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第78話:復活! 

 呉軍港では、『木村昌福』連合艦隊司令長官を始め、小沢海軍大臣以下海軍省の主な者が整列していた。


 全員が期待に満ちた表情をしていて今か今かと待ち受けていたのである。


「米軍に比べると微塵の戦力だが現在の我々にとっては百万の援軍にも等しい」


 小沢海軍大臣が木村連合艦隊司令長官に話しかけると木村も頷きここまで修理改修に尽力を尽くしてくれた“さがみ”と艦長である有泉一等海佐には足を向けて寝られないと言う。


「確かにその通りだな、それと伊400の吉田技術長のお陰で残存帝国海軍艦艇全てに“おおわし”を介しての全艦船と情報をリンク出来るのは大変、有難い」


 ワイワイガヤガヤとお互い話していたがラッパ手が弾く音が流れると全員が整然と整列して一瞬で沈黙が訪れる。


 戦艦“大和”を建造した呉軍港ドック扉が開くとレールに乗った軍艦が後ろ向きに滑りながら海面に突入して浮かぶ。


 大歓声が沸くがその後からももう一隻の軍艦が海面に滑り落ちて海上に浮かぶ。


「うむ……重巡洋艦“利根”と“青葉”が新品と間違える程のピカピカに磨き上げられている! 何という美しくて鋼鉄の城だ!」


 大破着底のまま朽ちていく鋼鉄の城が再び祖国日本の為に暴れまわれる……この感情が出席者達を支配する。


「お待たせ致しました、これから改良部分を説明させて頂きます」


 伊400技術長の吉田が分厚い書類を手にやってくる。

 後ろには日下艦長と橋本先任将校もいた。


「利根と青葉もそうですが浮揚させた艦全体には艦の重要部分には伊400や“さがみ”と同等の特殊装甲塗料が塗られています。といっても船体全てではありませんので戦闘では破壊される部分もありますが瞬時に轟沈すると言う被害は免れるかと。後、魚雷発射管ですが改良して酸素魚雷ではなくて伊400と同等の自動追尾魚雷を装填できるようにしましたので。最も、魚雷にインプットする管制装置は無理ですので一直線のみしか射出できませんが日本海軍の水雷士の能力は最高ですので問題ないかと思います。威力は三万トンクラスの艦船を真二つにします」


 吉田技術長の言葉に出席者達は感嘆する溜息を吐く。

 横須賀ドックでは北上と大淀が利根と青葉と同様の処置がほどこされていている。


 データリンクされたことにより日本本土の一室で全艦艇の位置及び情報共有が可能になったのである。


 最も伊400のみは“さがみ”のみである。

 潜水艦と言う隠密行動を執る故である。


「旧乗員を再招集して残り日数が少ないが猛訓練をしなければいけないな」

「ええ、彼達も再び思いれがある艦で戦えると分かれば戦意も上昇する筈です」


 木村と小沢が笑みを浮かべて話すと日下の方に顔を向けて改めて日本の為に力を貸して欲しいと言うと日下も恐縮しながら勿論ですと返事を返す。


「妙高と高雄、酒匂も来週には改良が終わりますので」


 それから一時間の間、吉田技術長から艦内において改良した点を説明していく。


 居住性とトイレ関係は大幅に改良されて快適な空間となる。


 夕刻1700時まで各種説明が終わり元気一杯で解散した後、日下と橋本が利根を見上げながら話していた。


「私がいた世界だが戦後、呉軍港に大破着底している日本艦船を見て私は涙をながしたものだ。やり直せることが出来ればいいのに。そう思い残りの日々を生きてきて天に召される瞬間、新たに生命の力を与えられてこの世界の歴史を変えることが出来るチャンスだ」


 橋本が日下を見ながら思い切って聞くことにする。

 それは艦長が生きた世界では私はどうなっていたのかと。


「橋本さんは伊58潜水艦でインディアナポリスを撃沈した日本海軍の艦長としてあの戦争を生き残り戦後は神職の資格を取得して宮司となったと書物で読みました」


「……そうですか、私は戦争を生き残ったのですね? しかし歴史は変わりました、私が沈めるはずであったインディアナポリスは艦長が撃沈しましたからね」


 日下は利根と青葉を交互に見上げながら改めてこの日本を滅亡から救う為に命を掛けると宣言すると橋本も頷いて右手を差し出す。


 日下も笑みを浮かべながら固い握手をする。


「後、三ケ月もすれば再び史上最大の米軍が侵攻してくる! 恐らくマリアナ付近で大海戦が勃発するだろうが勝ち過ぎないように勝って出血をさせながら戦う困難な戦いが始まるな」


 二人がそこまで話終わった所に吉田技術長が来て、残りは手渡した書類があれば彼ら自身で全てが出来ると伝えたとの事。


「それでは戻りますか、我らの家に……伊400に」


 日下の言葉に二人は笑みを浮かべて頷くとタイミングよく三人がいる桟橋沖にゆっくりと伊400が浮上してくる。


 艦橋ハッチが開くと西島航海長が出てきて手を振る。

 三人も手を振り返すと伊400からゴムボートが出て三人を迎える。


「御苦労であった! 何か変わったことはないか?」


 日下の言葉に西島は元気よく異常なしとの返答をする。

 それからゴムボートに乗った三人は伊400の甲板に降り立つと改めて艦橋を見上げると呟く。


「……最高に素晴らしい艦で私達の家だな。ここが一番落ち着く」

 西島を含む四名が艦橋ハッチから艦内に入ると再び伊400はゆっくりと微速前進する。


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