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126 出発式

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《レリトニール公子視点》


 むう。


 ちょっと荷物持ちで軍に付いて行くだけなのに、、、


 サインシース・テンシラーオン大公爵。俺のパパ様は、二メートルを超す巨体の人だ。


 その人が勢いよく俺につかみ掛かった。


 む。恥ずいのでやめて!


 俺は重力魔法で自分自身の体重を何十倍にもして持ち上げられないように抗ったが無駄な足掻きだったようだ。


 俺を軽々と抱き上げたパパ様は、俺を高く掲げて大声で宣言した。


「我が国と我が領土の誇りであるこのレリトニールを守護する大任ご苦労である。

 諸君らの働きは必ずや国、故郷の礎となり民の家族の友の糧になるであろう。

 諸君らの大いなる活躍を祈念するものである」


 俺たちの前に集まった家臣団がパパ様の宣言を受けると耳を塞ぎたくなるような大歓声をあげた。


 恥ずい。恥ずい。やめて!


「パパ様。この人たちはなんでしょうか?」


 俺は嫌な予感がするので尋ねた。


「うむ。ワシの可愛い息子のレリトニールが無事任務を果たせるために今回特別にワシが用意した部隊だよ。ワハハハハ!」


 満面の笑みでやめて!


 空気を読んでよパパ様。


 こんな大人数を連れて行ったらどこの怖がりのお坊ちゃんなんだと思われるよ。


 恥ず過ぎだよ。


 とは言えない。


「なんと。僕の初陣に、このような晴々しい騎士団をご用意してくださったのですね。ありがとうございます」


 こんな大人数を連れて歩くの嫌だよ。


「そうか。そうか。家臣団の中でも生え抜きの騎兵を集めたからな。総勢八千八百人だ。少ないが許してくれ」


 多いよ!


 ラッシート王国の先先代の娘アトリアスつまり俺のママ様。


 そんなに細っこい身体でどうやったら巨人のパパ様から俺を奪えるかは謎だが、ママ様はパッとひったくるようにして俺を抱き取ると力いっぱい抱き締めててきた。


 ママ様。そんなにお綺麗でかつ最高のナイスバディをお持ちなのは存じておりますが窒息するから胸で俺の顔を埋め尽くすのはやめて!


 死ぬ!


 息ができません!


「まぁまぁ。わたくしの可愛いレニちゃん。無事に帰って来てくださいね。あなたが死んだらわたくしは生きていけません」


 大袈裟なんだから。


 荷物持ちでちょこっと従軍するだけだから!


 泣くのはやめて。


 恥ずいから。


 泣くのやめて!


「ママ様がいつまでもお姫様のようにお美しくご健在で在らせられるよう。僕は絶対に怪我はできませんね」


 あ。失敗したよ。


 俺の言葉で火をつけてしまったようだ。


「まぁ。レニちゃんはなんて優しい良い子なの!」


 ママ様はそう叫ぶと、今度は雨あられのようなキスを降らせてきた。


 恥ずかしいからやめて!


 家臣団の前。


 家臣団の前だって!


 みんな見てるよ!


「母上。レトちゃんが苦しがっていますわよ。さあーさ。レトちゃん。お姉さんの胸に来なさいな」


 おわ!


 こんどは長女のセシリー公女。セシーねぇがママ様から俺をひったくってその豊満な胸にかき抱いた。


 く! 苦しっ!


 恥ずいって!


 ちなみに今回の学徒動員は、俺たち一年Sクラスだけだった。先生休講とか言うなら全校生徒への学徒動員と思うじゃん。


 なぜに?


 と言うことで姉達は学内に留まるわけだ。


「お姉様。そろそろわたくしにレニちゃんを譲ってくださいまし」


 そう言って次姉のシルビアーナのシルビィねぇがまたまた俺をひったくった。


 散々、キスの雨を降らせらるので俺はもうフラフラだ。


「もう。セシーねぇ様もシルビーねぇ様もずるいですぅ。お兄様を離してくださいまし」


 叫んでいるのはマリーちゃんだ。第三公女のマリーアナ。今年10歳。


 あまりにも可愛すぎる我が愛する子猫ちゃんだ。


 今度は俺がマリーちゃんの頬にキスの雨を降らせるのだった。

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