第79話:とんでもない跳んでいる現在
一体、この世界はどうなるのでしょうか?
日本本土に侵攻した米軍を撃退した日本では急速な復興作業が起きていた。
米軍による無差別爆撃が無くなってから七ヶ月が過ぎて焼け野原となった地上でも人々が動き始めて活気が戻りつつあったが今年の終りごろに来るであろう史上最大の米軍の大軍が関東地方に押し寄せて来るのでそれと同時に再び何が起きるか分からないので全てが終わるまでは一切の高層建築を認めない触れを出す。
但し、地下に施設を建設するのを奨励した結果、大阪・名古屋の地下に巨大な防空壕施設が建設する作業が行われた。
収容人数が大阪地下防空壕施設では二百万人・名古屋では百九十万人が収容できる広大な施設が建設されてその他にも各都市や町でもその地上にいる住民数規模と同等の地下都市が続々と建設される運びとなりその建設材料も“さがみ”艦内工場で錬金術というチート的な技術で鋼鉄を始めとするあらゆる多種の材料が続々と生産されて日本全土に運ばれていく。
石原莞爾の考えている最終案は国民の全部を収容出来る大地下都市を建設する事であった。
日本全国の地下都市を地下鉄で繋げるという百年をかけての大規模計画である。
その全てを統括するのが未来から来た人物であった。
「しかし二十二世紀の技術は素晴らしすぎる! 私でも理解する事が出来ない複雑な機械が活躍している」
手放しで称賛している石原の横に眼鏡をかけた知的溢れる若い青年が無表情で頷いている。
「杉下左京と言ったな? 有泉さんから超有能な官僚出身だと聞いたのだが何でも帝都大学、いや……未来では東京大学だったかな? 最優秀首席で卒業してキャリアとして官僚となった事だが何故、前途ある生活を捨てて死ぬかもしれないこの時代に来たのかね?」
石原の言葉に杉下は自分がいた世界はもう成熟していて出世も年功序列でしかなく上司にゴマをするのがうまい人物しか出来ない閉鎖された空間でしたので面白くもなく腐っていたが旧知の有泉さんから誘われて直ぐに承知したことをいう。
その事を聞いた石原は成程と頷きその決断は正解だと誉める。
「だが、米軍による関東侵攻を撃退してこの泥沼戦争が完全に終結しなければ君の野望も画塀の餅になるぞ?」
杉下はそれに頷く。
石原は杉下という若者にとてつもない熱意を感じる。
そして改めてこの戦いを勝ち抜くことを心の中で誓ったのである。
♦♦
青森県大湊海軍基地では久方に元気溢れる声が響いていた。
復活した重巡“利根” “青葉” “妙高” “高雄”、軽巡 “大淀” “北上” “酒匂”が新たに戦列に復帰したからである。
尚、大破着底していた戦艦“榛名” “伊勢” “日向”は既にドックに収容されて徹夜突貫工事にて復旧作業に入っていて関東侵攻戦ギリギリに間に合う計画である。
しかし、戦艦“長門”が一週間後に修理完了して戦線に復帰できるとの事で増々士気が高揚していたのである。
木村長官は復活した重巡と軽巡に残存する駆逐艦を合わせて水雷戦隊群を編成する事が決定される。
第一水雷戦隊:利根・大淀・駆逐艦五隻
第二水雷戦隊:青葉・北上・駆逐艦五隻
第三水雷戦隊:妙高・酒匂・駆逐艦五隻
第四水雷戦隊:高雄・ 駆逐艦七隻
未だ沈んでいない浮いているだけの航空母艦“隼鷹”“葛城”は搭載する艦載機が無いので流石に修復はされていなく目立たないように海岸近くの木々に囲まれている所で係留されていた。
後、戦争後半から大量に開発建造された特殊潜航艇だったが連合軍を撃退した後、大量に放置されていて使い道がなく解体処分を考えていたが吉田技術長の提案でそれを改良して生存率及び帰還率九割以上の性能を持たせる特殊潜航艇二百隻が準備されたのである。
重装甲塗料を船体全体に塗り付けて爆雷程度では傷つかない耐久を誇る代物であり魚雷を二発搭載できるがそれも伊400と同じ魚雷を搭載したのである。
毎日毎日の猛訓練で米軍侵攻の頃にはベテランの腕前になっているだろうと小沢達に報告が入っていた。
「全く、有難い事だ! 米軍を撃退出来る可能性が増々あがっていく。後は、不屈の魂を心に持っていれば必ず勝利を掴むことが出来る!」
刻々と新たな情報が東京の海軍省に入ってくるのを確認する小沢海軍大臣は希望を胸に抱いて激務をこなしていた。
それは石原莞爾も同じで有泉達の協力を得て強力な中戦車を続々と開発生産して関東各地に配備されていく。
「ふむ、五式中戦車百両が多摩丘陵要塞方面に展開するのか。後、何なのだ? この重戦車は?」
石原を始めとする東條や山下、樋口、宮崎と言った各区司令官が中年男性が机上に広げられている仕様書を見ながら信じられない表情をする。
「重量七十五トンに武装は百二十ミリ二連装砲に三十ミリ機関砲二門搭載……それを百両生産して上陸戦に間に合うように提供する? 名前は“鬼牙”か……」
信じられない表情の石原を始めとする各大将は茫然としてその設計図を見るだけしか思考が働かなった。
陸上自衛隊の大窪も二連装砲を初めて知る。
「海軍の重巡洋艦に搭載している砲塔を丸ごと戦車に搭載すると言う感じだがそんな化け物が五十キロの速度で動く? 流石に信じられないのだがしかも既に十両が完成しているだと?」
頭が見事に禿げている中年の男性が自信満々な表情で笑みを浮かべて頷く。
有泉の時代での朝霧コーポレーション兵器開発部出身である『黒多除水』技術一等自衛佐である。
「朝霧の超技術力の結晶の一つである反重力物質を使用して作成した物です。これも“さがみ”という現実離れした艦のお陰ですが。大窪陸将補がいた世界はレールガン搭載兵器が発達したのでしょうが私の世界では反重力という技術が発展したのです。最もこの技術は極秘中の中でも極秘でした! 何しろ、日本政府内にもスパイがウジャウジャいましたからね」
石原莞爾は改めてこの場にいる者達にここまで我らに力を貸してくれる未来の別世界の同胞達に恥じない戦いをしようと誓うと全員が大きく頷く。
とんでもないチート兵器出てきますがこれも未来から来た技術力がないと実現できないものばかりです。果たして関東侵攻戦どんな展開になるのか?




