130 欲しい
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《始商王サスティナの視点》
あ。獣拳聖レオン様。素敵なバックを渡されて有頂天だわ。
でも高価なマジックバックなんてさすがに王子様でも持ったことがないのか。
わたくしも公子様がアイテムボックスから出されたマジックバックを持ちたいな。
あんなデザインのバックなんて見たことない。素敵。
あれはマジックバックでなくても相当高価なはずよ。素材はヘルベアーと煉獄ディアーにファルファング。どれも最上級の皮革だもの。
でもわたくしはアイテムボックス待ちだから持たせてはくださらないわね。残念。
へ? 鍛治聖エカテリーナ公女様ったら何を言い出すのかしら。
あんな貴重な物を買うつもりなの?
え? あのマジックバックって公子様の手作りなの?
欲しい!
欲しい!
欲しい!
わたくしの全財産をはたいてでも欲しいわ。
性能。
五千トン?
五十万立方メートル?
さらに五万倍の遅延魔法ですって?
国宝級どころか、伝説級を超えて神話級のアーティファクトじゃないの。そんなの買えるわけないわ。
ただの王宮なんかと比べ物にならないもの。
あ。
また公子様はそんな甘い言葉を。それはめちゃくちゃですぅ。
エカテリーナ様。完全停止しちゃいましたわね。あんなこと言われたら。わたくしなら心臓が止まってしまうもの。
お羨ましいこと。
「公子様。そのバック。わたくしも譲ってくださるわけにはいきませんか?」
あ。心の声が出てまった。
「ああ。そんなに気に入ってくれたら嬉しいな。みんなにプレゼントしよう」
え? こんな高価なものを?
「こんな高価な物を頂く訳にはいきません」
「原料もタダだし。そんなに大したもんじゃないから。貰ってくれたら嬉しいな。好きなのを選んでよ」
公子様がマジックバックをたくさん取り出された。
成り行きを見守っていた皆さんも目の色を変えてバックを見ているわ。
これは遅れをとっては。
「「「「「きゃー」」」」」
わたくしは目当てのバックに飛びつきましたわ。
ぜぇーはー
せぇーはー
あ。はしたなかった。恥ずかしい。
でも良かった。
誰もとろうとなさっていなかったの?
身分の差があるから取り合いになったらお譲りしないといけないのに。
いえ。違う。
あの瞬間。公子様はバックをそれぞれ皆に分けるようにして渡されたのだ。
皆さんも飛びつくような感じだったのに誰にも衝突しなかったもの。
公子様が皆の視線を見て、皆様の手に直接手渡していたのだわ。
わたくしはその恐ろしさに気付いてしまった。
これが攻撃だったとしたら公子様は一度にこれだけの人数からの攻撃に同時に対応できるってこと。
あの数の魔物を瞬殺していたのを思い出した。
さすがですわ公子様。
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