第80話:コルネット作戦発動!!
遂に物語が大幅に動き出します
一九四六年十月二十日、アメリカ合衆国西海岸最大軍港“ノーフォーク”及び沖合に史上空前の大艦隊が集結していた。
それも一部で各方面に集まっており最終的に真珠湾で集結予定である。
コルネット作戦に参加する艦船は、戦艦40隻・正規空母80隻・護衛空母100隻・巡洋艦250隻・駆逐艦600隻・潜水艦200隻・その他補助艦船700隻・艦載機総数12,000機・兵員輸送船2,000隻(一隻で200名・40万人)・LST-1改級戦車揚陸艦8千隻(一隻で20両・16万両)にも及ぶ大艦隊であった。
参加人数は海軍100万・陸軍80万もの兵力で米国が持てるだけの最大戦時体制を以て整えたものでこの無茶苦茶な要求を受け入れたお陰で軍需兵器産業は天文学的な利益を出したのである。
「この国に敵が上陸してこなければ全滅したとしても又、造ればいいのだからな」
各兵器産業の死の商人のトップはホクホク顔の笑顔であった。
彼らにとっては何十万死んでも戦争が続く限り、兵器の生産で大儲けできるので長引いてほしいと思う人も多々いたのである。
この史上空前大規模の最高司令官は『ドワイト・D・アイゼンハワー』元帥で艦隊総司令官は『チェスター・ニミッツ』元帥であった。
両司令官は同日、ハワイ真珠湾にて邂逅して握手をする。
「ようこそ、アイゼンハワー元帥! 大西洋での数々の活躍をしたその辣腕ぶりを拝見させて頂きます」
「こちらこそ、よろしくお願いします……と言いたいが貴方達の不甲斐ない行動で欧州軍が太平洋に回されたがその代償としてソ連が雪崩れ込んできて旧ナチスドイツと同じような広さを獲得した」
明らかにアイゼンハワーは表向きでは笑顔だったが内心は腹が立っていた。
ノルマンディーからベルリンまで進撃して多大な損害を出しながらも遂にナチスを倒して欧州を開放してソ連の対策をし始めた時に全軍を太平洋方面に回す命令を受けた事に。
ニミッツ元帥もそれについては申し訳ないと思っていてあの南九州上陸作戦が破綻した時に日本と講和すればよかったのにと思っていた。
「元帥の気持ちは重々承知しているが今は日本を完全に屈服させることについて考えようではないか!」
アイゼンハワーは正直言って太平洋方面の日本戦に対してそんなに重要視もしていないしそんな東の端にある黄色い猿の国の事は頭の隅にもなかった。
だが、彼はマッカーサー率いるオリンピック作戦が完全に失敗したばかりか全兵力の殆どを喪失した事に信じられなかったのである。
「ニミッツ元帥、噂によれば……リヴァイアサンやモビーディックと呼ばれるマンモス潜水艦によって海軍の艦船が全て葬られとか?」
「……元帥に写真を送ったと思うが現実だ! ジュール・ヴェルヌの海底二万マイルに出て来る白鯨よりも強力な潜水艦だ」
アイゼンハワーは暫く無言状態だったが小さな溜息をつくとその潜水艦の対策をきちんと考えているのかを聞くとニミッツは頷くが未だ実験段階である為、はっきりとした確約が出来ないが実験では大成功に終わった事を言う。
「但し、一回ポッキリしか使用できないのだ。想像以上な程、充電バッテリーが必要だからな」
ニミッツの言葉にアイゼンハワーは頷くと真珠湾口やその沖合に無数に停泊している史上最大の大艦隊の威容を見て頷く。
「まあ、その潜水艦にしても情報によると一隻しかないとのこと! 行動も制限あるだろうし欧州戦線に比べたら楽な戦いだろうな! マッカーサーは勝利に浮かれていて油断していた為に全滅したのだろう。いざ、関東に上陸すれば我が軍最強と言われる戦車師団が唸りを上げて突っ込むだろうさ。『ジョージ・パットン』将軍や『ブラッドレー』将軍達を始めとする欧州で自由自在に駆け抜けて敵を叩きつぶした無敵装甲師団が私達の兵力なのだ! 後は海軍が無事に制海権をとって我らを上陸させる事が出来れば勝利の女神のキスがもらえるであろうな」
勿論、アイゼンハワーも油断はしていなかったが彼らの想像が及ばない程の存在がこの世界にあるということは夢にも思わなかったのである。
アイゼンハワーの言葉にニミッツは力強く頷くが心の隅の中では一抹の不安が残っていたがそれを口に出す事は出来なかった。
「(数日前にスプルアーンスとマッカーサーがやってきてこの戦いは史上空前及び最大の大敗北を喫するかもしれないので早期講和を大統領に進言して欲しいと言ってきたが……)」
最近のトルーマン大統領は何か変で顔の表情も変わっているような感じがしていたがそれは疲労の為だと思っていたのである。
「(オリンピック作戦から約一年が過ぎたが……恐らく日本の国力から言ってまだまだ立ち直っていない筈。そして日本全国にある兵器で総神風特攻を仕掛けてくると思うがその時が彼らの最後の始まりだ)」
今回はニミッツも直々に出撃する事が決まっている。
旗艦は超最新鋭空母“ミッドウェイ”であり喫水線下の船体全部に現在での最高技術な装甲が貼られているのである。
これは今回、参加する全艦艇に施されている処置で実験でも米軍や英軍が所持している多々の魚雷に見事、耐えきった性能だったのだ。
「……よし! 出撃は明日の0600」
史上空前の大艦隊に日本海軍や陸軍は?
天才策略家「石原莞爾」を始めとする日本全国を上げての戦いが始まろうとしている。




