010 レベル
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《レルトニール公子視点》
さて、この世界だが、どうやら俺の想像するに、職業制、レベル制、スキル制などのハイブリッド型の世界のようだ。
しかしシステムの根幹は職業制だと俺は見ている。
職天祭の儀式以前から俺は自らの努力だけで『剣術Lv3』『武術Lv2』『火魔法Lv2』『土魔法Lv2』『回復魔法Lv1』『身体強化Lv1』を得ていた。
これは異例な事で天職も無しにスキルを六個も持つなどは前代未聞のことだったりする。恐らく前世の記憶や経験などがスキル取得へと繋がっているのではと想像している。
さらに俺のレベルは、68だった。それに合わせてステータス値もそれなりの値だったりする。
職天祭で天職を得るとレベルリセットされることは常識だ。そのため職天祭の日までは積極的にレベルを上げないこともあって普通ならレベル10程度が普通だ。
天職を得るまでスキルを取得することも稀で、もしスキルを得ても職天祭で消えてしまうこともあると言う。それゆえ職天祭までのレベリングは無駄であると言うのがこの世界の常識であった。
俺は、せっかくの転生だからと赤ん坊の時から鍛えてきた過去がある。
生まれて前世の記憶がって、そこが異世界で魔法とかあったら鍛えまくるだろ?
職業を得たらレベルがリセットされるなて事を知ってからもその事実が受け入れられず、もしかしたら少しでも努力が報われるかもと期待して努力し続けてきんだよ!
その成果でレベルは68。スキルは『剣術Lv3』『武術Lv2』『火魔法Lv2』『土魔法Lv2』『回復魔法Lv1』『身体強化Lv1』の六つも得たわけだ。
そして俺の努力はほんの少しだが報われた。
天職は残念なモブだったし、レベルも1に戻った。
さらに容赦のないステータスダウンもあった。
とは言えステータスは普通のレベル1としては、かなり高い値だったし、何よりもスキルレベルはそれほど低下しなかったのだ。
とは言え残念ながら『身体強化Lv1』はレベルダウンの影響で消えてしまったりなど影響が無かった訳ではもちろん無い。
しかし子供の頃からの努力は多少は活かされたのだ。
俺はレベル1モブに相応しからぬステータスとスキルを持ったモブとなった。
なんだか説明していて虚しくなってきたが、、、、
子供の頃には大した才能を見せなかった従者のアイリスは、俺より二歳年上で天職が『女騎士』になったのが二年前だった。
それからメキメキと才能を示した。あれよあれよと実力を付け遂には御前試合で優勝し剣聖の称号まで得てしまった。
それを見ていて、やはり職業はこの世界で大きな意味があるのだと思ったものだ。
まずはアイリス嬢を誉めずにはいられない。
「剣聖なんてすごいじゃないか」
俺の褒め言葉にアイリス嬢は照れたように頬を染めた。可愛い。
俺はアイリス嬢との試合を続けていて、彼女の急成長ぶりに舌を巻いたものだ。職業システムの恩恵たるや、俺の十年あまりの努力など、一年程度で覆すのだと知らされたのも記憶に新しい。
☆
さて新たに得た転職システムだが、俺だけのユニークなスキル的な何かなら良かったのだが、普通に宝珠を奉納したら誰にでも転職できることがどこかの誰かが試してくれたおかげ判明した。
ちなみに同時に転職の度にレベルリセットされることもその者より発表され、サブ職業の転職は推奨されないこととなってしまったようだ。
そんな彼の意見を全面否定する根拠もないので俺は反対意見などは表明していない。
しかし、確証は無いがサブ職業の転職によるレベルリセットには確かなメリットが存在するのではと俺は密かに思っている。
俺が思ったのはある程度レベリングしてから何度も転職すればステータス値を無限に上げらるんじゃね? ってことだ。
こんな発想をしたのはやはり俺が転生者だからだろう。
レベル限界だとか無限に能力を上げるなんてゲームじゃあるまいしってことだ。
現実の世界ではせっかく上げたレベルを下げてまでしてからステータスの底上げなんて馬鹿らしくてできないのだ。
なにより、レベルリセットの影響は、どうやらランダムなのだ。
最悪、前よりステータスが悪くなることすらありそうなのだ。
レベルリセットによるステータスダウンやスキルに与える影響がどのように発生するかは全然分かっていない。人によって違うかもしれないし、場合によってはその日のコンディションによっても違うのかもしれない。
無限にステータス値を上げるなんて現実には馬鹿げた夢であり現実味が無さすぎるのである。
でも、なんとも夢のある話である。
なんて気楽なことを言っている余裕は実はないのが今の俺の立場だったりする。
ただのモブのくせに英雄だなどと認定されてしまった俺。勘違いとは言え困った話である。
俺が実はモブだと何度言っても謙遜だとしか受け取ってくれないのも困ったものだ。
そりゃ、俺は天職も持たない子供のくせにレベル29でスキルが六個も生えた天才児である。
更には国の中でも王子様よりも偉いなどと言われるテンシラーオン公爵家の公子であるため、逆の色眼鏡で判断されてしまっのだろう。
ともかく俺は英雄級までとは言わないまでもせめて俺の従者アイリス嬢と同じ程度の実力が期待されてしまっている訳だ。
だから俺は人の何倍も努力して実力を得る必要があるのだが、俺には二つの理由で望みがないのだ。
一つの理由は、俺には時間がない。
俺達貴族は、13歳なる年の春に貴族学園に入学しなければならない。
そして貴族学園には、ももちろん入学試験がある。
貴族なら下駄を履かせて必ず通るとも言われる入学試験だが、そんな事はどうでも良い。
俺の入試の成績は王国やパパ様には筒抜けなのは明らかであり、入試の内容が問題なのだ。
ちなみに入試における実技試験は実はとてもシンプルなのだ。能力測定器に判定してもらうだけだ。
もちろん本物の実技試験もあるが。そっちは俺の身分さえあれば誤魔化す方法がいくらでもあるわけだ。
一方、能力測定の方は簡単過ぎるがズルはできない。
この能力測定器だがアーティファクトな魔道具で、トータルなステータス値で実力を判定するらしい。
つまり今俺がこの測定器にかかると俺がモブなのがバレバレだと言うことである。
その入試は来年の四月だ。もう一年を切っているのだ。そう言う理由で時間が無いのだ。
そして俺が無理をして実力をつけなければない二つ目の理由は、俺の天職が『モブ』だからだ。
天職が『モブ』では、所詮ステータスの上昇率も最低。
スキルの発生も絶望的。
更にはレベル限界も相当低いと想像できてしまう。
そんな俺だからこそ、必死になってレベルリセットを繰り返し、少してでもステータスを底上げし、レベル限界の範囲の中で少しでもステータスを上げ、ショボくてもスキルを取得してゆかねば、入試で人並みな成績にすらなれないにちがいないのだ。
だから俺はサブ職業を得たら直ぐにレベリングを開始することにしたのである。
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