145 化け物ばかり
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《大剣士、剣聖イールド・イッシューラッツの視点》
風聖のアドリューの奴が余計なことを言うので剣王アイリス嬢と公子様が勝負をすることになった。
辺境伯の野営地の中でそんなこともできないので少し離れたところでの勝負となった。
興味津々と言う感じで辺境伯をはじめ主だった騎士が見学についてくることになった。
「いやいや。大切な司令官が抜けたらダメでしょう」
公子様が指摘させていたがシュレディの親父のレイバーン辺境伯は。
「こんな絶好の機会を外せぬよ」
と否定しておられた。
ゾロゾロと付いて行くと剣王アイリス嬢が。
「皆さんはこの辺で見物してください。ここなら斬撃も被弾しないでしょうから」
と皆の足を止めて、公子様と二人で楽しそうに語らいながらズンズン離れて行った。
何を話しているのか聞いていると剣の形がどうとか『かたな』がどうとか。剣の話に花を咲かせていた。
戦う前に緊張感は皆無だ。
「あんなに離れちまったらよく見えないぞ。こんなに距離を取らないといけないのか?」
レイバーン辺境伯が怪訝な顔になって尋ねた。
「父上。まぁ、見ていてください。あのお二人の戦いは我々凡人の想像を絶していますから。
二人の間合も数十メートルほどもあるでしょう。アレがあの方々の間合いなのですよ父上。我々の考えるようなのとは全く次元が違うのですよ」
槍聖シュレディが自分のことのように自慢しているのがおかしい。
「はじまりますぞ」
蒼龍騎士、剣聖ノイツがそう発した時。
剣王アイリス嬢が剣を振るったのが遠目からもはっきりと見えた。
その剣撃は、明らかに未熟な私や剣聖ノイツなど会得していない高位技だと悟った。
「おお。初撃からグレートインパクトですか?」
「蒼龍騎士、剣聖ノイツ卿は、あの技を知っているの?」
私は興味を持って尋ねた。
「いや。聞いただけだよ。溜めが長くて使えない技だと剣王アイリス嬢は言っておられたけどね」
確かに技が発動してからの溜めは長いようだ。
公子様は承知で受けられるようだ。
「おお。剣が大きくなったぞ」
剣王アイリス嬢の魔剣は自在に形を変える魔剣だ。あんな物は我々に扱いきれぬ。
それを剣王アイリス嬢は、愛剣として使いこなされているようだ。
何十メートルにもなった巨大な剣が振り下ろされた瞬間爆発が起こった。
これだけ離れて見物している我々が吹き飛ばされそうになる爆発だ。
思わず私は身構えて目をつぶってしまった。剣士として失格である。
「大変だ。公子様。あんなのをまともに受けたぞ。大聖女リリーアージュ様、ささ。回復魔法をかけに」
あまりの攻撃に慌てたレイバーン辺境伯が直ぐに対応しようとした。
緊急時の対応力にさすがだと感心した。
「父上。あれくらいで公子様がどうにかなるよなこともありませんよ。どうにかなるならまともにお受けになられるはずがありませんから」
おい槍聖シュレディ。笑いながら言ってるけど顔が引き攣ってるよ。
本当に大丈夫なのか?
爆発の影響で舞い上がった砂煙が落ち着くと剣王アイリス嬢の二撃目が振るわれるところだった。
こんなに遠くから見学しているのに剣速が見えないほどの速さで振り下ろされた。
剣の長さもとんでもなく長い。
公子様は大丈夫だったようだが、なんとも桁外れな戦いだ。
「おお! どうやら大丈夫だったようだな。しかし剣王アイリス嬢は、あんなにも長い剣をよくもあれだけの速度で振るえるものだな。さすが剣王」
レイバーン辺境伯が驚きの声をあげた。
同感だ。
あんなの巨大な剣を操るなんて信じられない。
さらに剣王アイリス嬢は、三撃、四撃、五撃、、、、連撃が繰り出した。
それを公子様は淡々と受けてらっしゃった。
しかし遠くてよく見えないが公子様は笑顔のように見える。
「暗殺王エーメラルダ嬢。公子様は笑っておられるか?」
賢王リビエラ嬢が、遠目のスキルを持っている暗殺王エーメラルダに尋ねた。
「はい。お二人とも笑顔ですね。あれは試合では無いのでしょうか? ああ、剣の強度を確かめると仰っておられますね」
「ん? 暗殺王はあんなに遠くの声が聞こえるのか?」
「いえ。唇を読みました」
はあ。レリトニール公子様の従者の皆さんは化け物ばかりか?
いつも読んでくださってありがとうございます。
本日は用事がありたぶんこれが投稿の最後になります。すみません。
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