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紅蓮の公爵令嬢  作者: 青木のう
第6章 Beyond~双子~
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第176話 →エピローグという名の始まり→

 世界の皆さまごきげんよう。(わたくし)の名前はレイナ・レンドーン。グッドウィン王国の大貴族たるレンドーン公爵家の息女ですわ。暑い夏の日差しを浴びながら、皆様にご挨拶を申し上げます。


 実は私、いわゆる異世界転生者ですの。不幸な事故で命を落とし、慈悲深き女神の御業によりこの世界に転生しました。今では争いとは無縁なこの平和な世界で、優雅で麗しいゆるゆるふわふわなスローライフを過ごしていますわ。


 …………。


 …………うん。


 ……ごめんなさい、嘘です。


 私の名前はレイナ・レンドーン。そこは間違ってない。私は異世界転生者。そこも間違っていない。前世でブラック企業に勤めていた私は、コンクリートジャングルでの激務とストレスがたたって階段から落下しあえなく死亡。そこで出会ったおとぼけ女神(実は腹黒)によってこの世界へと転生した。


 乙女ゲー大好きな私が望んだのは、当時熱中していた恋愛ゲーム、「マギカ☆キングダム~恋する魔法使い~」通称「マギキン」の世界への転生。そしてそれは無事に果たされた。


 果たされた……のだけれど、そこは思い描いていたスローライフとは無縁の、魔導機とか言う巨大ロボットが闊歩する世界だった。女神の策略により悪役令嬢レイナへと転生した私は、そんな世界でバンバンドーンと四苦八苦の日々に追い込まれた。


 世の中数多くの転生令嬢が、ゆるゆるふわふわ溺愛やらしてくれる素敵な王子様に囲まれたスローライフを楽しむ中で、私は魔導機なんてロボットに乗っちゃって十六人衆だとか闇の力だとか全く可愛くない言葉が支配する戦場を駆け抜ける事に。


 “紅蓮の公爵令嬢”なんてどこぞのバトル漫画みたいな称号まで手に入れちゃった私は、なんだかんだでキモイ勘違い男をブッ飛ばして世界を救いましたとさ。ちゃんちゃん。はい、説明終わり。


「お嬢様、髪型のセットが終わりましたよ」

「ウヒヒ、ありがとうクラリス」


 というわけで戦争は終わった。エンゼリア王立魔法学院では戦争によるカリキュラムの消化具合を鑑み、私たちは特例として四年生となり、秋からまたエンゼリアに通うことになるわ。


 そういう事情もあって、クラリスの結婚は本人の申し出により一年間延期。あと一年間だけはクラリスはお姉ちゃんではなく、私のメイドのクラリスというわけよ。


「髪型可愛い、メイク可愛い、服も可愛い。私は可愛い。今日もばっちりね、私!」

「そうですね、レイナお嬢様。十八にもなるのに殿方とお付き合いしていないのが、不思議なくらいです」

「うっ……!」


 その言葉、胸が痛いわ……。

 ええ、そうよ。私も戦いが終わればディラン達攻略対象キャラとの嬉し恥ずかし青春ストーリーが始まると思っていたわよ!


 ――だけど、始まらなかった!


 ディラン、ルーク、ライナス、パトリック。四人の好意の矢印は明らかに私を向いていた……はず! なのになんで、一人も告白はともかくお誘いすらかけてこないの!?


 あれ、もしかして私の恥ずかしい勘違い!? そんな馬鹿な。これが勘違いなら私は世界最高の勘違いガール。この世界にラブストーリーなんて存在しないわ!


「お、お友達とだってそういう話にはならないし、エイミーやリオだって彼氏はいないわ」

「そのお二人と、いわゆる恋バナに発展することってございますか?」

「うっ……!」


 た、確かに……。エイミーのラブは1に魔導機、2に魔導機、34がなくても5に魔導機で、恋バナの()の字も存在しない。リオは演劇で男女のどうこうも演じているはずなのに、ひとたび舞台を降りれば「え? 好きなもの? ハンバーグ!」と答えるような小学生男子並みの思考回路で、これまた恋バナどころかバナナだ。


「あ、でもほら、アリシアだって彼氏とかいないし……」


 そうよ。「マギキン」の正当ヒロイン、乙女オーラに溢れるアリシアにだって彼氏はいないじゃない! この世界でアリシアが恋をしなくていったい誰が恋をするの? つまりィ! 彼女が恋をしてない今、私がまだ恋をしていなくてもセーフというのは確定的に明らかッ! はい、証明終わり!


 三年生までの間――つまり、マギキン本編に相当する期間のアリシアは、()()()()()()とかいう隠し友情ルートで終わってしまった。


 もちろん友情は大事よ。私もアリシアと仲良くなれたことを嬉しく思うわ。けれど人生はまだまだ長あああいっ!


 きっとアリシアだっていつかは誰かと恋に落ちて、結婚なんて人生を歩むはず。なにせこれから始まるのは誰も知らない四年目のエンゼリア。未知なる道を突き進み、いざゆかん愛と青春のロード! フォーエバー!


「アリシアなら、非常に入れ込んでいる想い人がいますよ」

「――!? え、ほんと!? なになに、本人から聞いたの!?」


 まさかアリシアにそんなに好きな人がいたなんて……!?

 アリシアは卒業後、レンドーン家のメイドとしての採用が決まっている。となれば、その後を考えてクラリスにだけ話しているなんてこともあるのかしら?


 ウヒヒ、誰だろう? やっぱり攻略対象キャラの四人の内の誰か……? であるなら、私はアリシアの恋路(こいじ)を素直に応援するわ!


 人の恋路の邪魔はしない。だって私は悪役令嬢レイナ・レンドーンじゃない。恋と愛を応援する系令嬢レイナ・レンドーンだから!


「いえ、本人から聞いてはいないのですが、確実にと思える方が」

「つまりクラリスの予想ってわけね? 若いあなたにはわからないだろうけど、恋の予想は案外当たらないものよ~」

「これについては確信があります。知らぬは想われ人のみです」


 銀髪のクールビューティーメイドことクラリスは、はっきりと断言した。なるほど、そこまで言うのなら……。けれど、アリシアにそこまで想われていても気がつかない鈍感さんはどこの誰かしらね?


「それに……、私はお嬢様より年上なのですが?」

「それはまあそうね。オホホ」


 おっといけないわ。私が転生者というのはタブー中のタブー。うっかり口を滑らせて、また世界改変大戦争なんて始まったらたまったもんじゃないからね。


 前世の年齢を足すと私の年齢は――足さない足さない。今の私はピッチピチの十八歳! そしてもうすぐ十九歳。「マギキン」では描かれなかったエンゼリア四年目の生活、エンディングの向こう側がやってくる!


 エイミーには悪いけれど、魔導機の出番はもう金輪際ないわよ……ないわよね? 私の転生した世界はロボットゲームの「超魔導機大戦ブレイズサーガ」じゃなくて、乙女の楽園乙女ゲームの「マギカ☆キングダム~恋する魔法使い~」なんだから……なのよね?


 ちょっと誰か! 上の方に書いてあるタイトルを見て確認してちょうだい。あとジャンルも確認してちょうだいな。おーけー? おーけーなのよね? ……よし。タグ付け「恋愛」異常なし! 嬉し恥ずかしな恋愛パートが待ち遠しいわ。じゃあ、テンション上げていきましょうか。オーホッホッホッ!


読んでいただきありがとうございます!

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