013 従者アイリスの視点
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《従者アイリス視点》
わたくしは、それはもう必死に努力した。なぜならそうしなければ公子様は遥かな高みに到達され、わたくしなど顧みることもなくなってしまうだろうと承知しているからだ。
そして必死に頑張った成果が現れたのだ。
なんとスキル『努力』のレベルが5になったのだ。それはもはや神々の高みなどと噂されるほどのレベルである。
これにはレルトニール公子様も驚いておられた。
わたくしの現在のレベルは、280。天職は『女騎士』から『アーク騎士』へとクラスチェンジした。
クラスチェンジは、天職のクラスが上がることを意味している。レベルを上げて限界に達すると稀に天職が一段上に変わることがあるのだ。
クラスチェンジするといくつかの効果があると言われている。限界になったレベルが上がるようになったり、ステータスの上昇幅が大きくなったり、今までと違う系統のスキルを扱えるようになったりなどだ。
さらには国最高の剣士に送られる剣王の称号まで神々より授かったのだ。
それと同時に剣の神ユーリブス様の恩恵3まで授けられた。恩恵の3なんて考えたこともない破格の寵恩である。
一般的に言ってわたくしのレベルは、相当高いと言っても過言ではない。
スキルレベルも、『剣術Lv5』『槍術Lv5』『魔法剣Lv5』『武術Lv5』『上級魔法Lv5』『身体強化Lv5』など究極のスキルレベルに至っている。
わたくしがこれほどの高位の存在に成れたのは、全てレルトニール公子様の従者として公子様の修行の手助けをしていたからだ。
レルトニール公子様は、サブ職業を得ると修行のためにと迷宮に籠って修行をされ始めた。
それは想像を絶する修行であった。貴族学園に入学するまで時間が無いと仰って筆舌に尽くし難い努力をされていたのだ。
後で知ったがサブ職業に就くとレベルリセットされるらしい。最初にサブ職業を得られた公子様は、相当に苦労されておられたが、そこは天才であるレリトニール公子様だ。格上なんて何? 美味しいの? とばかり切り刻み、ちぎっては投げていらっしゃった。
公子様がレベルリセットにより苦労されていたのは数ヶ月程度である。その期間は不肖わたくしが盾になり公子様のレベルアップのお手伝いをさせていただいた。
その後、新たなスキルを得るために何度かサブ職業を転職されたようだがさすがに詳しくは教えてはくださらなかった。
もちろんステータスのことは秘密にするのが当たり前だし、稀に何かを教えてくださる場合は、わたくしへの気遣いのためだとか、レベリングを安全に効率よく行うための必要な部分に限られているのだ、公子様のレベルやステータスは、想像する部分が大きいのはやむ得ないことだ。
しかし、さっさと低級ダンジョンは卒業されてしまった。公子様が好んで入られていたのは『嘆きの壁』と言われる高ランク迷宮である。
『嘆きの壁』は、最深部が500層の迷宮である。え? もちろん初迷宮踏破者の栄誉を持つのは、公子様とわたくしのパーティーである。実質的にはレルトニール公子様一人が達成されたと言っても過言ではない。
レリトニール公子様が五匹ものギガブラッディウルフを瞬殺される様子を見ながらわたくしは、疑問に思っていることを聞いてみるとことにした。
「レルトニール公子様。なぜ迷宮の深部で修行されるのではなく300層辺りを行ったり来たりされるのですか? 公子様ならもっと深層に入られる実力もお有りでしょう?」
「ああ。またサブ職業を変えてね。レベルリセットされてしまったんだよ。深層なんてとても潜れないよ」
公子様はそう説明された。
なんと私の知らないところでまたレベルリセットされていたらしい。でも初級ダンジョンに行かなくて大丈夫なのだろうか?
そこでわたくしは本来してはならない質問をしていた。
「公子様の今のレベルはいくらぐらいなのです?」
「ん? 今はレベル4だよ」
「はい? ご冗談を、、、」
わたくしは、ここ312層の魔物としてはかなり厄介な魔物である、魔将バフォメットを足蹴にした公子様を見ながら苦笑した。魔物は、公子様のきつーい蹴りをまともに受けて吹っ飛んで絶命してまった。
「ははは。今レベル12になったよ。バフォメットは経験値が高いから効率が良いね。さてサクサク行くぞ」
「え? はい。お待ちください」
わたくしは公子様に付いていくのがやっとだった。
おこぼれでわたくしのレベルもうなぎのぼり。こんな事で良いのか? レベルリセットの話は冗談だったのだろうか? もしかしたら不甲斐ないわたくしのレベリングをしてくださっているのかもしれない。
そう気付いたわたくしは急にやる気満々になり更に頑張るつもりでなかなか追いつけない公子様の背中を全力で追ったのだった。
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