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第34話:会議

 石原莞爾達が逆クーデターに成功した翌日、ソビエト連邦が日ソ中立条約を破って満州に雪崩れ込んだ事を有泉達が知り“おおわし”を極東方面に移動させて詳細な流れを汲み取る作業を開始する。


「日下さん、荷電粒子砲以外の損傷個所は全て完治している。魚雷やMOAB弾等の積み込みも完了していますが如何致しますか? このまま出撃してソ連を叩き潰すかそれとも荷電粒子砲の完全修理を待つか?」


 有泉の意地悪な質問に日下は苦笑いすると私の腹は決まっていますと言うと鍾乳洞内に作られた桟橋の方に目を向ける。


 そこには伊400が係留されていて力強く浮かんでいる。


「満州は最早、無理かもしれませんが占守島方面のソ連軍を叩き潰そうかと思っていますが?」


 日下の言葉に有泉は少し戸惑いの表情を見せていた。

 その様子に日下は何か不都合なことが起きたのですか? と問うと意外な答えが返ってくる。


「占守島方面や千島列島方面に日本軍守備隊が一人も配置されていないのだよ。衛星でくまなく列島の隅から隅まで偵察したが人っ子一人もいないのだがこれをどう読み取りますか? 日下艦長」


 有泉の言葉に日下は少しだけ考えると自分の考えを述べると有泉も頷く。


「考えられることは本土決戦用に部隊を動かしたとしか思えないですね? 日ソ中立条約を額面通りに受け取ったのでしょう」


「成程な、広島と長崎に原爆は投下できなかった為、八月九日に行われる筈だった満州侵攻戦は無くなったが今この時期に侵攻した事の意味する事はただひとつだな」


「米国が裏で動いたのでしょう、裏を返せばオリンピック作戦の為に揃えた軍団が潰滅したのでしょうから再編成の為の時間を稼ぐためにソ連と裏取引をしたとしか考えられないと思います」


「北海道と東北の統治を認めるという事か……。木林二等海尉、“おおわし”をアリューシュン列島を含む海域にカメラを合わせてくれ」


 “おおわし”をコントロールしている一人の木林が了解ですと返答すると慣れたタッチでパネル操作するとその場所が映し出される。


「ふむ、占守島付近及びアリューシュン諸島を含む海域にはソ連海軍はいないか、そうなればソ連は満洲侵攻が主目的だな」


 事実、ソビエト連邦最高指導者『ヨシフ・スターリン』書記長は米国の依頼を引き受けたが先ずは満洲及び朝鮮半島の全土を手に入れる事でそれを以て不凍港を手に入れる事を最優先としたのである。


 その後、そこを拠点として北海道と東北に侵攻する作戦を決定したのである。


 奇しくも日下が住んでいた世界で起きた占守島の戦いは発生せず、池田連隊長率いる“士魂”部隊も北海道釧路の地に配備されていたのである。


「スターリンも馬鹿ではないですね? 恐らく情報を収集して海上からの侵攻は謎の敵からの攻撃を受けて全滅されると判断したのでしょう」


 事実、スターリンは米国主導の九州侵攻作戦が見事に大失敗したのでその原因である正体不明の敵を恐れていたからである。


「なら、話は早いです! 未だ九州地方を艦砲射撃している煩い戦艦を黙らせようと思っていますが? よろしいでしょうか、有泉さん?」


 日下の逆進言に有泉は快く頷いてお願いする。

 その時、横にいた柳本がある提案をする。


「有泉艦長、日本で政変が起きて再び冷静沈着な人物が政権を奪取したのでこちらから接触を計ってみてはいかがでしょうか? 幸いにもこの“さがみ”格納庫工場で魚雷やMOAB弾の他にも少しプログラムを変えれば当時の兵器に合わせての弾薬も提供できるかと?」


 柳本の提案に有泉と日下も確かにそうだと口を揃えていうとその手順について会話する。


「いかがでしょう? 伊400から無人偵察機“晴嵐”を飛ばしてコンタクトを図るとか? 爆弾の代わりに私達の映像と今までの戦闘を記した記録映像を贈るのです。クーデターの推進者はあの『石原莞爾』です、きっと物分かりが良い人物で私達と手を組むと断言できます」


 日下は前に一瞬だけ浮かんだ陸軍軍人を思い浮かべた先程、その人物を思い出したのである。


「(私が暮らした時代での石原莞爾は戦後、間もなく直ぐに亡くなったがこの世界では未だ健康体で生きているんだな)」


 日下の提案に有泉は頷いてその提案を実施する事にする。


「基地を出た後、晴嵐を飛ばして私達はそのまま米機動部隊に攻撃を掛けて壊滅させますが現在の敵はいま、どちらにいるのですか?」


 日下の質問に木林は衛星カメラを操作しながら現在位置を掴む。


「現在、九州南には水上艦はいませんが海中に潜水艦らしき存在が海中を無数に動いていますね。ちなみに主力艦隊はウルシー環礁に一時的でしょうがほぼ全艦艇揃っています」


「……事実上のオリンピック作戦は失敗だと結論したわけだな、日下さん? ウルシー環礁へ行くのですね?」


 有泉の言葉に日下は直ぐに頷いてウルシー環礁の機動部隊を叩き潰す事を言うと笑みを浮かべて日下の手を握って健闘を祈りますと言う。


「出撃は明日の0600時を予定していますので映像等の編集や私達のメッセージの収録を行いたいと思います」


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