第99話:殲滅戦!
荷電粒子砲の名称が決まりました。
ヒロ1959様、有難うございます、採用させて頂きます。
日本各地から出撃した“海龍”二百隻は“おおわし”とのリンクで最適の発射距離とタイミングの時間を各艦毎に報告していく。
伊400には設置されている魚雷管制室が無い特殊潜航艇では魚雷は従来通り一直線に進むだけなので絶妙なタイミングが必須である。
その精密な計算を“さがみ”と“おおわし”が瞬時に弾き出していく。
彼ら“海龍”乗員はただ魚雷発射ボタンを押すだけであった。
“海龍”第三十二号艇では必勝と書かれた鉢巻を巻いた乗員二名が今か今かと発射受信信号が来る事を待っていた。
今年二十一歳になる『榊原信二』は相棒の『坂田一』十八歳に声を掛ける。
「緊張するな、俺達“海龍”がこの日本を救う任務の一つに組み込まれているのだからとてつもなく興奮している」
「ええ、榊原さん! 私も同じです。青森の山奥の小さな村から皆に盛大に見送られましたからね? 必ずこの日本を救うと決意しています」
その時、魚雷発射カウントダウンの信号が点灯するのを確認した榊原は急いで艇の向きを微調整する。
「よし、これでいける!」
その瞬間、魚雷発射ボタンが青く点滅したのを確認すると榊原はボタンを押す。
艇が凄まじく揺れると共に轟音と共に魚雷二発が放たれる。
二百隻から放たれた四百発の魚雷が死神の鎌の如く米艦隊に肉薄していく。
「命中まで四分……か、そこから反撃の狼煙が上がる」
♦♦
さて、伊400から出撃した魔王ルーデル閣下が操縦する晴嵐は軽快な速度で獲物がうじゃうじゃいる海域に向かっていた。
ご機嫌な様子で祖国ドイツの民謡を鼻歌で歌っているのを相棒のニールマンも笑みを浮かべながら聞いていた。
しかし数分後、レーダーが米艦隊を捉えると魔王閣下は一瞬で魔王に相応しい表情になると操縦桿を握り直してニールマンに語り掛ける。
「久しぶりの実戦だな、今でも叩きつぶしたいのはソ連だが……やる時にはやる! 先ずは胴下の爆弾を大型空母のど真ん中の甲板におとしてやる」
急上昇した晴嵐は海上を埋め尽くす程の艦船の中でも一際大きい巨大空母を狙う事にする。
「あれは確か……ミッドウェイ級だな、ニールマン君! あれをやるぞ」
「了解だ! 俺達の再戦の花火を打ちあげようぜ」
伊400に搭載されている三機の晴嵐は特殊コーティングで光学迷彩とステルス機能を持っているので誰もきがつかなかった。
ルーデルが操る晴嵐は高度四千メートルまで急上昇すると一気に操縦桿を下に操り急降下をする。
「フハハハハ、思いだすな! JU82よりも馬力があって最高なじゃじゃ馬だ!」
ルーデルの晴嵐が急降下を始めた時、六万トン空母“ミッドウェイ”では一万機と言える損害を出した機動部隊の残存機を回収する役目を持っていて後退した空母の中で数隻が艦隊に残っていたのである。
その巨大空母に正に唸りを上げて急降下してくる晴嵐の姿を捉えることは出来なかったが甲板にいた艦長を始めとする幕僚達は上空からキ~~~ンと音がするのに気が付いて上空を見上げるが何も見えなかった。
「何の音だ……」
ルーデルは爆弾投下のレバーを引くと再び急上昇する。
爆弾は艦長の頭上に落ちてきて一瞬でミンチになると同時に甲板を突き抜けて格納庫内の燃料弾薬及び爆弾・魚雷収納場所で大爆発する。
凄まじい爆発と衝撃波が格納庫内及び各区画に流れ込んで内部構造物を破壊しまくる。
そして閃光と共に大爆発を誘発して巨大空母が真っ二つに折れて一瞬で轟沈した。
周囲にいた艦船の艦長達は何が起きたか理解できなかったが彼らの意識もこれ以上、ミッドウェイに向ける暇がなくなる。
突如、海上に直下地震が起きたかのような船底から突き上げられる衝撃が至る所の艦船で発生すると共にその衝撃で弾火薬庫に命中してそこで爆発して真二つに折れて轟沈していく艦船が続出する。
阿鼻叫喚な状況が引き起こされて各艦は何が起きたか分からないまま轟沈していき怒号と悲鳴が延々と聞こえる。
海龍から放たれた四百発の魚雷が次々と命中したのである。
外れた魚雷は僅か三本で残りは全て命中したのである。
上空でそれをみていたルーデルは壮絶な海上の状況に目を見開いている。
流石の魔王閣下も一瞬で四百隻弱の艦船が二つに折れて一瞬で轟沈していく様相は生まれて初めてだった。
「ニールマン、私達も負けてはいられないな! 行くぞ、先ずはあの戦艦を仕留めてやろうではないか!」
晴嵐は急反転して再び急上昇してパニック状態になっているアイオワ級戦艦を狙う事にして各砲塔の直下にある弾火薬庫を狙ってレーザービームを照射する。
高出力の破壊専用レーザービームは易々と装甲を突き破って目的の場所に到達すると弾火薬庫で大爆発が起こり戦艦“フロリダ”は火柱が三本船体を突き破って上空に立ちあがると共に三つに折れて沈んでいった。
「お見事です、閣下!」
「有難う、ニールマン! それでは片っ端からいくぞ」
途中、無線誘導で飛んできた晴嵐二機と合流した魔王閣下は手当たり次第に攻撃を仕掛けていき次々と艦船を轟沈していく。
その様子を見ていた伊400発令所内では日下艦長達が息を呑んで見守っていた。
「魚雷三百九十七発の命中場面とミッドウェイの轟沈シーンは圧巻だったな。それにあの晴嵐、縦横無尽に暴れているぞ」
感嘆している乗員を見ていた日下は背後から吉田技術長に呼ばれて必殺兵器の発射準備をしてはどうかの提案を受けて静かに頷く。
「荷電粒子砲の名称を“建御雷神の矛”と決定する。浮上して発射体制を整えるのだ」
次話は本命の攻撃です




