105ー3 怒らせてはならない3
本日3本話目です。
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《リールセラート王国の千人将軍の視点の続き》
「将軍。あちらの方から何かがやってきます。あゝ、あれはAランク上位の魔獣ケルベロスです。
なんであんな凶悪な魔物がこんなところに?」
俺は副官の叫び声に驚いて彼の指差す方に視線を向けた。
そこには他の魔物とは格も大きさも全然違う巨大な魔物の姿があった。魔物の群からその巨体が抜きん出て魔物の威容を曝け出していた。
あまりもの迫力のある三つ首のその威容に思わずその場に膝をつきそうになる。
ギャーオーーーーウン!!!!
それでなくとも巨大な魔物の咆哮だ。それも三つ首が同時に咆哮するのだから迫力が違う。
「ついにダンジョン五箇条が発動されたか」
ダンジョンには破ってはならない掟があった。それがダンジョン五箇条だ。
◎ダンジョンは軍隊を寄せつけぬ。
◎ダンジョン内で軍事を成してはならぬ。
◎ダンジョン内の軍隊による殺生を禁ずる。
◎百を超える集団を作るなかれ。ダンジョンはそれを軍隊とみなすべし。
◎意図せぬも制約を破らば禍いを受くるものなり。
こう書かれた五箇条の碑文が全てのダンジョンの第一階層に置かれているのだから知らぬ者などいない。
そして我々は百名を超える軍隊により軍隊行動を行っているのだ。
実験でも長い間軍事行動を続けるとその場にそぐわないレベルの魔物が現れることが知られていたのだ。
予定では、我々はばらけて階下の支流の通路に逃げ込む手筈だったのだが、予定が狂ったため一番最悪の結果となったわけだ。
ケルベロスはSランクに届くほどの魔獣だ。レベルは350はあるだろう。
「将軍。どういたしましょうか?」
副官が震える声で尋ねた?
「もはや何をしても無駄だ。あんな化け物がやってきては誰も太刀打ちなどできぬよ。全滅は免れないだろうな」
「ですが、我が隊には剣聖、武聖、拳聖様がおられるのですよ。全滅はさすがに」
「見よあの人達ももう限界だ」
暴撃の剣聖ゲック。蹂躙の武聖ライオット。万の拳聖ジュールの三人は、我国の切り札的な存在だ。
彼等を失うのはあまりにも痛い。しかし三人ともかなりの傷を負い戦うのも儘にならない様子だ。
そんな三人も事態の急変に唖然としている様子だ。
ギャーオーーーーウン!!!!
ケルベロスがもう一度咆哮を上げた。
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