表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/110

第52話:それぞれの学者の考え

 昭和二十一年一月十日、アメリカ合衆国ニューメキシコ州ロスアラモス研究都市にて世界をリードする科学者や物理学者、生物学者等欧州を始めとして世界中から約三千名に及ぶ頭脳が集結していた。


 これからの世界における数々の物理や化学においての世界平和や人々の為となる研究目標を各々が発表する目的である。


 だが、真の目的は米国主導による核兵器を始めとする数々の未知の兵器を管轄する為である。


 勿論、この発表会に参加している学者等の九割はそれを承知で来ていて研究費をいかにして絞り出すかに思考が一杯であった。


 原子爆弾開発の父である『ロバート・オッペンハイマー』も参加していてライバル的な存在である『エドワード・テラー』も姿を現わしていた。


 その他に原子爆弾に関するあらゆる分野の博士達数百人も参加していてこの人物たちがいなくなれば五十年間は各開発及び研究が遅れると言われている。


「これはこれはオッペンハイマー博士ではありませんか! お元気そうで何より」

 テラー博士がにこやかな表情でオッペンハイマーの傍に来て右手を差し出す。

 オッペンハイマーも笑顔で右手で彼と握手をするが既に予算の獲得の戦いは始まっていた。


「今日の発表会で私は水素爆弾の原理とその威力について発表するつもりだ。貴方の原子爆弾を叩き台として構築できた兵器であるので博士には大変、感謝しています」


 彼の言う通り、既に原子爆弾の生産に関しては大量生産が可能になり数週間後には工場も完全稼働になる。


 合衆国首脳部はその原子爆弾よりも何百倍もの威力を誇る水素爆弾に興味があつまっていたのでエドワード博士は週に一回は、ホワイトハウスに呼ばれている。


「テラー博士、そういえば……アインシュタイン博士の姿を見ていないが……?」


 オッペンハイマーの疑問にテラーはやれやれという表情で話してくれる。

「アインシュタイン博士は君も知っている通り、原子爆弾を始めとする核兵器の軍事転用としての研究や開発を即時、破棄しろと米国本土で公演しているだろう? その行動が政府に嫌われて声をかけられなかったのだ。元々は、彼がルーズベルト大統領に

初めて働きかけたのだがね」


 テラー博士の言葉にオッペンハイマーは頷くが昔、彼と話した機会があったが彼はあの悪魔的なルーズベルト大統領に原子爆弾等の存在を言わなければよかったと愚痴をこぼしていたことを思い出す。


「いいかね、オッペンハイマー君! 核エネルギーは正にパンドラの箱だ、私はその箱を開けてしまった! ヒトラーが既に核兵器を完成寸前まで研究が進んでいるとの誤情報を信じてしまった事が全てだ」


 アインシュタインの言葉が頭の中を駆け巡るが既にもう止まることが出来ない所まで来ていて最早、突き進むことしか出来ない事を言うがアインシュタイン博士は寂しそうな表情でその場所を去って行ったことを思い出す。


「テラー博士、水素爆弾が実際に使われれば原子爆弾以上の被害が出ると思うがそれに関してはどんな風に考えているのだ?」


「……私達科学者は探求を極めてそれに準じてその兵器を完成させるのだがそれをどう使うかは使う人それぞれでは? 平和利用に使おうとする者、戦争に使おうとする者がいるだろうがそれは私達科学者や物理学者に関係ないからね?」


 テラー博士の至極真っ当な意見を聞いたオッペンハイマーはこれ以上議論を重ねても泥沼に陥るのが関の山だと思ったので会話を終了する事にする。


 二人はにこやかに挨拶をして別れる。

「……そういえば、ロケット研究者第一の存在者である『フォン・ブラウン』博士も来ていないが……」


 知る人ぞ知るフォン・ブラウン博士は第二次世界大戦でのナチスドイツの必殺兵器の一つであるV1・V2ミサイル生みの親でありドイツ敗北後は米国に招かれてロケット兵器の開発と研究をしているが彼の真の目的は、宇宙に行き、月まで行く事が出来る平和的なロケットの研究を求めていたのであくまで仕方なく手を貸している状況。


 オッペンハイマーはこれ以上、考える事を止めて海上に足を運んだ。

 そこにはトルーマン大統領の右腕と言われているスチムソン陸軍長官も来ていて部隊の挨拶をする予定だと聞く。


「セミナー開始まで後、二時間か……。それまで何か飲んでおこうかな?」

 そう思った時、突然に全身が悪寒に包まれたような寒気がする。


 科学者や物理学者は世間では神という存在は一切、信じないのだろうと思うが科学者等は反対に神の存在を信じて畏れているのである。


「……何か悪い事が起こるのか? この寒気は……只事ではないな……」


 オッペンハイマーは自分の直感を信じる事にしてこのロスアラモスから離れる事にするが今更、他の出席者に伝えると気分を害すると思うから黙って会場を後にしようと決断して出口の方に向う。


 幸いに呼び止められること等はなかったので無事に会場の外に出る。


「さて、臨時のバスが出ているからそれに乗ってここから離れるか」

 そうしてオッペンハイマーはロスアラモスから離れていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ