120 ブンブンブン剣が鳴る
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《ベーベンダール商会長ヤードおじさん視点》
何と。
何と。
何と。
公子様はあっさりといとも簡単に剣を抜かれたではないか?
はあ?
へ?
何が起こっているのだ?
お嬢様が鍛治聖になられたとき聞いてから頭がボーとしているようだ。
どうやら夢を見ているらしい。
どうして絶対に抜けないはずの剣が抜かれているんだ?
あ!
振ってるよ。
何メートルあるのか分からないあの剣を振っている。
先先代がこの剣は絶対に抜けないと仰っておられたのに、、、
しかも、あの剣は、剣の神ユーリプス神様ですら扱え切れなかった剣なのだ。それを軽々と振ってるし。
ありえないよ。
もう、何が起こっているのか分からないが、全長十メートルを超える剣が物凄い音を鳴らして目にも止まらない早さで振り回されているのだ。
しかも次第にその速度が上がっているようだ。
しまいには竜巻のような暴風により辺りが凄いことになりそうになっている。
「あ」
レリトニール公子様は、そうひと声発せられてから、周りの状況に気付いたようだ。
ピタリと剣を止めてはにかんだような笑顔を見せて周りを見回していらっしゃる。
そして公子様の様子を顔を引き攣らせて見ていた近衛騎士団長のご子息様の剣聖ノイツ様に向かって訪ねられた。
「ノイツ君も振ってみる?」
剣聖様が全力で首を横に振ってらっしゃる。気持ち分かる。
この公子様。本当にめちゃくちゃだよ。噂なんて何百分の1くらいにしか伝わってないよね? 何なのこの人?
この剣は剣の神様でも振れないんでしょ?
剣の神様よりも凄いってこと?
は?
は?
は?
俺はもう。この公子様について何もいう言うまいと心に誓った。
噂が大袈裟に伝わることもあればその逆に伝わることもあるんだと知った。
どちらにせよ。一つだけはっきりしていることがある。この方には絶対に逆らってはならない。
それだけは確かなようだ。
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