129 ばふっ
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《レリトニール公子視点》
ふふふ。
あんな多勢で来たのかと言われたら恥ずい。
だから部隊は女王様に任せて本来の任務につくぞ!
誰に言い訳してんだよ!
「公子様。本当に良かったのですか?」
良かったにきまっている。馬に乗って行軍など真平だ。
「アイリス嬢。俺はまず馬に乗れないのは知ってるよね?」
「はい? またお冗談を。とてもお上手じゃないですか」
「は? いつ僕が馬に乗ったって言うの?」
「はい。クレムに向かうときも、セベに向かった時も優雅にお乗りになっておられましたよね」
「あれは乗馬なんて言えないよ。馬の鞍にまたがってただけだよ」
「はい? あんなに早く飛ばされていたじゃないですか」
「ええ? 早かったためしなんてないよ。走った方が百倍速いよ」
(レリトニール公子は戦闘モードになるとステータスの影響から素早くなります。ちなみに慣れない馬に乗ると戦闘モードになっていることにレリトニールは気付いていません。馬の速度が我慢ならないほどに遅く感じてしまうんです)
「まぁそうですが。公子様の馬上のお姿もとても素敵ですが?」
「ありがとう。アイリス嬢」
良い娘だねぇ。
この娘はこんなに可愛いのにあんなに強いなんて誰も思わないよね。
「さてお嬢さん達と野郎共。用意はできた?」
「「「「「「はい」」」」」」
Sクラスプラスワンと彼らを呼ぶとしよう。
メンバーは一年Sクラスとリビエラ嬢だ。
「我々は、馬に乗らずに強行する。任務は荷物持ちだ。幸い僕を含めてここにはアイテムボックス持ちがたくさんいる。
それとこれは用意したマジックバックだ。
アイテムボックスのスキルがない者はこれを持って」
「公子様。こんな高価な魔法具を行軍に使ってよろしいのですか?」
「獣拳聖レオン君。君は甘いねぇ。マジックバックがいくら貴重でも使ってこそなんぼの魔法具だよ」
俺が作った粗悪品だし。あんな高価な物は触ったこともないからどんだけ入んのか知らんけど。
「これは特別に用意したマジックバックだから。性能は秘密にして欲しい。入るだけ入れてくれ」
「公子様。これはどちらの工匠が作られたのでしょう。わたくしにご紹介いただけませんか?」
ぎく!
さすが鍛治聖エカテリーナ公女。
「やはり分かる? 僕の作ったなんちゃってマジックバックだよ。そこそこ良い素材で作ったんだよ」
「これは何の革なのでしょう?」
「ああそれは嘆きの絶壁でこの間狩ったヤツ。ヘルベアーかな?」
「なるほど。公子様はあのスタンピードで魔物の素材もゲットされていたのです?」
「もちろんだよ。生き物は無駄に殺すべきじゃないからね。もったいないから。入るだけアイテムボックスに入れるんだよ」
全部入れたけど。まぁアイテムボックスの中じゃ腐らないしね。
「なるほど。それでこれほど素晴らしい手触りなのですね。しかし公子様の手作りとは。
是非わたくしのコレクションに加えたいのですが譲ってくださる訳にはいきませんか?」
「そんなものでよければどうぞ」
「ありがとうございます。ちなみに性能は秘密と仰っていましたが、どのような性能なのでしょう?」
「ああ。素材によって空間魔法や時間魔法のかかり具合が違ってね。少しずつ性能に差があるんだよ。エカテリーナ嬢に渡したやつはざっと五千トン。五十万立方メートル程度入るね。五万倍の遅延魔法のエンチャントが掛かっているよ」
まぁ、手持ちの革で急いで作った粗悪品だから。許して。
「まぁ。そのようなお品なのですね。でも公子様の手作りですし」
あゝ。エカテリーナ嬢の顔が険しくなったよ。ごめん。粗悪品なんか持たせようとして。
「あ。無理して持たなくても良いんだよ」
「いえいえ。公子様のお手製ってだけでも是非欲しいのです。でも価値が分かりませんし。いかほどご用意させて頂いたら譲って頂けるかと。
不躾な質問で恥ずかしいのですが。わたくしが自由にできる資産も限りがございますから」
「あははは。何を言ってるんだよ。ベーベンダールの魔工匠エカテリーナ公女が買えない物なんて世界にある訳ないでしょ。
君が本気になったらラッシートの王宮でも買っちゃうんじゃないの」
ジェラート商会とベーベンダール商会は世界の双璧って言うらしいじゃないか。そんなお金持ちのお嬢さんが何を言ってんだか。
「そんなご返事に困るような表現は困ります」
ああ。買えちゃうんだ。
「僕の大好きな可愛いエカテリーナ嬢から僕が作ったバックごときでお金かなんか取るわけないでしょ。僕からの贈り物として受け取ってくれたら嬉しいな」
「ばふ!」
なんか真っ赤なイチゴちゃんみたいになっちゃったよ。
あ。
またやらかしましたか?
ごめん。変な言い方だったかな?
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