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152 機械仕掛けの神はかく語りき

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《風聖デュークの視点》


「はい。行くぞ! 剣聖ノイツ、イールド。付いてこい。風聖デュークは後方支援を頼むぞ。ケーレン隊長は人質を」


 槍聖シュレディが走りながら命令した。


「了解。無理すんなよ。シュレディ」


 俺はそう言うとその場で魔力を練り上げた。


 俺の得意なのは風属性魔法だ。俺の一族は大抵そうで、親父も風豪だった。


 俺の称号は入学当初は風達だった。今では風豪を飛び越して風聖になったわけだ。


 そんなのは聞いた事がない。


 それも全ては公子様と剣王アイリス嬢のおかげだ。


 あの時、ダンジョンでレベル上げをしてくれなければこんな称号などとても授けてもらえなかっただろう。


 槍聖シュレディは、ノイツとイールドの二人の剣聖を引き連れて敵部隊に突撃して行った。


 俺は人質に被害が及ばないように小規模な爆風魔法を多数発動させてに敵部隊にぶつけた。


 敵部隊にも魔法の使い手はいたようだが、さすがに全ての爆風は防げなかったようで大混乱に陥っている。


 そこに槍聖と剣聖達が飛び込んで行った。たった三人であるが、聖級の武人が三人も飛び込んできたのだ。


 瞬くうちに敵兵は倒されていった。


 そしてケーレン隊長が率いる三百人の辺境伯軍が飛び込んでいって、人質は見事に解放された。


 敵軍は三人の聖級武人に大混乱されられていた。


 その間、守護聖獣ガーディーサマルが森の奥の方に降臨した。


 手筈の通り剣王アイリス嬢が物凄い速度で守護聖獣ガーディー・サマルに向かって走って行くところが見えた。


 あんな巨大な獣神に敵うはずがない。しかし剣王アイリス嬢は手にした剣を巨大化し、あの巨大な神獣に充分戦う事もできそうに見えるのは気のせいだろうか?


 木々の中に剣王アイリス嬢の姿見は見えなくなったが、巨大な剣だけが見えており、ガーディーサマルが三つの首をくねらせて剣王の動きを追って見ていることが伺えた。


 剣が大きく振りかぶられ、目にも止まらぬ速度でガーディーサマルに振り下ろされた。


 剣が獣神に激突すると、眩い閃光が走り轟音と共に大地が震えるような振動が起きた。


 鋼鉄の剛毛に覆われていると聞くが剣王アイリス嬢の剣技の威力は充分にあの怪物に効いているように見えた。


 なんて攻撃だよ。


 これを公子様は素手でうけたってんだからよくも死ななかったもんだ。


 ガーディーサマルの三つの狼の頭がバラバラに動き、それぞれの口が大きく開かれると青、赤、黄色の閃光を不規則に吐き出した。


 そのブレス攻撃が当たった場所には爆煙が吹き上がり、その攻撃力の大きさを示していた。


 剣王、大丈夫か?


 俺が心配なって見上げていると、剣がもう一度ガーディーサマルに向かって振り下ろされた。


 先程よほどよりも眩い閃光と大きな爆発音、それに振動が森林を揺るがした。


 ん?


 それほど凄い攻撃だったのに、剣の攻撃はそれで終わらず更に振り上げられた剣が逆側にくるりと巡らされるとそのまま振り下ろされたのだ。


 インパクトの瞬間の閃光と爆発音。


 更にその反動を利用するかのような滑らかなカーブを描いて反対側にくるりと巡らせられるとそのまま振り下ろされた。閃光。爆発音。鳴動。


 そしてまた同じように反対側に。


 しかも剣の速度は次第に速度を増しているように見えた。


 剣王アイリス嬢はなんという攻撃をするのか。人間技とはとても思えなかった。


 そして最後に一際、剣が膨れ巨大化されると、さらに大きく振りかぶられ、より強いインパクトが容赦なく叩き込まれるや、遂にガーディーサマルの巨体が緩やかに倒れて行くのが分かった。


 あんまりな攻撃に俺だけでなく敵味方の兵士達、村人も目の前の人知を超えた戦いに唖然としつつ立ち尽くして口を大きく開けてただただ見とれていた。


 山のような獣神が横倒しになって倒れて行く様はもはや現実のものとはとても思えなかった。


 ドドドドーン!


 ガーディーサマルが横倒しなって地響きが起こり地面を地震のように揺るがした。


 その時、敵の兵士達が悲鳴をあげて逃げ出して行ったのだった。


 ついに剣王アイリス嬢は、守護聖獣ガーディーサマルを倒してしまったのだった。


 世界がひっくり返るほどの大騒動の後、音一つもない静寂が森を支配していた。


 しかし、その静寂は、それほど長続きはしなったのである。


 天空の遥かな彼方から一条の光がガーディーサマルに向けて放たれ巨大な獣神の全身を燦々と照らし出したのだ。


 するとガーディーサマルは、重さが全く存在しな無かったのかのように宙に浮き上がり次第に速度を上げながら天に向かって飛んで行ったのだった。


 ガーディーサマルが見えなくなり、天から降り注ぐ光が消えると元々ガーディーサマルがいた所に巨神が立っていた。


 それは正に巨神だった。その大きさ、威厳のある様、身体全身から溢れます神々しさ。それら全てがその巨大な存在が神であることを示していた。


「人間よ。よくぞその域に達した。我はユーリプス。我と剣の試合を致す覚悟はあるか?」


 なんとこの巨神は、剣神ユーリプス様だと言う。そして口にされた内容からすると、これは伝説に聞く神々への挑戦の儀式に違いない。


「わたくしごときが神々に挑戦するなど烏滸(おこ)がましいこと。わたくしには貴方様に挑戦する資格は有りません」


 剣王アイリス嬢の答える声が聞こえた。


「ガーディーサマルの三重ブレスを避け、剣にて倒した。それだけで我に挑戦する権利を有する。何よりも我が扱え無かった剣を自在に扱っていることこそが挑戦に値する証である」


「いえ。わたくしは貴方様に挑戦する資格を持ちませぬ」


 頑なな剣王の言葉に、剣神ユーリプス様は、怒りを露わにされた。


「ならば禁忌の聖域を犯せし罪人として我剣にて成敗するまで」


 そう宣言された瞬間。神は剣を振り抜かれた。


 神速。


 あまりにも早い時、そんな言い方をするが、本当の神の剣速は、目にも止まらないものだった。


 しかし、剣と剣が激突する金属の音が鳴り響いた。


 俺はその音を聞いて、剣王アイリス嬢がその神の一撃を剣で受け止めたのだと少しだけど安堵した。


 ところが次の瞬間、剣王アイリス嬢が物凄い速度で森の奥から飛んできて俺の真横をビューンと音を立てながら飛んで行ったではないか。


「アイリス嬢!」


 俺は叫ぶと咄嗟に剣王アイリス嬢を風魔法で受け止めようとしたがあまりにも早すぎたため、完全に速度を殺すことまでは叶わなかった。


 俺は脇目も振らず剣王アイリス嬢の飛ばされた方に走って行った。


 しかし背後に降臨した剣神様をどうしたらのいのかなにも頭に浮かばなかった。


 もし、剣神ユーリプス様が追撃してきたら俺も含めてただでは済まないだろ。

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