144 最上位奥義グレートインパクト
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《剣王アイリスの視点》
わたくしは、愛する光の公子様と勝負することになった。
「ここには大聖女リリー嬢もいるから多少の無理をしても大丈夫だろう。真剣でやろうか」
公子様が腰に下げていらっしゃる豪華な剣の柄頭を叩きながら言った。
その剣は聖剣グランファードだ。
公子様は、普段その剣を使われることは少ないがそれは剣が苦手だからではない。
むしろ公子様は剣がお好きだしむしろ剣技を愛しておられる。何しろ真っ先に剣技のスキルを取得されたほどだ。
公子様は独特の剣技を振るわれる。何よりも剣速を重視される。
これは細剣風の戦い方だが、公子様の剣は剣速がとてつもなく早いだけでなく重厚で容赦のない重剣の威力を秘めている。
わたくしの理想の剣でもある。
公子様は兜割とおっしゃって魔法のエンチャントの掛かったヘルメットを両断して見せてくれたことがある。
公子様によるとインパクトの瞬間に微妙に引くそうだ。
最初は意味が分からなかったが図解して説明してくださったが滑らかに見える刀身の刃が実際はギザギザになっており引くことで切れるのだそうだ。
それをカミソリを使って説明してくださった。カミソリを引かずに真っ直ぐに切り下ろしても切れない。ゆっくり引いてこそ切れる。笑顔で説明してくださったがそれは恐ろしいデモンストレーションだった。
お父様に子供の時に習った叩きつける剣とは全く違う発想の攻撃方法であり、鉄をも切断する技術だった。
だからだろう公子様の剣は踊りのように流れるような動作でとても美しい。
いえ。完璧すぎる所作は踊りように綺麗になるのだろう。
公子様がさらりと剣を抜いた。
それは前に見た聖剣グランファードと全く別物の剣だった。
見たことの無い婉曲した片刃の剣は湾曲刀に近い形をしていた。
「公子様。剣の形状が変わりましたね」
「うん。これは『かたな』って言うのさ。鍛治聖エカテリーナ嬢と一緒に刀を打ち直していたらこんな形になったんだよ。
この先っちょで、こうやってちょこんと切るんだよ。だから先の方が細く鋭利で婉曲してるんだよ」
公子様は剣を振りつつ『かたな』の特性を説明してくれた。
「美しい剣です。ですがわたくしのこの剣とやり合って大丈夫なのでしょうか?」
わたくしはまだ鞘から抜いていない魔剣を見ながら言った。
「大丈夫だよ。試しに最強技で打ってごらん」
公子様がそう仰るなら本気の一発を放とう。
わたくしは、剣技の中でも最上位の奥義グレートインパクトを発動した。
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