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116 鞘に隠れた大剣

本日2話目です。


楽しんで頂けると嬉しいです。いつも誤字訂正してくださる方。本当にありがとうございます。

《レリトニール公子視点》


「鍛治はわたくしたちにとって神聖な儀式なのです。みそぎをして身を整えるのでしばらくお待ち下さいますよう」


 鍛治っ公女エカテーリナ嬢はそんな風に言ってどこかに姿を消した。


 その間、ドワーフのヤードおじさんが店に展示されている武器の説明をしてくれることになった。


「こちらは両手剣です。最も大きな剣は長さ百八十センチほどにもなります。

 最も重いものは40キロにも及びます。ですがそんなものを軽々と扱えるのは高位ランクの冒険者か剣聖でもないと無理ですね。

 大き過ぎるのはメリットよりもデメリットの方が大きいです」


「ヤードおじさん。あの剣の柄頭しかない不思議なオブジェはなんなの?」


 俺は陳列されている剣の中に持ち手部分しか無いオブジェを見つけて聞いてみた。


 なぜならそのオブジェはとても豪華な装飾が施されていてオブジェとしてもなかなか立派なものだったのだ。


「ああ。あれはマジックバックと超大剣がセットになった剣です。あれを抜くと長さ3メートルを超える超大型の剣が仕込まれていておりましてなかなかの見ものなんですよ。

 あちらは先先代の工匠エカテリーナ嬢のお祖父様が打たれた剣で剣神ユーリプス様に奉納する為に打たれたものです。

 ですが残念ながらユーリブス様は好まれなかったようでして。お受け取り頂けなかったのです。神様のご不興を買ってしまったのでしょうか。傷心のまま先先代は病に倒れたのです。そん逸話のある品物です。

 それであのようなところに置かれております」


 なぬ? 何でも受け取ると思っていた奉納だけど、やっぱり変なのを奉納すると拒ピるの? しかも祟るとか? やべー。危なかった!


 俺は軽々しく宝珠を神に奉納きたことを思い出して今更ながら、相当やばかったのだと気付いた。誰もしなかったはずだ。


「あれは売り物なの?」


「はい。売り物です。伝説的な工匠、先先代の品ですから。

 ですが剣は意外と縁起を担がれるものですし、神に好かれなかったことを気になさる方は多かったようで残念ながら売れ残ってしまいました。

 私どもとしては伝説的な工匠である先先代が残されたものですから粗末にもできませんし鋳つぶすなんてもっての外ですから。

 伝説的な工匠の先先代は生前にこの剣を扱えるのは神か剣王くらいしかいねぇだろうって言ってました」


 何だか伝説的な工匠を強調する。恐らく、神への奉納を拒否され祟られたと言うのは相当に不名誉なことと恥じつつも、その先先代の偉業を喧伝(けんでん)したいのだろう。


 気持ちは分からなくもないけど。


 でもマジックバックの鞘に入った大剣で神様用。しかもそれを作ったのが伝説的な工匠の先先代様とか。誰か知らんけど。名前言えよ。でも興味引くーー。欲しい。


「先先代が剣王なら振れるって言ってた神様用の大剣ね。それなら俺が頂こうか。いくらなの? 手持ちで足りるなら今、払っとくよ」


「おお。ならば30万金貨でいかがでしょうか?」


 金貨30万枚とは吹っかけてきた。俺の鑑定スキルは金貨1万2千枚と出ている。


 同じような鑑定スキルは恐らく目の前の商人も持っているはずなのだが。


「見た感じと何か違うんだね?」


 一応聞いてみた。


「おお。さすがにお噂にお高い公子様ですな。物の価値を見られる方はそんなにおりませんのに。

 一見の価値は確かに1万金貨ほどでしょう。

 ですがあれを抜くと剣本来の価値が示されるのです。どうです? 抜いてみられるますか?」


 なんか、挑戦的に聞いてきたのでこれは何かあるなと思った。


 面白そうだし、ダメ元だね。試したい。


「そうなの。ここには剣聖の称号を待つ者が二人もいるし。

 俺には扱えないだろうけど、ノイツ君とイールド君の二人なら扱えるんじゃない?」


 近衛騎士団長の息子のノイツ君と第一騎士団長の息子イールド君の二人は、俺の修行の成果で晴れて剣聖の称号が生えたのだ。


 立派なものだ。


 恐らく剣技は剣王になる前の俺が勝ててなくなった頃のアイリス嬢よりも上だろう。もう俺の叶う相手では無くなってしまった。目に汗が。


 そもそもノイツ君は蒼龍騎士職だし、イールド君は大剣士職という超レアな天職をお持ちのお二人様だ。モブ職の俺なんか本当だったら口も聞いてくれない高みの存在様達だ。


 でも友達だから君付けで読んでいるんだよ。ははは。良いお家の生まれて良かった。ほんと。


「もしかしたら3メートルの長さがあるなら槍のシュレディの方が上手く扱えるかもしれないよね」


 長さのある武器を扱うならシュレディだ。


「ほう。お二人は剣聖様なのですね。このお若さなのに大したものです。そしてもうお一人は槍士様なのですな」


 ヤードおじさんが感心して言った。


「そうだよ。シュレディも槍聖なんだよ」


「なんと。聖人様に剣聖お二人に槍聖様と。それに剣王様までおられるのですよね?」


「ん? アイリス嬢は今日は連れて来てないよ。剣はアイリス嬢にプレゼントするつもりだよ」


「はあ。なんとも皆様はとんでもない方々」


 ドワーフのヤードおじさんは驚き過ぎて目を白黒させてた。


「何いってるのさ。エカテリーナ嬢も鍛治聖の称号をもらってただろう」


「は? え? お嬢様が? なんと?」


 ついにおじさんが壊れてしまった。


 今回の修行で皆様は凄い成果を出したのだ。俺を除く。グヒ!

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