第一幕 異世界で職業分析された結果《正体不明》でした。
「うわあああぁぁぁ!!!」
ものすごい勢いで俺の体は急降下し、地面が目の前に差し迫っていた。
(あ、俺死ぬ...折角ゼウスギガンテ当てたのに...)
そんな今となってはどうでも良い事を頭に浮かべながら目を瞑る。
.......
・・・・・
(....あれ?)
だが、おかしな事にいつまで経っても俺の体は地面に衝突しないのだ。
それどころか、未だ浮遊感は続いている。
そして俺は恐る恐る目を開けてみた。
すると、そこは...
「な、何だよ。これ...!!」
目の前に広がった景色、光景に未だ落ちながらも唖然とする。
空には月のような惑星が2つ並んでおり、しかも割りと近くにあるようでかなり大きく見える。
それだけじゃない。
視界の遥か先には良くわからない塔が立ち並んでいたり、更にはドラゴンのような生き物が飛んでいるのまで見えた。
刹那、頭の中に無機質な声が響くーーー
〔アルカディアの認証登録を開始します〕
〔名前 : 園田帝斗、 年齢 : 16歳、 性別 : 男〕
〔職業適性判断...フレイムマジシャン...不適合、ナイト...不適合、アサシン...不適合、アーチャー...不適合、不適合...不適合...不適合...職業 : 正体不明【アンノウン】〕
すると、今までの無機質な声とはうって変わり、今度は女の子らしき声が響いてきた。
〔アンノウンって、そんなの聞いた事ありませんよ!?今までで初めての例です!〕
無機質な声から女の子の声に変わったことにより、無謀な試みと思いつつも藁にもすがる思いで声の主に向かって叫んだ。
「何かよくわかんねぇけど、そんなことは良いから早く助けてくれええぇぇ!!!」
〔あー、それについてはご心配なく。私が直接手を差し伸べなくても世界が貴方を助けてくれますから〕
等と女の子の声は訳のわからない事を特に焦る感じでもなく、さらっと言い放った。
そんな呑気な声とは裏腹に下いっぱいに広がる森を突き破ると、二度目の地面が目の前に差し迫っていた。
ーーー今度こそ本当に、死ぬ!!
ズドオオォォン....
そして俺は地面に衝突した。
ーーー筈なのだが...
「....あ、あれ?」
俺は仰向けに倒れているだけで死ぬどころか、体の何処にも怪我がない。
その周りには小さなクレーターが出来ており、それは半円形の形をしていた。
そんな中、今起きた一連の出来事に頭の整理が追い付かず呆けていると、中学生...いや、或いは高校生くらいだろうか?
銀髪で紅色の瞳をした女の子がひょっこりと顔を出した。
「無事ですね...ようこそ!『アルカディア』へ!!」