第ニ章・ニ「ユニコーンについて」
「はぁ、はぁ、ここまで来れば……追って来ないだろ」
本日二度目の全力疾走、息は絶え絶え、汗はダラダラ、本当に干からびてしまいそうだ。
「大丈夫? 凄く苦しそうたけど」
「大……丈夫でも……ちょっとあこそで‥休憩しよ」
俺が指差したのはこの町で一番の大きさを誇るショッピングモールだった。
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「美味しそぉ〜!」
様々な飲食店が並ぶフードコートにやってきた俺達なのだが
「いい匂い、あっクレープがあるわ」
この通り俺の横に立っている白髪の少女ユニコーンはフードコートに興味津々だ。
でもね
「恥ずかしいから勘弁して、皆見てるから」
フードコートの料理やデザートに興奮して騒ぐ若干十二歳の少女、近くを通り過ぎる大半の人がくすくすと笑う。
「そんじゃ何か食べて行こうか、食べたいものある?」
「えっ! いいの、ユニはクレープ食べたい」
「良し食べよう」
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「所でユニコーンで名前は合ってるか?」
「ふぇい」
「メッチャ頬張るな、ごめん食べてから質問する」
注文を済ませ、数分後できた品物を取りに行った、ユニコーンはお盆に乗るクレープを見るにやいなや、かぶりつき今にいたる。
頬がパンパンになりながら笑顔でもぐもぐクレープを食べる姿はさながらハムスターだ。
「ごちそうさま、美味しかった〜」
「それじゃ質問いいか?」
「うん何でも聞いてユニが答えてあげる」
えっへんと胸を張る白髪の少女ユニコーン、彼女が何者なのかは今から明かされる。
「名前はユニコーンで会ってる?」
「うん、ユニの名前は多分ユニコーンだよ、でもユニコーンって言わないであまりその名前は好きじゃないから、ユニって読んでね」
「了解、次に君はどこから来たの?」
さっきからずっと引っかかっていたことだ、彼女がどこから来たのか、なんとなく察しもつくのだが
「反逆軍って知ってる?」
やっぱりか、リベリオンファミリー、『この虹ヶ丘町では三つの勢力が影で暗躍してる』なんて漫画じみた都市伝説がある。
その中の一つがリベリオンファミリー、虹ヶ丘町の外れの方にある、無法地帯、灰色の地区がねぐらと言われている。
「本当にリベリオンファミリーの基地から来たのか、それと本当に幻想銃なのか?」
「本当にリベリオンファミリーの基地から来たよ、ゲートって言う転送装置を使ってね、ユニは幻想銃だよ、証拠はコレ!」
彼女は右手の甲を見せてくる、そこには白いユニコーンを模した紋様があった。
幻想銃は右手に自分のルーツになった幻想生物の紋様がある、本当に彼女は幻想銃なのかもしれない。
「あいつカラス男は何者なんだ」
「レイブンだね、あいつはリベリオンファミリーだよ、あいつはユニのお世話係だったよ」
「これが最後、ユニコー……ユニは一体どうしてリベリオンファミリーに追われてんだ?」
今までの質問は事実かどうかの確認に近かった、だがこの質問は違う。
「それは………ユニがリベリオンファミリーら逃げて来たから、ユニは世界の希望なんだって」
「世界の希望? それってどう言うことなんだ?」
「ユニにもわかんないや」
「所でユニは何か目的があって反逆軍から逃げて来たんだ? 理由とかあるのか」
「それはねユニのお父さんとお母さんを探すため逃げてきたの」
「両親を探してるってこと?」
「うん、ユニ生まれたときからあの部屋にいたから、お父さんとお母さんの顔を知らないの、でも会いたい」
白髪の少女はまたうつむいてしまう、両親に会いたいか………俺も親父がある日突然姿を消したからな。
「まっまぁ……これからどうするか、ん? 彼女の胸ポッケに何か紙のようなものが入っていた」
「なぁユニその紙はなんなんだ?」
彼女の胸ポッケの紙を何か指摘する、すると彼女紙をポッケから出し拡げる。
「むむむ………漢字読めない、剣次読んで」
彼女は俺に紙を渡す。
「『秘密基地に行け』」
『秘密基地に行け』どう言うことなんだろう。
「分かった?」
「読めたけど意味はわからない、なぁユニ、秘密基地に何か覚えはないか」
「〜ん覚えがないな、ねぇ剣次コーヒー美味しい?」
目をキラキラさせ俺の手前に置いているコーヒーを見つめるユニ、カフェオレだし苦味も弱いから大丈夫か。
「飲んでみる?」
彼女の前にカフェオレを置くとすぐさま飲み始める。
「少し苦いけど美味しい!」
「良かったよ、カフェオレね………そうだ!」
そうだあったぞ、カフェ『秘密基地』、以前からマスケティアーズの噂が絶たないあそこなら。
銃士隊、反逆軍と同じく都市伝説でよく名前が上がる組織の一つ、幻想銃の保護活動を行っているとか。
そしてそのアジトが虹ヶ丘町のカフェ秘密基地にあると噂されている。
ネットでは実際に行って店員さんに真偽を聞いて否定されていたが、今のところこれしかない。
「どうしたの秘密基地に思い辺りがあった?」
「一つな、でもその前に少し買いたいものがあるから付き合ってくれるか?」
「仕方ないな〜よろしい」
少女はニッコリと笑い俺の要求を承諾してくれた。
「あっそう言えば、あなたの名前をまだ聞いてなかったは」
「名前か城島剣次だ」
「そっか剣次か、よろしく剣次」
こうして俺達はフードコートを後にした。
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