108 紡がれる伝説
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《レリトニール公子視点》
なんか知らんがえらいことになっているようだ。
「誰のせいとは言わないけど、まぁそんなわけで学校はしばらく休校ってことになる」
キャペラ先生。俺の顔をガン見しながらそんなこと言うと俺のせいみたいじゃん。リールセラート王国との戦争なんか俺は知らんがな。
「戦時特別法が施行されて君らは徴兵されることになった。君らは将校待遇で従軍する」
なに?
ここに来ていきなりな戦争で、しかも徴兵だなんて。
どうしてこんな子供達を戦場に送ることになってんだよ。
「こんな子供が参加したら返って足手纏いになるんじゃ無いんですか?」
俺は当然の質問をした。
なぜか教室の問題児を見るような目で俺をみた先生が大きなため息をついた。
「はー。君がそう言うことを言っちゃいますか。でもどこの誰のせいかは敢えて言わないけど、君たちが軍に参加することを望む声が結構上がっているそうなんだよ」
誰だよ。そいつ。ほんと空気読めよ。戦争反対。絶対反対!
「ところでレリトニール君はどこに配属になるか知っていたりするんですか?」
先生が興味深々と言う感じで聞いてきたがそんなこと知る訳がない。
「将校待遇って形で荷物持ちでもさせられるんじゃ無いんですか?」
俺は首を傾げて言った。
「あゝ済まない。言える訳ないな。君はまるで彼らが『嘆きの壁』でスタンピードを引き起こすことを予見していたかのようだけどまさか全部を予見していたのかい?」
な訳ないだろうと俺が答えようとすると先生は訳知り顔で言葉を継いだ。
「ああ。言えないのは分かっているよ。だがリールセラート王国の工作員が暴挙に踏み切った原因となったのが私との講義で発表したリールセラート王国への外征論だったのは確かなようだね。時流って奴をどうしてそうも操れるのか教えて欲しいね」
が、外征論? なにそれ? 美味しいの?
俺がいつそんな大層なもんを発表したってんだよ。いくら大公爵様の御曹司様だといってもこの先生贔屓が過ぎるよ。
まぁ、俺を贔屓にしてくれる分には構わないけど。
でもあんまり盛られると後が辛くなるし。ここは否定。否定。
「先生。僕は何もしてませんよ。水は放っておいても低いほうに流れるでしょ。時流も僕に関わらず自然に流れているんじゃ無いんですか?」
「またまた。謙遜かね。まぁいいよ。説明するのも面倒なんだろう? 君は昔から今の私のようなバカな質問ばかりされて悩まされ続けてきたんだよな」
ほんと。この人。何言ってるの?
なんだか聞いていて疲れて来たぞ。
「そんな訳って、リビエラ。僕の代わりに先生にビシッと言って」
ほれー。怖ぇ視線を向けてビシッと言ってやって!
「先生。公子様はなんでもお見通しですが、それも時間とともに著しく変化するのですよ。それをさすがの公子様でも平易に解説などできるはずがありませんわ」
ん? この娘も何を言っているのか全く分からない。うーむ。リビエラは賢すぎるので言葉の意味も分かりません。
「それはそうだね。周りの時流の流れを正確に予見し要所要所で流れを微調整する訳だね」
キャペラ教授がよく分かったよみたいな感じで言った。
分かったのかよと突っ込みたいがそこは我慢だ。
もう嫌だ。黙ってよ。
(こうしていつものように伝説が紡がれていく)
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