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第72話:霊長類最強の強運不死身の男

皆様の感想が作者の執筆気分の高揚に必要です。

有難うございます。

しかし本当に ルーデル閣下は人気ですね。

どんな作品でもルーデル閣下を戦死させるシナリオは思いつきません。

 舞鶴湾を出港した伊400は一路、西に転進して水深五十メートルを航行していた。

 艦長室で日下は仮眠をとっていたが扉がトントンと叩かれて目を醒ます。


「どうした? 何かトラブルが発生したのか?」


 艦長室から出て来た日下を迎えたのは橋本先任将校でつい、数分前にSOSを受信した事を報告する。


「SOS? どの地点だ?」

「はい、済州島南西二十四キロ地点です」


 日下は艦長室に入るとノートパソコンを起動してその付近の地図を表示する。

 橋本が指先で発信地点はここですとその場所を示すと日下は時計を見ると何かを考えて決断する。


「恐らく大陸から中華民国の船が救助に向かうと思うが念のためにこちらもその地点に向かうとするか」


 そう言うと艦長室内に備え付けられている艦内専用の内線電話用の受話器を取って発令所に繋げるとどれぐらいの時間でいけるかと聞くと四時間後と返答が来る。


 数十秒間、考えた日下は急いでSOS発信地点まで全速力で迎えと指示する。


「万が一、救助しそこなった漂流者がいると大変だからな」


 伊400は速力を増速すると五十ノットでSOS発信地点に向かうと共に“おおわし”とリンクするが残念ながら“おおわし”はメンテ時間となっていて使用可能は四時間後と表示される。


「……仕方ないか、橋本先任将校! 今から発令所に行くから先に戻っていてくれ」


 日下の言葉に橋本は敬礼して発令所へ戻っていく。

 その姿を見送りながら日下は熱い飲み物を飲むために食堂によることにする。


 そして日下が発令所に入ると全員が起立して日下を迎える。

 艦長席に座ると吉田技術長がやってきてある提案をしてくる。


「実は、晴嵐ですが三機の内、一機だけを有人タイプにしたいのですが御許可頂けますでしょうか?」


 吉田の提案に日下が理由を聞くと晴嵐用に三機分の無線誘導装置が艦内に備え付けられているが何かあった時の為に予備として温存しておきたいとの事。


 日下は吉田の事を信頼しているので二つ返事でOKするが有人飛行の為の操縦士と補助要員の二名が必要だとの事をいう。


「ちなみにこの晴嵐を有人として操縦するのは超ベテラン級の操縦士が必要ですがそんな稀有な人材は本土決戦用で到底、回してくれないと思いますのでそれがネックかと愚行致します」


「この時代でエース級のパイロットか、そんな人材何処でスカウトしたらいいのか……?」

「ビ〇リー〇? があればいいのですがね」


 そんな会話がされている間、伊400が向かっている地点では……。


♦♦


「閣下、ルーデル閣下! 大丈夫ですか?」


 海に放り出された『ルーデル』とガーデルマンの後任の相棒となった『エルンスト・ニールマン』は幸いなことに直ぐに海面に突き出ていた暗礁に辿り着くことが出来たが気を失っていた為、ここが何処なのか全然、分からなかったのである。


「まあ、どうにかなるだろうさ! あの東部戦線に比べたらピクニック気分だ」


 冗談とも思えない程の気楽さな笑い声にニールマンは少しだけ救われた気がした。

 こういう精神を持っていなければあの人間離れをした功績を上げるのは不可能だと。


「ルーデル? そう言えば君はずっと愛機だったスツーカに持ち込んでいたSOS発信機持っているだろう? それを発信すれば?」


 ニールマンの提案にルーデルは頷くとポチっと押す。

 それからルーデルとニールマンは米軍に降伏後の事を思いだしながら笑いあう。


「しかし、出来る事ならもう一度、大空を飛んでアカ共の頭上に爆弾を叩き落したい!」


 ルーデルの言葉にニールマンは救助されたら恐らく米国へ帰還することになるのだがもし、日本本土攻撃に参加命令が来たらいくのですかと質問するとルーデルは暫く考えると首を横に振る。


「いや、日本は同盟国だったからな。そうだな、アルゼンチンにでも行くか? あの地には『ヘルバルト・バウアー少佐』もいるし、かなりの旧ドイツの軍人もいるからな」


 ルーデルの言葉にニールマンも頷く。


 一方、高速でSOS発信地点に向かっていた伊400は目標地点の数キロ手前で速度を五ノットに落して潜望鏡深度までゆっくり浮上すると日下は潜望鏡を海面に突き出して周囲を見渡す。


「ふむ、ここからでは未だ目視が出来ないな! 新見、速度をこのまま維持して真っすぐに進んでくれ」


 日下の命令に新見は返事をするとそのままの速度で艦を維持する。

 それから数十分後、再び潜望鏡で周囲を確認した時、暗礁の上で二人の人物がいるのを発見する。


 その地点からSOS発信されていたので日下は浮上命令を出して伊400は巨大な船体を海面に曝けだす。


 二人との距離は数十メートルであった。

 突如現れた巨大潜水艦に二人は目玉が飛び出るほど、驚く。


「……ル、ルーデル? こ……これは……?」

「さあ? 潜水艦……だな? 日本艦か!」


 二人が絶句している時、日下達が艦橋から出てきて甲板に降りると何か喋りかけるが中々、伝わらない。


 新見がドイツ語で何か喋るとルーデルもドイツ語で返す。


「ドイツ人だと? とにかく救助するのだ、橋本先任将校、何か温かい飲み物を持ってきてくれないか?」


 橋本が頷いて艦内に戻ろうとしたとき、乗員の一人が気を利かせてダンプラーに温かいコーヒーを入れてきて日下に差し出す。


 礼を言った日下がそれを受け取ると新見が教えてくれた片言のドイツ語でダンプラーを渡すとルーデルは礼を言い半分だけ飲むとニールマンにも渡す。


 ニールマンが飲み干すとゴムボートが投げ出されて二人は直ぐに伊400の甲板上に上がる。


 流石のルーデルも初めて見る伊400を見て言葉を失う。

 その中、日下がやってきて新見の通訳を通して自己紹介する。

 ルーデルは救助してくれて有難うと感謝の言葉を発して自分の名前を言う。


 それを聞いた日下を始めとする一部の乗員が唖然と共に驚愕する。


「……ル、ルーデル閣下!? 不死身の……人間辞めていますか? の……」


 大騒ぎの伊400甲板上だったが日下がそれを制して二人を艦内に案内しますと言うと二人は御礼を言う。


「お望みの場所で降ろしますがそれまでゆっくりと身を休めて下さい」


 ちなみに吉田技術長はルーデルを見て数言だけ喋る。

「ビ〇リー〇! 見つけたよ?」


さあ、人材派遣業のCM面白いですね。


晴嵐の搭乗員になれば……面白いのですが彼は米国よりもソ連撃滅に命を掛けていますからどうなるのでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 春嵐のガンは何かな?21世紀製の20mmだとこの時代のB-29でも貫通できるのだが?35mmも捨てがたいよ?装甲車の主砲だからね! そう言えば前章のオーラがオウロラに成ってましたよ? 確かジ…
[良い点] おお、晴嵐がルーデル閣下の愛機ですね。 超低空を駆け回り米ソを殺りまくる閣下の雄姿が見えます。 閣下は現世の魔王ですので寿命以外では死なないでしょう。 それに・・・。 単に一旦寝てるだけで…
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