第91話:接戦?
パットン軍団が印旛沼要塞に殺到して外壁を突破しようとした時に突如前面の外壁が崩れたと同時に耳がつんざく程の雷鳴が周囲に響き渡る。
それは手ぐすね引いて待ち構えていた二十輌の超重戦車と五式中戦車の一斉砲撃によるものでこの初撃で百輌の戦車が瞬時に吹き飛ばされてしまう。
百二十ミリ連装砲の破壊力は特に凄まじく砲弾はMOAB弾と匹敵するほどの破壊力で広範囲を破壊し尽くすのであった。
「な、何が起きたのだ!?」
後方で指揮を執っていたパットンは要塞の外壁が勝手に崩れたかと思うと凄まじい轟音で耳が一瞬、聞こえなくなると同時に地響きする程の震動が軍団を襲う。
「閣下! 敵のマンモス戦車とタイガークラスの戦車の砲撃で全軍の一割を喪失しました!」
「何だと!? 突撃して数十秒後にか!? 構わん、そのまま突っ込んで乱戦に持ち込みヤンキー魂をこの俺に見せるのだ」
パットンの命令を待つことなく軍団は恐れを知らずに一瞬で隊列を整え直して突撃してくる。
それを見た池田少将は感心した表情を見せるが直ぐに真剣な表情になり第二砲撃を命令する。
第二斉射が放たれると次々と米軍の戦車や装甲車が吹き飛んでいく。
パットン軍団の正面には鉄条網を始めとする鉄骨で作成したバリケードが貼られていてそれに立ち往生すると同時に砲弾の雨が降ってくる。
「ふむ、戦闘で大事なのは火力の集中攻撃だな。見ろ、まだ我らの本陣に辿り着けられないだろうが」
池田が指差した先には、障害物を突破しようともたついていてそこに火力の集中砲撃を受けて破壊される戦闘車輛。
海兵隊が鉄条網を切断して前進しようとした時、その海兵隊の中心地点にMOAB弾が炸裂して一瞬で三千人もの海兵隊の命が無残にも刈り取られていった。
「まるで長篠の戦いですね? 三段構えの柵に無敵と言われた武田騎馬隊を撃破した戦いにそっくりです」
参謀の言葉に池田が頷くとそこに東條英機率いる第二十二歩兵師団が到着して池田軍団と合流する。
「これは東條閣下! 高名な東條閣下と肩を並べて戦えることが出来るとはこの池田、生涯において自慢出来ます」
本心で言ったが今の東條はそんな言葉は欲しくなく池田に世辞は無用と言うと大混乱状態のパットン軍団に突撃命令を出す。
会戦僅か二十分後で全体の三割を喪失していていたが類まれない采配を持ってパットンは態勢を整える。
「うろたえるな! 重装甲を持つ戦車を前面に押し立ててその背後から砲撃するのだ! ここで踏ん張れば勝利の女神がキスしてくれるぞ!」
彼の言葉に軍団は歓声を上げると共に一旦、後方に下がって編成し直そうとしたときに超重戦車を先頭に百輌の五式中戦車が東條率いる歩兵師団と共に突撃してくる。
「進撃だ! 撃って撃ちまくれ!」
池田の号令の元、歓声を上げて突撃してくる日本兵に米軍は反撃しようとするが百二十ミリ連装砲の破壊力で次々と中隊クラスが吹き飛んでいく。
日本軍の砲撃で五体満足で死ぬものは皆無で腕や足が吹き飛んだ死体や首だけの死体がゴロゴロと転がっている。
「クソッタレ! ジャップのモンスタータンクだ! 撃て!!」
M26パーシングやシャーマン戦車の一斉砲撃が超重戦車に命中するが掠り傷も負っていなく反対に百二十ミリ連装砲の餌食になり原型が分からない程、破壊される。
戦車戦に突入していく日米であったが日本以上の戦力を持つ戦車軍団も常識通じない超重戦車の砲撃で次々と数を減らしていく。
「既に戦車部隊の半分は破壊されているが統率は未だ健在だな、流石は名将と言われるだけある」
池田と東條はパットン軍団の粘り強さに感嘆している。
その時、後方で信号弾が何発も上空に上がる。
「よし! 全軍に伝えろ、至急速やかに後退するのだ! その前に再度、一斉砲撃で敵を後方に下げさすのだ」
轟音が辺りを震わせて日本戦車の一斉砲撃が加えられてパットンは後方に下がり編成し直す事を決定する。
パットン軍団が後退始めた時に池田と東條率いる部隊は一斉に後退してそのまま要塞内に入るが要塞を放棄して江戸川方面へ退却する。
「パットン将軍、追いかけて来るかな? 追いかけてくれば……異国の地で戦死か」
日本軍が後退した事を偵察隊が報告するとパットンは要塞に逃げこんだのかと思ったが日本軍は要塞を放棄してどんどん後退しているとの事を聞く。
「パットン将軍、これは日本の罠ではないか? アイゼンハワー元帥の本隊を待ったほうがいいと思うのだが?」
ブラッドレイ将軍は仮に罠ではないとしてもあの常識外れの破壊力を持つマンモス戦車の相手をするのは無駄だと言う。
「既に会戦僅か一時間で戦車部隊の六割を失ったのだ!」
パットンはじっと考えていたが何か決断した表情になり前進を決定する。
「前進だ!! ガソリンある限り前進だ! 後退したという事はあのような凄まじい新兵器の砲弾が尽きたという事だろう。もし、まだあればあのまま攻撃してくるのは当たり前だからな? ブラッドレイ君、前進だ! 戦車の数は四割失ったがあの日本軍戦車部隊との差は僅かだ」
こう決定すればパットンは頑固だからブラッドレイも諦めて頷く。
この時点で死神の鎌の射程内に入った軍団だがそれは誰にも分からない。




