相手もままならない程に実力差がついてしまった。


 わたくしは、誰から聞かれてももはや公子様には足元にも及ばないと明言しているし、世間でも公子様の実力は、ある程度は知られているが、本当の公子様の凄さを知るのはわたくしだけだ。


 最近では、最深層500層のボスを周回してしまわれる公子様だ。


「アイリス。そろそろ難易度のもう少し高いダンジョンに行かないと、手応えが無くなってしまったね」


 なんと『嘆きの壁』と呼ばれるほどに難易度の高いこのダンジョンを手応えが無いと仰る。


 この方はどこまで行かれるのか。わたくしが付いていけるのか。もっともっと努力せねばならない。

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