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ドミーくんが知りたいこと  作者: くぬぎりす


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4/4

そのよん

「コーは何が好きなのだ~?」

クロサイ獣人は銀行家の家の中庭をとっとこ走りながら悩む。

大型肉食獣人ほごしゃ達が出入りするこの家の敷地は、クロサイにとってなわばり同然だった。


多忙なはずの銀行家が気分転換に水やりに出てくる。

「おや。ドミーくんはコーお嬢さんにサプライズでもしたいのかな」

庭の大きさに対して明らかに小さなじょうろを抱えた人間は、ゆったりと水をまく。

目をしぱしぱさせて足元を濡らしていく。


「フランクおじさん、それ、水やりできてる・・・?」

足を止めたクロサイ獣人の男の子も、目をしぱしぱさせた。


「なんだろうね。多分できていないんだろうね。それでも、少しは土をつたっていくかなと思ってね」

早々にじょうろを空にした銀行家は満足そうに笑う。

後ろに控えた家人が、濡れた服と革靴を心配そうに見ている。


いつも良くしてくれる人間の感情を読み取ったクロサイは、会話を切り上げにかかる。

「コーはいつも僕とドライフルーツを食べるけど、あれは好物じゃなかったのだ。僕が好きなものを食べるとき、コーにも好きなものを食べて欲しいのだ~」


にっこりした人間が、とことこ近付いてきたクロサイの頭を撫でる。

縦に並んだ二本の角に、立派になって、と呟く。

クロサイの男の子の体長は、二人の人間ともうほぼ同じだった。


「コーお嬢さんは、ドミーくんと一緒ならなんでも好きだと言うと思うよ」

「おたずねになれば、そうおっしゃいますよ」


ん~。

「ず~っと前に言われたのだ~」

クロサイの男の子は、あたたかなまどろみの記憶を思い出した。

「キッチンを借りて、お菓子を作って、コーとカイくんのところに戻るのだ~」





調理場に向かうクロサイの男の子を見送ったあと。

「アレクサンドル、聞いていたかい。コーお嬢さんに散々儲けさせてもらっているのだから、たまにはお返ししないとバチがあたるよ」

サンルームで勝手にくつろいでいた金髪商人に、銀行家が声を掛ける。


「そうですね。ところがですね、もうコーさんとカイさんが手配済みなんですよ」

くすんだ金髪を振った商人が、心底残念というフリをした。





銀行家の家から離れた辺境の地、通称「英雄達の街」。

かつての大戦で味方を勝利に導いた大型獣人達、その末裔が心豊かに過ごす街。

その地に不思議なフォルムのキッチンカートが納入されたのは、ピクニックに最適な、ある晴れた日のことだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ほのぼのしました! 楽しく読ませていただきましたー。
2023/04/26 21:14 退会済み
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