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096 悲喜こもごも

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《レリトニール公子視点》


「アイリス嬢のことだ。ここには戻ってこないな。それにこんな状況だし。俺達も先に行こうか」


 俺がそう提案すると、


「「「「「「「はい」」」」」」」


 皆が元気よく返事した。実に気持ちがよい。


「よし。じゃあ俺が先頭を行くから皆、着いて来て。これはめちゃくちゃやり甲斐を感じる」


 とても魔物がたくさんいる。これは好条件だ。ワクワクする。これほどレベリングに好機はないだろう。


 入ってくる経験値はモブな俺にはレベルにはならないがステータス値を上げることは可能なはず。


 たぶん俺のレベルが全く上がらないので皆にはそれなりの経験値が配分されるのうだしウィンウィンだ。それは既にアイリスで実証済みだ。


「「「「「「「「公子様。待ってください」」」」」」」」


 皆が心配して止めてくれているようだがここは無視だ。


 俺は自分が自ら闘わないとなんの経験値も入らないのだ。これも実証済みだ。




《賢者リビエラの視点》


 あゝ。公子様のスイッチが入ってしまったようだ。


 止めたがもう遅い。


 剣王が魔女っ公女リージィー様の提案を押し留めて自分がレベリングするとまで言わせた理由を目の当たりにしている。


 公子様の地獄のレベリングのゴングが鳴ってしまったようだ。


 公子様。


 わたくしが未熟でした。


 やはり公子様はこうなることを全てを見越してあんなに慌ててこられたのですよねり


 あなたは全知なんですか?





《女忍エーメラルダの視点》


 賢者様。怖い。怒ってらっしゃるの?


 どうしてこうなった?


 公子様は、手の先が消えてしまったかと思うほど素早く攻撃されているようで公子様に近付いた魔物は本当に大変な感じで死んでいくのだ。


 なんか、魔物が可哀想に見えてくる。


 しかもあの魔物の大群を全て叩き潰しつつ進まれるのになんと言う速さなのか。


 あゝ。魔物が公子様に恐れなしで逃げようとしているが、公子様は魔物よりもズット早い。


 あの方を前にしたら滅ぶしかないのだと理解した。





《豪商サスティナの視点》


 これが噂の地獄のレベリングなの?


 公子様は、人が変わったように嬉々とされて魔物を屠っていかれた。


 凄い破壊力。


 なんだか魔物が可哀想に見える。


 あれほど凶悪に見えていた魔物達が今はか弱い子ウサギにみえてしまうほど。


 公子様はどんどん進まれる。


 どうして迷わずにどんどん進めるの?


「賢者様。どうして公子様は、行先が分かるのでしょうか?」


「分からないけど。強い魔物を探しているからメインの通路をずっと進めるのかしら?」


 なるほどと思った。さすが賢者様だ。瞬時にそんな理由を見出せることが凄いと思った。


 今やスタンピードの魔物達の流れは上へ上へではなく下に下にと変わっていた。


 もちろん公子様から逃げようとしているからだ。


 ダンジョンにはたくさんの通路がありメイン通路でなければ階下に行けないのだ。


 剣王様はもちろん地図を作っていらして、地図を見ながら進んでいた。公子様は地図など必要ないと言わんばかりに魔物を倒しつつどんどん進んでいらっしゃる。


「もしかしたら道順を覚えていらっしゃるのかと思っていました」


 ははは。そんなわけ無いか。だってダンジョンの通路でどこも同じような感じだし。


「なるほど。さすが豪商サスティナ嬢。確かにそうね」


 逆に感心されてしまった。


「それよりも聖女様も凄い方だったんですね。軽々公子様について行ってらっしゃる。でもスカート大丈夫かしら?」


「そうね。聖女様のスカートの裾が少しひらひらし過ぎからしら。どうしてスカートなんかで来られたのかしら?」


「すみません。気付かず」


「はあゝ。後で公子様に叱られるわよ」


「はい。それは仕方がありませんが。公子様から叱られるって想像できませんが」


「ん? そねもそうね。考えてみると人を叱っておられる姿を見たことがないわね」



《槍のシュレディの視点》


 もうダメだ。息が絶え絶えだ。死ぬぞ。魔物に殺されるわけじゃなくて走り死ぬ。


 ぜー。ぜー。



《疾風ドリューの視点》


 死ぬ。死ぬ。死ぬ。




《近衛騎士団長の息子ノイツ・ジャムシクの視点》


 これでは血の息が出るぞ。


 しかし置いて行かれたら本当に死ぬし。


 はーはーはー。苦しい。



《第一騎士団長の息子イールド・イッシューラッツの視点》


 目が見えない。足が動かない。



《聖女リリーの視点》


 あれ。皆さん遅れている。


 あ。どんどん離れてしまうわね。


「公子様。公子様」


「ん? なんだい? リリー嬢」


「はい。皆さん遅れていらっしゃるようです。お待ちになられますか放って置かれますか?」


「あれ。結構魔物がいるから今日はゆっくり行ってたんだけど」


「はい。足の弱い方がいらっしゃるから」


「そんなメンバーいる?」


「はい。剣王様とお比べになってはさすがにお可哀想」



《武王サイラスの視点》


 はぁ。とんでもねぇとは思っちゃいたが、ここの連中はすげぇな。


 このイケメンの兄ちゃんに付いて来れるってだけで只者じゃねぇが、さすがにな。


 こっちの飛び切り綺麗なネェちゃんもスカートのクセに全然平気そうによく付いてくるな。


 綺麗ぇ顔してんのに、大概な娘だ。視線のやり場に困るって!

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