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第26話:炸裂! MOAB弾

 

 昭和二十年十一月初頭、志布志湾方面を担当とする第六軍の編成の一つである軍団を満載した上陸用舟艇や戦車揚陸艦が数百隻が沖合に停泊していた。


 先日、艦砲射撃や艦載機による徹底的な爆撃により海岸線に防御を敷いていた日本軍は八割の大損害を出していたのである。


 当初は特攻兵器により一定の戦果を挙げていたがそれも直ぐに終了して反対に倍返しもの攻撃を受けて水際防御陣地は消滅する。


「よし、お前達!! これよりジャップの地に上陸するが俺達が一番後になるが他の場所にいる奴らに負けないで目標地点である鹿屋航空基地を制圧するのだ!!」


第十一軍団 司令官『チャールズ・P・ホール』中将が指揮揚陸艦甲板に仁王立ちして演説する。


「アメリカル師団・第一機甲師団・第四十三歩兵師団の三個軍団、七万が威風堂々と上陸するのである! 出撃!」


 大歓声や威勢がいい声が上がると共に、数百隻の舟艇や揚陸艦が一斉に動き始めて志布志湾奥に向けて向かって行く。


 チャールズ中将は誇らしげに海を埋め尽くす揚陸艦や舟艇を見ながら頷く。


「ノルマンディーを超える軍団を率いてジャップの本拠地に上陸する! 何と光栄なことで我ら第十一軍団に相応しい情景だ」


 中将の横にいる参謀長である『カーク・ノブレス』大佐も頷きながら海面を覆いつくしている船を見ながら満悦な表情であった。


♦♦


 これより一時間前まで時を戻して伊400はMOAB弾発射地点に到達してゆっくりと浮上する。


「現在、0900時か! 恐らく数時間後か直ぐに大隅半島に上陸する計算だ。しかし、今から奴らは永久に志布志湾から海岸に上陸する事はない」


 日下の言葉に乗員達は頷くとそれぞれの配置場所に着く。

 砲雷科が十五センチMOAB弾の残弾数をチェックする。


「艦長、残弾数ですが二十発です」


 報告を受けた日下はじっと考え込むと高倉の方に向いて自分の考えを言う。


「第十一軍団攻撃用に六発使用する予定で広域に展開している宮崎海岸の敵には十発を使用して残りは薩摩半島に使用しようと思うがどうかな?」


 日下の言葉に高倉はにっこりと笑みを浮かべると艦長の言葉に賛成しますと言うと他の乗員も頷く。


「“おおわし”とリンクしている“さがみ”から敵の情報が入電しました。解析の結果、弾着ポイントはここが効率よく殲滅できるとの事です」


 通信士の『柳原和利』少尉が電文を纏めた冊子を持ってくる。

 それを受け取ると日下はパラパラとめくりながら力強く頷く。


「よろしい! 徳田少尉、この冊子を基に志布志湾方面に展開する第十一軍団を壊滅する為の情報を入力してくれ」


 徳田少尉が日下の下に行き冊子を受け取ると大きな声で返事をする。

 タッチパネルを操作する度、スムーズにMOAB弾が装填されていく。


「初弾発射準備完了です、計算上では六発で半分以上を粉々にすることが出来ます、勿論……ありとあらゆる物です」


 日下は頷くと発令所の中全体を見渡す。

 皆が力強い目で日下を見ると彼もまた、頷く。

 そして……言葉が発せられる。


「撃ち~方、始め!!!」


 徳田が待っていましたとばかりにタッチパネルに表示されている発射ボタンをタップするとモニターに“火器管制オールグリーン”のランプが点灯して伊400後部甲板に備え付けられている十五センチレールガンが轟音をあげて空に消えていく。


「次弾装填だ! 連続で行くぞ」


♦♦


 伊400から放たれたMOAB弾が正に弾着しようとする数秒前にチャールズ中将が指揮官用揚陸艦の一番高い所に昇って威勢よく演説している。


「今日がジャップの最終の始まりにしようではないか!」


 その瞬間、水平線がキラリと光るとその瞬間、チャールズ中将は一瞬で永久に喋ること無く瞬時に蒸発する。


 正に初弾のMOAB弾はチャールズ中将の頭上五センチ上で爆発したのであった。

 TNT火薬十一トン分の破壊力が周囲に撒き散らす。


 誰もが未だ経験していない強力な爆風が各上陸用舟艇に満員状態の兵士達を吹き飛ばして身体を引き裂き、吹き飛んでいく。


 戦車を大量に積載している数百トンの揚陸艦が軽々と吹き飛ばされると共に爆風の力によって粉々になる。


“マッハステム”と呼ばれる衝撃波が生まれ、爆発の威力はより大きくなる。


マッハステムは爆弾の殺傷範囲を大きく広げ、下部に向けてより強い力を生み出す。


地面に穴を作ってエネルギーを無駄にすることなく、地下施設やトンネルを破壊するがこれが海上に浮かぶ船に使用されたのだ。


 半径一マイル範囲内に浮かぶ船は文字通り粉々になる。

 それが全部で六発が密集している艦船の頭上で爆発した結果、第十一軍団の八割が僅か五分強で消滅したのであった。


 この情景を“おおわし”から送られてくる鮮明な映像が伊400と“さがみ”に送られる。


「……サイパン・テニアン島を破壊した時もそうだがこの破壊力は桁違いだな」


 有泉艦長が艦長席に座りながら感嘆していた。

 そして何か思いついたように副長の柳本に尋ねる。


「“さがみ”格納庫内工場の稼働はどうかね? 伊400用の魚雷と爆弾の製造はどうなっているのかな?」


 有泉の質問に柳本は流暢かつ、簡潔明瞭に応えていく。


「そうか、伊400が帰投する頃には魚雷四十発、MOAB弾三十発を補充できるという事か! でかしたぞ、柳本」


 柳本は一礼すると自席へ戻る。

 有泉はモニターに映し出されている志布志湾方面の第十一軍団の残存部隊を見ると恐慌状態になって蜘蛛の子を散らすように散って行く。


 数百隻の揚陸艦等を失い一瞬で八割を失った第十一軍団は大隅半島に一兵も上陸する事無く、軍団の組織は崩壊したのであった。



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