142 そっち行ったらダメだよ
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《天の視点》
ここは、ラッシート王国領内にある特に名もない村落。
この村落は、旧ディーガ王国との国境付近にある。
セバートス地方と呼ばれる場所には、リールセラートの要塞メドジールがあり、その要塞に向かって布陣するレイバーン辺境伯軍のがこの村落のほど近くに野営していた。
村落の人達は近くで戦争しているとも知らないような平和な何もない村落だった。
その村落の北辺。更に国境に近い山道を二人の男の子と女の子が歩いていた。
「お兄ちゃん。あっち行ったらダメだよ。神様の森があるんでしょ」
「馬鹿だな。神様の森なんてずっと北の方にあるんだ」
「でも近づいちゃけないって」
「なんかあの山から向こうは別の国だとか聞いたことがあるからかな?」
「え? 別の国?」
「よくわかんないけど、神様の森と俺たちの村との間は空白地帯っていってたかな」
「くうはくちたい? どう言う意味?」
「知らないよ」
「あ。お兄ちゃん。人がいるよ」
二人が見つけたのはリールセラートの諜報機関の兵士だ。
「よう。お嬢ちゃんたち。君たちのお家はどこかな?」
「あっちだよ」
「あ。ばか教えちゃダメだよ」
「ほう。坊主は頭いいね。お兄さんは敵の兵隊だからね。これなら坊主たちのお父さんお母さんたち大人を捕まえてあっちの禁忌の森に連れていくからね。
そんであっちを見てごらん。あっちに行ったらお前たちの味方の兵隊さんたちたくさんいるはずだから村を助けてって頼みに行きなよ。
早くしないとお父さんやお母さんが死んじゃうよ。それ行け!」
その兵隊は弑虐的な男なのだろう。ニヤニヤ笑いながら脅かした。
可哀想な少年と女の子はその兵士に言われるままレイバーン辺境伯が駐屯するところへ向かったのだった。
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