148 やべぇわ
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《レリトニール公子視点》
やべぇ。
俺はアイリス嬢の斬撃を避けようとして、身体はもう結構右に大きくずらしてしまっていた。
これなら斬撃を避けるのは造作もないはずだったのだ。
ところが、俺の避けた背後に人の気配がある事に気付いたのだ。
アイリス嬢のこの斬撃の通り道にちょうど入っている。
この態勢では何もできない。勢いよく身体を投げ出してしまっているため、急停止なんてとてもできそうにない。
どうする?
すっ飛んでいく身体を元の位置にもどすには?
俺は咄嗟に邪魔な刀を放り投げ捨てると手のひらを開いて方向を調節してロケットの噴射よろしく爆発魔法を発動させて俺を元のところに飛ばすことにした。
進行方向を逆転させるのだ。
うまくいくか?
手のひらに爆発。強い衝撃で身体が吹き飛ぶ。
想定通りに身体はアイリス嬢の斬撃の射線のど真ん中に戻ったものの、さすがに身体もへんな回転をしており、成功とは言えない。
これでは魔法を使うこともアイテムボックスから別の武器を取りだして剣王の斬撃を止めるのも無理そうだ。
咄嗟にできたことはアイリス嬢のスゲェ斬撃を両手で受け止めることしかなかった。
根性!
俺は両腕を顔の前に掲げるようにしてアイリス嬢の斬撃を受け止めた。
凄い衝撃に両腕が酷いことに、、、今まで感じた事もない痛みに意識がぶっ飛びそうになる。
アイリス嬢の斬撃の威力を殺すため態と吹き飛ばされてみたが、そんなことぐらいではアイリス嬢の斬撃の威力は少しも和らげることはできなかった。
両腕はもう見るも無惨な状態だし、さらには守り切れなかった右半分の顔面もボコボコの酷い状態になってしまった。
その瞬間、アイリス嬢の悲鳴が聞こえた。
必死で意識を保ちつつ全身に治癒魔法をかけまくった。
そのおかげでズタボロでもぎ取れそうになった右手がギリギリ繋がり、見えなくなった右目も少し物が見えるようになった。
意識が飛びそうな中、自分に回復魔法を何度もかけた。
実は今のこの状況は、想定済みだったりする。
モブな俺はいつこんな事になるか分からないから、傷を負って意識が無くなりそうになったら無意識にでも回復魔法をかけまくるって訓練を徹底的にやったことがあるのだ。
その特技。必死で練習したのだが、本当の意味で役立ったのは今回が初めての経験だ。
そうしながらも、俺は凄い勢いで吹き飛ばされていた。
絶対にダメでしょって言われるような反対に曲がったような無惨な手足になりつつ、地面の上を、何度もバウンドしていた。
その度にどこかしこが骨折するような嫌な音が連続で聞こえた。しかしその度に回復魔法で治っている感じだ。
なんともこんなタイミングで本気のアイリス嬢の斬撃を受けるなんて。格下の俺が偉そうに剣王様に忠告しようなんて考えるから手加減してくれなかったのだ。
反省だ。
強かに後頭部を打ちつけ、また意識が飛びそうになる。
回復魔法を連続で発動しているが、無意識に近い今の様な状態でも使える超初級の回復魔法なのでなかなか治りが悪い。
ようやく地面の上を転がるのが止まったようで損傷よりも回復が上回り始めたようだ。
変な方向に曲がっている手足を根性で無理矢理伸ばすとまたまた意識が飛びそうになった。
ようやくアイリスが俺の横にまで辿ろついた。た
「ギャー。公子様。手が変な方向に曲がっています。誰か! 助けて!」
アイリス嬢が見物している皆に助けを求めたようだ。
俺は意識が飛びそうになるのを必死で耐えて自分の手足を無理矢理引っ張った。
「アイリス嬢。泣いてないで、俺の右足を引っ張ってくれ。そうしないと変な癖がついてしまうかもしれないんだ」
「公子様。少し待ってください。直ぐに大聖女様が来られますから」
アイリス嬢の叫び声に、ああ、そうか皆がいたんだと思い出した。皆がいれば大丈夫だろう。そう思いながら俺は遂に意識を手放しのだった。
ダダダダダ!
何かが駆け寄ってくる音だけが意識の中でこだましていた。
何か白いものが見えたような気がした。
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