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資産家令嬢に愛と執念の起死回生を  作者: 渡守うた
六章 ビビアン・ウォードの欲深き愛と幸福
34/44

34、深夜じゃない会議

 

 公爵家の次男、フレデリクに二人の関係を認めてもらう。


 その為にまず始めたのは、フレデリクの情報を集めることだった。


「フレデリク様の仰ってることはほぼイチャモンでしょう? わたしたちの婚姻は法に触れる訳でもないし、ぶっちゃけ無視してしまっても構わないの。でも、これから社交界で生きていくのに社交界のトップに目を付けられるのは困るわ。本気で領地の取り潰しをされるかもしれないもの」


 ビビアンは現状からの課題を説明しながら、集めた面々を見回した。ウォード邸に集められたのは先日の参戦会議のメンツ、そしてジョンソン男爵家三男のジョンとデューイの秘書バートだった。

 彼らには『前回』の話はせずに公爵家対策についてのみ協力を仰ぐつもりである。


「はぁい」

「はい、ジョン様」


 緩く手を挙げたジョンをビビアンが指す。

 発言を許可されたジョンが立ち上がった。


「何でオレまで!? っていうかフレデリク様と関りがあるのは前から聞いてたけど、どうして公爵家に目ぇ付けられてるの!? いつの間に!?」


 ほとんど悲鳴だった。知らない間にとんでもない事態になっている親友たちに泣きそうである。


「フレデリク様って何故か平民嫌いみたいなのよね。わたしとデューイ様の結婚を嫌がっているみたいで、圧力をかけるぞって脅してきたの」

「えぇ~~? 他にも同じような組み合わせなんていっぱいいるじゃん。なんで急に……?」


 ジョンは当然の疑問を口にした。


「はい」

「はい、バート」


 真っ直ぐ手を挙げたバートをビビアンが指す。バートは眼鏡を押し上げて眉根を寄せた。


「おれみたいな平民をデューイ様の秘書にしたことが気に入らなかったのではないでしょうか。……あの、おれを辞めさせればあの人も納得するのでは」

「ああ、そういうくだりはもうやったから、大丈夫よ」

「くだりってなんですか?」


 ビビアンはバッサリと切り捨てた。バートはムッと顔をしかめる。


「ビビアンの言う通りだ。俺はバートを辞めさせるつもりはないし、ビビアンとも結婚する。領地も潰させない。その上で、フレデリク様と交渉できる何かが欲しい」

「わがままだなぁ~~」


 ジョンが呆れたように声を上げる。デューイは口角を上げる。

 今までにない余裕のある雰囲気に、ジョンは「ふうん」と漏らした。親友の変化に感心しつつも、ところで、と疑問を呈す。


「聞きそびれたんだけどさぁ。最初にフレデリク様と出会ったのはどうしてな訳ぇ? 伝手なんかないでしょ?」

「ああ、言ってなかったな。ボイド伯爵邸での夜会で俺たちが目立った時があっただろ?」

「ビビアン嬢がご令嬢たちと喧嘩して、デューイがみんなの前でビビアン嬢とイチャイチャした時のことね」

「……そう、その夜会にフレデリク様もお忍びで来ていたんだ。あの騒動で俺たちに興味を持たれたらしい。それでボイド家のセラ嬢を通して接触されたんだ」


 デューイの説明にジョンは声を上げて笑った。なんなら腹も抱えているし、目の縁に涙すら滲んでいる。


「よりにもよってアレを公爵家の御子息に見られたとか! タイミング良すぎるだろ!」


 ジョンの言葉にビビアンがはたと動きを止める。


「確かに、どうしてフレデリク様はあの日、伯爵家の夜会に来たのかしら? あの夜会に招待された人たちは下流貴族や資産家ばかりだったのに。平民嫌いの人が行くにしては庶民に近い集まりだったはずよ」


 ビビアンの言葉に一同が顔を見合わせる。

 ジョンが肩をすくめていう。


「それこそ、怖いもの見たさっていうかさぁ。高貴な方のお遊びなんじゃねえの?」

「わたしもそう思っていたけれど、あの方は貴族と平民の結婚自体を嫌がっている風だったわ。理由もなく好奇心だけでいらっしゃる感じはしないけれど……」


 ビビアンはポールに視線を向けた。


「ポール、フレデリク様がどうして伯爵家に来ることになったのか。そのあたりを中心に彼を探ってほしいの」


 ポールが頷く。

 結論から言うと、その調査は事態を大きく動かすこととなる。





 ◆

 会議から数日後。

 ポールが中間報告を伝えてきた。


「フレデリク氏が夜会に参加した理由はまだ判明していません。その辺りのガードが異常に堅いですね。しかし……」


 ビビアンとデューイは彼の言葉を待つ。


「フレデリク氏は最近各地の孤児院や救貧院を慰問しています。以前は公務でしか行っていなかったそうですが、最近は私的な訪問が増えているようです」

「そういえば花市でお会いした時も、アークライト領の孤児院に慰問に行った帰りだと言っていたな」


 デューイが思い返しながら頷く。

 あの時は気にも留めていなかったが、確かに平民嫌いの彼がわざわざアークライト領の市井に降り立つのも違和感があった。

 それで、とポールは淡々と報告を続けた。


「彼の慰問した孤児院や救貧院は、全てセラ嬢が訪れたことがあるものでした」





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