097 ダメだこりゃ
本日二話目です。
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《レリトニール公子視点》
どうやら。遅れていたのは後衛職の女の子ではなくて、槍のシュレディを始め男の子連中だった。一番の後衛のはずの聖女は普通に付いてきてたしね。
このイケメン連中は、辺境伯や大領主の伯爵、それに剣聖の近衛騎士団と第一騎士団の団長の息子さん達だ。
才能は豊かなのにお坊ちゃん扱いされてサボっていたのだろう。良家の家の跡取り息子ほど甘やかされるものだ。俺にも強く覚えがある。俺には前世の記憶があるから鍛えたが、彼らは鍛え方が足りないようだ。
三年生の賢者リビエラ嬢はともかく女忍エーメラルダ嬢、豪商サスティナ嬢、聖女リリー嬢の三人ともまだまだ元気そうだのに。
「リビエラ嬢はもちろんだけど、皆はまだまだまだ余裕なようだよね」
手と首の両方を横に振って『いえいえ』ってご謙遜して否定しなくても分かってるって。皆はまだまだ鍛えたいんだろ。
俺は満足して。うんうん。頷いた。女の子たちはなぜか少し顔が引き攣っているがこれは嬉しさを隠そうとしてるのだろう。
お淑やかにみせたいのね。お転婆さんだね。
「はい。はい。皆の気持ちは分かってるって。それより男の子達は大丈夫?」
こんどは俺は苦笑しつつ尋ねた。
「公子様。すみません。情け無いお姿をお見せして。ぜーぜー」
槍のシュレディが申し訳無さそうに息を切らしつつ言った。
「みなさまも、我々のせいですみません。はーはー。ぜーぜー」
疾風ドリューは更に苦しそうに息をはーはーさせつつ、女の子達の方に向かって謝った。
近衛騎士団長の息子ノイツと第一騎士団長の息子イールドの二人などはその場にへたり込んで立つこともできない様子だ。
「仕方ないね。よし! じゃあバフかけるよ」
俺は女の子も含めてバフをかけることにした。
剣王アイリス嬢にもよくバフをかけた。
バフはゲームだけでなくこっちの世界にも存在する。手軽で安上がりなスキルである。
俺はありったけのスキルでバフをかけると俺の横で聖女も癒しの魔法をかけてくれていた。
俺がお返しに聖女にも癒しをかけてあげると聖女は気持ち良さそうに目を細めていた。
普段は大人しい聖女リリー嬢も、フィールドにくると活き活きしていて可愛らしい。
いつも深々と被っているベールも後ろに跳ね除けているので綺麗な顔がよく見える。
「リリー嬢。今日は元気だね。さっきもいっぱい喋ってくれていたし。可愛い顔を見せてくれて嬉しいよ」
俺がそう言うと、リリー嬢の態度が激変した。顔を真っ赤にして慌てたようにベールを被った。
布団じゃねえーよ。って言いたいくらい深々と。
ん?
なんか要らない事を言ったかな?
見るとリビエラ嬢が怒ったような鋭い視線を投げかけ来ていた。
やってしまったの?
首を傾げると、なぜか全員がダメだこりゃって感じで肩をすくめてみせた。
どうやら何かをやらかしてしまったようだ。ダメな俺。
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