第97話:伊400、推参!
遂に伊400を始めとする日本の大反攻が実施されます。
「橋本先任将校、海上の様子はどうだ?」
「はい、海上の天気は快晴で新月です! 0200時です」
「よし、浮上開始!! 浮上次第、晴嵐全機発射せよ!」
日下艦長の言葉に発令所内で元気な返事が響き渡ると共に食堂では不死身の悪魔『ルーデル』大佐と相棒の『ニールマン』がお互い顔を見合わせてにやりと笑みを浮かべて二人揃って格納庫へ向かう。
格納庫では既に整備が終わっていてルーデルの姿を見ると整備員たちが敬礼して魔王を迎える。
「ルーデル閣下、整備はすこぶる快調に終わりました! 胴下には八百キロ貫通爆弾を吊るしています。そして、三十ミリレーザービーム砲も快調で二十四時間撃ち続けることが出来るエネルギーを充填していますので二十四時間後に補給が必要です」
整備員の言葉にルーデルは満足そうな表情で頷くと伊400が海面に完全浮上するまで待機する。
伊400はゆっくりと海面へ向かい独特の艦橋が海面から出て巨大な船体が海上に姿を表す。
それと同時に格納庫前部扉がゆっくりと自動的に開放されていく。
そしてレール上に載せられた晴嵐有人タイプが翼が折れ曲がった状態で引き出されて直ぐに主翼が開いていき完全に展開終了する。
ルーデルとニールマンがゆっくりと風防を開けて乗り込む。
「やっとだな、思いきり暴れることが出来る! ニールマン、準備は良いか?」
「ああ、俺もすこぶる調子がいいしワクワクするよ!」
笑みを浮かべたルーデルはエンジン始動スイッチを押す。
静音プロペラがコミカルな音を立てて発動する。
風防内からルーデルが親指を立てて甲板上にいる射出員に合図すると返答の代わりに彼からも親指が立てられる。
無線機を通じて操縦席に射出十秒前のカウントが流れる。
そして……十秒後、轟音を上げて晴嵐が大空に放たれる。
艦橋甲板で日下と橋本が帽子を脱いでルーデルを見送ると晴嵐は大きく旋回して伊400の周囲を回ると機首を上に上げて目視で見えなくなる。
そして引き続いて無線誘導タイプの晴嵐二機も轟音を上げて射出される。
「ふむ……艦長、最近思うのですがやはり飛行機は有人の方が様になるなと思う日々です」
いつの間にか吉田技術長が日下の後ろに立っていて晴嵐が見えなくなった空を見上げていた。
「そうですね、しかし閣下の件は本当に偶然の賜物だからな、改めてパイロットを募集するにも難しいな、日本にも『坂井三郎』や『岩本徹三』がいるが海軍さんは絶対に手放さないだろうな」
その時、西島航海長がやってきて一枚の電文の紙を渡すと日下達はそれを読むとお互い、顔を見あって頷く。
「さあ、反撃の時間だ! 米海軍を一隻残らず殲滅するぞ!」
電文には石原莞爾と小沢治三郎共同での声明文で“興国の興廃、この一戦にあり! 各員一層奮励努力せよ!”との内容であった。
「聞けばアイゼンハワーが率いる上陸部隊三十万以上が関東内陸部に侵攻したようだ。前哨戦ではパットン軍団を撃破したとのこと。これで海上にいる米艦隊を殲滅すれば彼らの運命は正にアイゼンハワーの思考一つだな」
「退路を断たれた彼はどんな判断を下すのだろうかな? まあ、俺達はやるべきことをやろうではないか! 吉田さん、荷電粒子砲を連続で使用しますのでメンテ等をお願いします」
日下の言葉に吉田は笑みを浮かべながら頷くとある事を提案してくる。
それは荷電粒子砲という名称を何か厨二病的な名前をつけませんか? との事で日下達もそれは面白いなと言うと頷く。
「後日、募集でもしてみるか! 極上の大吟醸を賞品として」
朗らかな笑いが艦橋を包み込む。
「さて、それでは行くか! 米海軍殲滅へ」
そう言うと日下達はハッチから艦内に滑り込むと命令を出す。
伊400はゆっくりと潜り始めて海面から姿を消す。
「深度二百メートルを維持して三十ノットで航行! 一時間後に浮上して荷電粒子砲の連続発射を実施する。それと同時に特殊潜航艇二百隻による合計四百発の特殊魚雷攻撃を掛けるとの事だ。海上からは木村長官率いる戦艦部隊と田中水雷戦隊の一斉攻撃がかけられる。一撃から二撃で殲滅する」
日下の言葉に艦内全体で大歓声が沸き起こり士気は絶大であった。
「ルーデル閣下にはこちらからの詳細な指示は与えていないからな、閣下の思いのままに暴れて下さいといっておいたからどんな戦果をたてるのだろうな?」
日下が楽しそうにルーデルの事を話している時に通信士から“さがみ”より“おおわし”を通じてTV回線にて話したいとの報告を受けると日下は頷いて艦橋に設置されている大型モニターに回線を繋げる。
有泉が映ると日下達は敬礼すると同時に有泉達も敬礼を返す。
「日下艦長、敵の詳細な位置はリアルタイムで送るからそれを参考にしてほしい。ああ、そういえばこの殲滅戦に二隻の新型潜水艦が参加するそうですよ? 聞いて驚かないでくださいね? 伊404と伊405という大東亜戦争時の伊400型潜水艦と同じ艦です。最も性能はかつての伊400型よりも断然、優れていると言う点ですが全体的な航行能力は私達の時代の海上自衛隊潜水艦の性能はあります。邂逅できればいいですね、それでは幸運を!」
有泉がモニターから消えると日下は興味深そうに呟く。
「是非、拝見したいものだな」
本文でもありましたが荷電粒子砲の厨二病的な名前を募集したいなと考えています。
賞品は出ませんが……^^;
日本的なかっこいい名前があれば教えてください。




