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109 無くすなんてな

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《槍のシュレディー視点》


 俺は、自分のステータス画面を見てその変貌ぶりに目眩がした。


 元々レベルは153だったが、なんとレベル263になっていた。


 これは学園の卒業生のうちでも歴代上位クラスのレベルだ。もちろんレベルを明かすような輩のデータだけなので本物の高位クラスは、まだまだ上がいるのだろうが。


 ともかく、少なくとも公表されているデータからするととんでもないレベルになってしまったと言うことだ。


 あの迷宮行は、一言で地獄行だった。スタンピード真っ只中の迷宮を魔物を全殺しつつ爆走するなどもはや人間をやめているとしか思えない。何よりも俺たち全員を縄でぶら下げてだ。


 俺たちクラスの皆は、公子様の殺人的な爆走中ほとんど意識を失っていた。だからまだマシだったようだ。


 亡国のメーラシア姫などは凄いと言うかずっと意識を保っていたらしい。


 しかし何度も粗相をしてしまったとかで、公子様にお嫁に貰って頂かないと、どこにもお嫁に行けないなんて叫んでいた。


 どんな粗相なのか可哀想過ぎて確認出来なかった。他の公子様の従者達の女の子と一緒になって公子様を取り囲んで皆で同意してたた。恐ろしい光景だった。


 俺はそこは聞こえないふりをしつつその場からそそくさと距離を取ったよ。


 レリトニール公子様の助けてよって目の合図には、申し訳ないと心で謝りつつ気付かないふりをした。


 後で逃げたでしょと頬を膨らます公子様が可笑しかった。


 貴族派だと思っていた近衛騎士団長の息子ノイツと第一騎士団長の息子イールドの二人とも、とても打ち解けることができた。


 彼らと俺たちは今後レリトニール公子様派になると言うことで意見が一致している。


 これからの学園生活がより楽しみなような、怖いような。とか思っていたら俺たちは徴兵されて従軍することになったそうだ。


 なんと学徒動員など前代未聞の出来事だ。しかし圧倒的に優位のラッシート王国が学徒動員などする必要などない。


 これには政治的な意図が隠されているのは間違いない。


 高名なキャペラ教授もそんなことを匂わせていたし。


 マリーシア女王も今回の作戦に行幸されると聞いた。


 哀れなのは公子様の策にまんまとハマったリールセラート王国と言うことだろう。


「シュレディー。何を深刻に考えてんだ?」


 疾風ドリューが聞いてきた。


「ああ。レベルが凄いことになってな」


「ああ。俺もだ。それよりもだ。なんか知らんスキルが幾つも生えてんのはどうしてか? お国の連中に調べさせたんだろ?」


「ん。分からんとさ」


「お前とこもか?」


「ああ。近衛ノイツと第一イールドにも聞いてみるか?」


「ここはお二人の公女様にも助力を依頼しとこう。従軍では何が起こるか分からないし、少しでも公子様のお役に立たないと」


「ああ。公子様との出会いが遅過ぎたのは仕方ないが、従者様達との能力の開きがな。一刻も早く詰めないと、俺たちは価値なき者と見なされかねない」


「あゝ。ずっと意識を無くすなんてな」


「無くすなんてな」


 俺とドリューはそう呟くと項垂れるのだった。


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