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第七幕 新たにパーティーが加わりました


モラスの村にポツンと小さな喫茶店があり、俺達はそこで軽い食事をしていた。


「へぇー。じゃああんたも良くわからない内にこっちの世界へ連れてこられたのね」


赤髪ツインテールの子は手元に置かれたスパゲティをフォークでくるくる回しながら俺の異世界転移の経緯について聞いていた。


「まぁそうだな。んで、そこでコイツと出会った訳だ」


チラッとアスタリアに視線を向ける俺。


「えぇ、そうですねー...」


そのアスタリアはと言うと、どういう訳か困惑した様子でスパゲッティを眺めている。


「どうしたんだよ。腹減ってないのか?」

「いえ、そう言う訳じゃ無いんですけど...どうやって食べるのかわからないのです」


そしてあからさまにシュン...と項垂れてしまったアスタリア。

目の前に食事があるのに食べ方がわからないのが悲しいのだろう。


「いや、普通にフォークで食べればいいだけじゃね?」

「やっているんですけど...上手く出来なくて...」


そう言ってアスタリアはフォークをスパゲッティに垂直に突き刺してそのまま持ち上げた。

当然の如くスパゲッティは重力に従ってフォークの隙間からスルスルと抜け落ちてしまっている。

それを見た俺は吹き出しそうになり、ツインテールの子はやれやれと肩を竦めていた。


その時ーーー


「あっ・・・!!」


アスタリアは手に持っていたフォークを滑らせて床に落としてしまったのだ。


「あぁ、何やってんだよ...」


俺はそう言ってアスタリアが落としたフォークを拾おうと屈む。

そして起き上がろうと正面を見た時、目に映ったのは...

黒ニーソとチェック柄のスカートの間から覗く、太ももと熊さんマークの入った白いパンツだった。


(ーーー!!!)


すると、それに気付いたのかツインテールの子は、パンツを隠す様にスカートを押さえ付けて俺が顔を出すや否や、冷ややかな声で貶し始める。


「アンタもそんな奴だったんだ...この変態...!!」

「い、今のはわざとじゃ...」

「と、兎に角新しいフォーク貰ってきてよっ!!」

「あ、あぁ...」


最早言い訳を聞く気すらない様で、新しいフォークの要求をしてきたツインテール。

それに従って俺は店員を呼んだ。


「すみません、新しいフォーク貰って良いですか?」

「少々お待ちください」


そう言ってしばらくすると、店員が新しいフォークを持ってきたのでそれを受けとるとツインテールに渡した。


「貸しなさい、こうやって食べるのよ」


ツインテールはアスタリアのスパゲティを自分の元へ引き寄せると、フォークでくるくると巻き取ってアスタリアに渡す。


「はい、こうすんのよ。わかった?」

「わあぁ...ありがとうございます!!」


ようやくスパゲティを食べると言う悲願を果たせたアスタリアはとても嬉しそうだ。


「でも今時スパゲティの食べ方もわからないなんてねぇ...」


するとアスタリアはスパゲティを頬張りながら答えた。


「私は世界の管理者ですから...もぐもぐ...人類の文化等は...もぐもぐ...よく知らなかったのですよ...もぐもぐ...」

「世界の管理者って...そう言えば私もこっち来た時そんな事言ってた優男見掛けた気がする。って言うか飲み込んでから話しなさいよ!!」


なるほど、赤髪ツインテールのツッコミも的確だが、やはり管理者は他にもいるってアスタリアの情報も間違ってなかったのか。


「あ、そうだ。ずっと聞いていなかったけど、これも何かの縁だ。名前くらい聞いておきたい。俺は園田帝斗。君は?」


するとツインテールは再びスパゲティをくるくるしながら答えた。


野中暁美(のなかあけみ)。向こうでは中学三年生、こっちでは『フレイムマジシャン』」


「なるほど、フレイムマジシャンね...って言うかいつもあんな感じなのか?」

「あんな感じって何よ」

「なんつーか...ちょっと強気な女の子って言うのかな?」

「あー...言われてみれば何か昔からそんな感じだったからね私」


やはりそうか。

年上相手にも全く臆さない。

まぁ、男数人に絡まれながらもひっぱたいた鋼の精神考えると納得がいくと言うものだが。

すると突然暁美は何か思い付いたかの様に言った。


「そうだ。アンタお金無いとか言ってたじゃん?」

「あぁ、言ってたな」

「だったら私も丁度ギルドで仕事貰おうと思っていたから一緒に来ない?」

「あぁ、なるほど。そう言うのもあるのか」


「あるわよ。色々な仕事を紹介してくれるの。困っている人がギルドに依頼を出して冒険者が依頼を解決!!って感じ。ブルースタリエって街にあるけど場所もそこまで遠くないし、私としても二人いた方が楽だし」

「アンタは仕事が欲しい、私はパーティー組みたいで利害が一致してると思うんだけど」


それに対する俺の答えは当然決まっていた。


「わかった。君となら上手くやっていけそうだし、そう言うことなら宜しく頼むよ」


そして俺達は握手を交わした後、店を出て、早速ブルースタリエを目指して歩いた。


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