プロローグ 終わり、そして始まり
ある晴れた夏の日の事。
よくある高校生活のよくある日常。
何の変哲もない代わり映えのない風景。
持ち込み禁止のスマホ片手に昼休みに屋上で友達と駄弁ってる俺。
名前は園田帝斗。
「あ、俺今キてる!!」
唐突に叫び立ち上がった俺に友人らが驚いて俺を見上げる。
「なんだぁ急に?」
「バウンドモンスター、今なら限定SSR出る気がする!たまにこう言うピンとくる時あるんだよね俺」
「あー、なんか分かるわそれ、たまにあるやつなw」
「よし引くか!」
アプリを開き、ガチャ画面に移動して10連分の貯めた石を迷う事なく投入した。
ーーー結果は…
「よっしゃぁ!!ほら来た!!限定SSRのゼウスギガンテ!!」
「おいおい、マジかよwその運俺にも分けてくれよ」
しかし、時に日常はある日突然崩れ去ったりする物だ。
いつものように登校したら車に轢かれたとか突然刃物で腹を刺されたりとか、様々な要因で人は簡単に死ぬ。
人はそれを『運命』と呼ぶのだ。
その時俺は屋上のフェンスに背を向けてもたれ掛かっていた。
「よし、早速強化してクエストに潜ろうっと」
するとちょうどその時、予鈴のチャイムがなる。
「やべ、次の授業国語じゃん。早く戻んないとあのクソ鬼教官にキレられる!!」
友人の言葉に俺はもたれ掛かったフェンスに力を込めてバネ代わりにして起き上がろうとした。
それが俺の『運命』が決まる瞬間だった。
ーーーバキンッ!!
とても嫌な音がした。
そして、フェンスの反発で起き上がるはずの俺の体は気付けばフェンスを通り越して宙に投げ出されていた。
「・・・え?」
「あ、おい!!園田!!」
ーーー終わった。
俺の脳内が、感覚が、細胞が、俺の死を告げている。
そのまま俺は地面に向かって頭から落ちていった。