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第92話:名将の死

 かなりの戦闘車輛を失った第六軍団であったが未だ総規模五個師団規模クラスの兵力を有している事によりパットンは前進を命じる。


「あれほどのモンスター級の破壊力を持つ兵器の維持費及び燃料弾薬の消費は桁違いだ、現在の日本の国力等を押し測ったとしても枯渇したに違いない! ガソリンある限り進撃! 日本軍団を殲滅させるのだ」


 勇将・猛将・闘将の代名詞ともいえるパットン大将の指揮の元、編成を整えて進撃開始する。


 途中、日本軍陣地跡を通過したが相当慌てている感じで急いで退却していったことが分かる。


 猛進撃を続けている内に遂に習志野の地にパットン軍団は到達する。


 ブラッドレイ大将から補給線が伸びていますので今夜は宿営してはいかがですかとの提案を受けてパットンは頷く。


 その日の夜、闘志に溢れていたパットンはじっとしているのが落ち着かなくて参謀と共に陣地の巡回を自ら実施していたがテントの外で何か落ち着かない兵士を見つけて声を掛ける。


「おい、二等兵! どうした? 明日は忙しいぞ、早く寝るのだ」


 パットンと知った二等兵は慌てて敬礼するが手が震えていたのでパットンは己の高揚感を持て余していたのでカッと怒りの瞬間沸騰装置が働く。


「その態度は何だ!? 戦争を馬鹿にしているのか? そこに直れ! 喝をいれてやるから動くな」


 そういうとパットンは右拳をきつく握りしめるとその二等兵の頬を思いきりぶん殴ると共に蹴り上げる。


 鈍い音が二等兵の身体からしてヒョヒョロとした二等兵の身体は吹き飛んでいく。


「どうだ? 気合が入っただろう、明日の奮闘に期待している」


 そういうとパットンは参謀と共に去って行くがその二等兵は肋骨にヒビが入っていてその騒がしい声で他の皆が外に出て来たが平時とは違うのでとりあえずその二等兵は野戦病院テントに運ばれていくがその二等兵は憎々し気な目でパットン殺す・殺してやると小声で呟いていたが幸いにも誰も気が付かなかったのである。


 大事の前の小事と言う事で昨夜の小さな騒動も問題とならず、夜が明ける。


 パットンは既に昨夜の事をすっかり忘れていて今日こそ勝利を掴んでやると皆の前で演説する。


 0600時、パットン軍団は再び進撃するが既にその詳細な位置は日本軍の手で全て把握されていたのである。


 江戸川手前まで退却した池田戦車大隊と東條兵団は陸上自衛隊帯広方面司令官になった大窪陸将補と合流する。


「どうやら敵将パットンは進撃してくるようだが流石は猪突猛進だ。そしてこの地が終焉の地となるのを知らないのだな」


 大窪の言葉に池田と東條も頷く。

 パットン軍団がこの座標に到達した時に一斉に半包囲して高火力攻撃により壊滅させるとの事を三名は再確認する。


 パットン軍団は船橋市に到達するが市と言ってもそこには更地が広がっていて何もなく荒野が広がっているだけであった。


 その様子を見たパットンはまるで米国の砂漠のようだなと言うと参謀も頷く。


「ここで紡錘陣形を形成して日本軍が背水の陣で待ち構えている江戸川陣地まで一気に進撃する! 怯むな、恐れるな! 媚びるな、退くな! 全軍、突撃!!」


 パットンの号令が周囲に轟いた瞬間、凄まじい轟音がしたかと思うと次々と各所で大爆発が起こる。


 この戦いの為に“さがみ”で生産された“クラスター榴弾砲”“白リン弾”“ナパーム弾”そしてMOAB弾と言った令和と言った未来の時代では禁止されている兵器が無数の如くパットン軍団の頭上に次々と降り注いでいく。


 悲鳴と怒号があちらこちらで発生するが直ぐにそれは沈黙していく。


 一瞬で死を招き入れる死神の鎌により次々と呻き声や断末魔の声をあげてバタバタと倒れていく米軍兵。


 それでも途切れる事がなく上空から殺戮兵器の雨が降り注いでくる。

 その様子を映像で見ていた日本陸軍・海軍等の主要基地では各司令官が溜息を吐きながら呟く。


「……最早、これからの戦争は戦車同志が撃ち合ったり塹壕を挟んで銃撃する時代ではないのだな! 超射程距離から敵よりも早く探知して広範囲攻撃兵器により敵を殲滅する……それがこれからの戦争の在りかたか」


 五個師団規模の軍団もズタズタに各所を分断されて無慈悲に命を狩り取られていくのをただただ見つめるだけで何も出来なかった。


 既に半数を失ったパットン軍団は遂にゲシュタルトが崩壊してパニック状態に陥り我先にと武器を手放して後退していこうとするが視界が全く見えないので今よりも輪をかけて大混乱に陥る。


 海兵隊主力を率いていたブラッドレイ将軍も又、MOAB弾の爆風によって吹き飛ばされて思いきり地面に叩きつけられて背骨が骨折して動けなくなっていた。


「……誰か……いないのか? 救護……兵……は……」


 絞り出すように声を吐くブラッドレイ将軍であったが周囲にいた者達は全員、絶命していてブラッドレイの真正面の視覚に首と手足が吹き飛んだ死体が枯れた木にぶらさがっているのを見て己の死を悟る。


「……欧州よりも地獄ではないか、俺達は……生温い戦場で……手柄を立てて……いい気になっていたのか……」


 そう呟いた瞬間、上空からナパーム弾が落ちてきて彼の意識を始めとする身体をも全て焼き尽くしていく。


 そしてパットン大将はというと強運な力を発揮して無事であったが何とか未だ健在な部隊を再集結させて前進しようとしたが既に全体の八割以上の損害を出していたため、どうする事も出来なかった。


「……クソッタレ! どいつもこいつも臆病ばかりな者達だ! もっと勇敢な将兵はいないのか?」


 パットンの怒鳴り声に生き残りの参謀達は退却を進言しようとした時にそれは突然、起きる。


 パンパンと乾いた音が二発パットンの後ろで鳴ると同時にパットンは背中に熱い痛みを覚える。


 ゆっくりと振り向くとそこには昨夜、殴り飛ばした二等兵が憎々しげな表情で拳銃をパットンに向けて発砲したのである。


「な、貴様……」


 その瞬間、パットンの眉間に二等兵が撃った銃弾が命中してゆっくりと彼は崩れ落ちると絶命する。


 その二等兵は直ぐに拘束されたがその瞬間、上空から最後のMOAB弾が炸裂して残っていた全てのものを破壊したのである。


 欧州戦線で活躍した一線級の軍団は文字通り一人も生き残らず戦死する。


パワハラはいけません、いつどこで復讐されるか分かりませんから。


江戸の仇を長崎で執るという事です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良いじゃ無いの?所詮レイシスト国家だし、21世紀なっても未だKKK が健在な国だよ黒人の権利も1970年代になって漸く認めたコ汚いレイシスト国家だし良く支那の人権弾圧批判出来ると笑ってみてる…
[一言] アイゼンハワーの軍団もこの調子なら撃退できそう
[良い点] 陸奥の爆沈も兵のシゴキに耐えかねての無謀な自爆と言われてます。 たかが兵でも追い詰めれば牙を剥くしか無いですね。 パットン将軍は映画でもパワハラ将軍で有名でした。 戦時には戦闘意欲旺盛で通…
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