139 天才軍師って? 2
続きです。
《レリトニール公子視点》
「これは閣下。こちらからご挨拶に行かねばならないのにわざわざお出迎えしてくださるとは。ありがとうございます。
テンシラーオンのレリトニールと申します」
「何を申しておられる。大公爵様のご子息様が。お出迎えするのが当たり前です。
にしても聞きしに勝る男前ですな。だが大公爵家の公太子ともあろうお方がこれだけの人数で?」
「いえ。僕は今回は裏方なので閣下は気になさらず。軍勢は後から女王陛下が率いてまいりますから。僕は軍糧を運んできただけです」
「軍糧とな?」
「はい。アイテムボックスにて運びました。ここに置いてもよろしいですか? それともどこかに保管したほうが宜しければそちらに運びますが」
「ここでも構いません。なるほど。軍糧をね」
なんか一人で納得してうんうん頷いているよ。何?
まぁいっか。
俺は大男の辺境伯様を放って置いて。
「すみませーーん!」
大声で叫んだ。
何事? みたいに辺境伯軍の皆さんがこっちを見ている。
「ここに軍事物資を運び込んできました。すみませんがそちらのテントからあちらのテントまでの範囲にいらっしゃる皆さんは出てくださいますか?」
辺境伯軍の皆さんは少し驚いたが、俺の横に辺境伯がいるのを見ると急いでその範囲から立ち退いた。
んじゃ。
よいしょっと。
ドバーーン!
アイテムボックスの中身をその範囲の右半分に出した。
「んじゃ皆も集めた軍事物資を出して。出して」
Sクラスワンにお願いした。
次々に皆がマジックバックから物資を出していく。
皆はまだ、俺のようにマジックバックの扱いに慣れていないので、いっぺんには出せないので多少の時間がかかる。
「辺境伯閣下。すみませんお時間を取らせて」
「は? あ。いや。どうなってるんです?」
辺境伯がなぜかギクシャクとした動きで尋ねてきた。
「え? 軍事物資を運んだだけですよ。後方物資は一番の重要事項ですし」
「え? いやそんなことでは、、、」
そこまで辺境伯は呟くように言うと丁度、物資を置いてきた息子の槍聖シュレディに気付き、慌てて駆け寄った。
「シュレディ。これはどう言うことだ? こんな軍事機密を皆の前に晒しても良いのか?」
捲し立てるように言った。
槍聖シュレディは、やれやれって感じで肩を竦めると。
「父上。こんなの序の口ですよ。公子様と一緒にいたらこれぐらいでは全然驚かなくなります。
それに、これはそこそこの軍事機密だと思いますけど。いまさらですし。それにこれぐらいね」
そう言うと槍聖のシュレディはもう一度肩をすくめて見せた。
「お前はなにを言っておるんじゃ」
辺境伯が叫んだ。
偉丈夫の辺境伯の迫力は凄かった。
「申し訳ありませんが、ここではちょっと」
槍聖のシュレディは、どこ吹く風と受け流して答えた。
「お、お前。なかなかの顔をするようになったの。分かった。
後で納得するまで説明せよ」
「承知しましたが、実際に見ても信じられないことばかりですよ」
と、槍聖のシュレディが言った。なんか格好いい。
でも見ても信じられないってどんなことなんだろう?
俺も聞いてみたいが親子の会話には入れないよね。
(他人事の様に思うレリトニールだった)
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