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enerukuのホラー小説

御神木

作者: eneruku

これは私が子供の頃の話です。


私が当時通っていた小学校の校庭には大きな木があって、休み時間には登っては遊んでいました。その木には色んな噂話がありましたが、頂上に上ると願いが叶うとか、木の下で告白すると成功するとか、そんな他愛もない話が殆どでした。


ですが、私がいたずらで木に登っている友達の足を掴む遊びをし始めたときからでした。幽霊が木に登ろうとする子供を落としてくるという、うわさ話が流れ始めたのです。

もちろん、幽霊の正体は私です。しかし、当時の私はその噂が広まるのが楽しくて正体が自分であると明かさずに、木に登る子の足を掴み続けました。すると、どんどん気味の悪いうわさ話ができては広まっていき、ついには大けがをする子が数人出てしまいました。大けがをした子供は全員が幽霊に落とされたと言っていたため、学校が神主を呼んでお祓いをすることになりました。


私は怪我人が出てしまったことが怖くてしょうがなく、お祓にきた神主と先生にうわさ話の原因は私であることを告げました。すると神主は真剣な顔で「貴方は性質を変えてしまった。お祓いには貴方も立ち会いなさい。」と言ってきました。そして、巫女の様な服を渡され祈祷の捧げ方を教わり、神主と一緒にお祓いに向かいました。


お祓いは深夜に行われ、木の周囲を白い布で囲い、神主と一緒に祈祷をささげました。初めは何もなかったのですが辺りがだんだんと静かになっていき、布の向こうに影が見える様になりました。私は怖くなり逃げだそうとすると、神主が「この場から離れると帰れなくなる。今は祈祷を捧げ続けなさい」と強く言われ、必死に祈祷を捧げ続けました。すると、影がどんどん子供の形になっていき、やがて消えていきました。


お祓いが終わった後に私がしたことを強く神主に叱られました。あの木は長年子供たちの良いうわさ話によって一種の御神木のような状態になっていたらしく、何事もなければ子供たちに対して害を与える存在になることは無かったらしいです。しかし、私が幽霊などの悪いうわさ話を広めたせいで、御神木の性質が変化してしまい、子供に害を与える存在になってしまったのです。


今では木の周りには柵が囲ってあり、木に登ることはできなくなりました。そのせいか、木に対するうわさ話も次第に無くなっていきました。しかし、私は放課後に柵の中から出ようともがいてる黒い影を見てしまったのです。本当にお祓いは成功したのでしょうか。それとも、また誰かがおかしなうわさ話を広めているのでしょうか。






日本では信仰を集めることができれば何でも神様になってしまいます。

そして、うわさ話も一種の信仰です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 凄く面白かったです! でも、「あれ?駅は?」って読後の面白さの余韻に浸りながら思ってしまった……。 「駅」の要素がどこかにあったのでしょうか? 信仰が歪められて悪いものに変わってしまったと…
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