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第71話:新たな潮流

 旅順港と大連港を復興できない程に破壊し尽くした伊400は、輸送船団と共に無事、舞鶴軍港に帰投する。


 第一桟橋に船体を寄せた伊400は錨を降ろす。

 各輸送船や駆逐艦からは初めて見る巨大な潜水空母を見て驚きの目でまじまじと眺めていた。


 その伊400から日下艦長を始めとして石原莞爾・小沢治三郎が出て来ると輸送艦や駆逐艦の甲板にいた将兵達が吃驚して誰にも言われずに自然と整列していく。


 石原は小沢と目を合わせると困ったような表情をしながら頷くと大声で労をねぎる。

 歓声を上げている将兵を掻き分けながら一人の上級軍人が出てきて敬礼する。


「板垣征四郎陸軍大将、ソビエト連邦満州侵攻軍最高司令官ジューコフ将軍を捕虜として無事に帰還しました」


 石原も敬礼して今回の大功労を褒めちぎると板垣と石原はお互い笑みを浮かべる。

 今回の作戦に参加した者達に少しだが数日間の完全休暇が与えられる事を伝えると歓声が上がる。


 伊400からも祝いとして紅白饅頭を人数分用意して分け与えて欲しいと小沢に渡すと小沢も頷く。


 日下が埠頭の方を見ると艦から降りた石原と板垣が旧交を温めているようで満足そうに頷く。


 二等輸送艦から厳重な監視の元、ジューコフ将軍が出てきたがいつのまにか拘束が解かれていて普通に何も抵抗せずに輸送艦から降りていくが隣の桟橋に停泊している伊400を見て全てを察したような表情をしたが日下に一礼すると幕僚達と一緒に指令部へ連行されていった。


「聞きしに勝る名将だな、全身から出るオーロラが半端でない」


 橋本の言葉に日下も頷く。

 そこに石原と板垣が日下の下にやってきて改めて名を名乗って来た。


「貴方達が別世界の日本からやってきた日下敏夫少将ですか、初めまして私は板垣征四郎と言います。マニラで孤立していましたが山下閣下と共に日本に復員できたばかりかとてつもない功績を上げる事が出来ました。それも別次元の力としか言えない想像を絶する兵器で九州に攻め込んできた連合軍を消滅させた貴方方達に敬意を表します」


 板垣と日下は固く握手をすると石原が日下に貴官達も休みなしで働きづくめだから休んでほしいと言うと日下は礼を言ってそれでは一時の間、秘密基地へ帰投する事を言うと石原は頷くと今日の内に帝都へ戻るという事なので二式大艇が舞鶴湾に停止していた。


「本当に貴官を始めとする伊400の凄まじい性能に感嘆した! どうかこの世界の日本を見捨てずに未来ある日本を共に築いていきたいものだ」


 石原と日下はがっちりと握手をすると一度だけ伊400を見上げてジューコフの元に向かって行った。


 今や日本全国で稼働可能な“二式大艇”は二機しかなかったのである。


 石原莞爾は、ジューコフ将軍以下の者を捕虜としてではなく客人として待遇する事にしていたようでその扱いにジューコフも意外そうな顔をしていたが素直に石原と板垣と共に先に二式大艇に乗り込む。


 そのまま軽快に離水すると空高く舞い上がり帝都方面に向かって行った。


 小沢は舞鶴鎮守府で少しの仕事を片付けて帝都に戻ると言う。


「それでは大臣、私達は出港して基地に戻ります」


 日下以下乗員は小沢海軍大臣に敬礼するとそれぞれ持ち場に戻っていく。

 小沢と日下はお互いに敬礼をするとそれぞれ別れる。


 暫くすると伊400はゆっくりと桟橋から離れて行き船首を舞鶴湾口に向ける。

 そしてそのまま微速前進で沖合に向かって行く。


 小沢は伊400を見送っていたがその伊400が潜行開始して姿が見えなくなった時に踵を翻して鎮守府の方に向かって行った。


♦♦


 伊400が出航した数刻後、上海から一隻の民間船が出航した。

 行先はフィリピンマニラで百二十人の乗客が乗船していたがその中に二人の男性がデッキ甲板上にて煙草を吸いながら海面を見ていた。


「なあ、ニールマン君? 聞いたかい、日本軍が大連と旅順港を破壊してあの憎たらしいソ連軍のジューコフを捕虜とした情報を」


 ニールマン君と呼ばれた若い男性は広げていた新聞を畳むと鞄に入れる。

 そして海面の方に目を向けて頷く。


「ああ、聞いているが本当なのか? まあ……昨年の常識外れた米軍の攻撃を全滅に近い損害を与えて実に百万人に近い人員を葬った実力ならば頷けるが」


「本当の事だ、しかし……複雑な心境だな? 我がドイツを叩き潰した米軍が圧倒的な戦力にも関わらずに同盟国の一つだが極東の小さな国に敗退するとは。それにしても祖国であるドイツがよりによってスターリンのアカ共に蹂躙されて全土が占領されたと聞く! いくら欧州軍を太平洋に回したとしてもここまで脆弱だったとは」


 憤懣している男性を宥めながらニールマンも悔しそうな表情をする。


「なあ、ルーデル? 今回の任務だが失敗といってもいいのではないかい? 蒋介石率いる国民党は近い内に毛沢東にとってかわられるのでは? そんな気がする」


 ルーデルと呼ばれた男性もそれは同意すると言い考え込む。


 この男こそ、ソ連軍にとって『悪魔』『絶望』『人民の敵』それ以外にも数えきれないほどの悪名をつけられた史上最強の不死身の男と言われたドイツ空軍最高級の強運を誇る『ハンス=ウルリッヒ・ルーデル』である。


 連合軍に降伏後、米国本土に捕虜として連行されたが凄まじい腕を誇るルーデルを放っておくにいかず同盟国の中華民国に空軍の教官として言って欲しいとの依頼を受けて帰国と同時に身柄を全面的に釈放するとの事で引き受けたが中華民国の士気の低下等どうみても無理だと分かったが黙々と任務に励んでようやく期限が過ぎて帰国となったのである。


 上海からマニラに向かいそこからハワイ経由にて米国本土に帰投する予定であった。


「米国は来年に日本に再侵攻するつもりだがそんなのを放棄してスターリンの尻を真っ赤に焼き尽してこの世界からソ連を消滅させればいいのだが無駄な事をする」


 そんな話をしていたが突然、船が停まり直ぐに船の乗員が出てきて舵とスクリューが故障して暫くの亜、立ち往生するとの事を言い触れていた。


 ルーデルとニールマンは顔を合わせると溜息をつくがふと反対の海面を見ると超巨大な竜巻が発生してこちらに向かっているのに気づく。


 甲板上でパニック状態になる乗客たちを横目に急に空模様が怪しくなり海面が激しく唸ると共にゲリラ豪雨が甲板に叩きつける。


 二人は急いで船内に入ろうとするが巨大な竜巻が民間船を呑み込んだ時、船体は木っ端微塵に砕かれると共に二人は海に放り出される。


 そこで二人の意識は途切れる。


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― 新着の感想 ―
[一言] ラーズグリースさん私前から思ってたんですが、陰謀史観を嘲笑う奴って皆共通する匂いが有るなと感じません? 大抵儒家に多い傾向がありますよ? 日本で儒家の強い県は大抵発展から取り残されてますね沖…
[良い点] おお、ついにルーデル閣下と日本軍が合流ですか? 先日A10のプラモを買い、これが閣下の地上に残した遺産かとニマニマしてみております。 閣下の好みなら彗星艦爆辺りを譲渡するとお喜びかと思うの…
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