第ニ章・一「幻想銃の少女」
白髪の少女は一体何者なんでしょうかね?
「すいません急患なんで見てもらえませんか!」
受付に座っていたナースさん驚いた顔でこちらを見る。
それもそうだよな、高校生が幼女背負って飛び込みそうな勢いで迫って来たのだから。
「急患ですか、貴方じゃなくてその後の子よね?」
「はい、見た感じ熱中症だと思います!」
「わかったは少し待ってちょうだい」
そう言うとナースさんは内線電話で通話を始めた、きっと手の空いている医師を探してくれているのだろう。
「二階の二十ニ番の診察室に行ってちょうだい」
「ありがとうございます」
対応してくれたナースさんに深く頭を下げ俺は受付を後にした。
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「あの子は無事ですか?」
老年の医師が診察室から出てきて俺の前に横に座った。
「命に別状はないよ、軽い熱中症じゃよ、しばらく安静にしておけば問題はない」
良かった間に合ったらしい。
しかし疲れた、走っているときは無我夢中でわからなかったが、終わるとなると体をダルけが襲う。
女の子一人を担いで一キロも走ったんだから仕方ない。
「まさか『幻想銃』の患者がやってくるとはの」
俺の横に腰掛けた老紳士の医者、えっ幻想銃!
「幻想銃ってどう言うことですか、あの子人間じゃなかったですか?」
「なんじゃお主知らずに連れてきたのか、あの子の手の甲を見なかったのか、紋様があったわい」
幻想銃ドラゴンやユニコーンと言った幻想生物をモデルに造られた人型の兵器、普通の人間との判別方法は手の甲に紋様があるかどうかでするらしい、この町で知られている都市伝説だ。
炎を打ち出したり、錆びた刀が一瞬にして新品のように生きを吹き替えしたりと傍から見れば魔法同然、そんなまことしやかな書き込みがインターネット上にあったことを思い出す。
まさか本当に存在していたなんて。
「当たりじゃ、青年あっち」
老紳士の医者が指差すほうに目線を向けると、扉の隙間からこちらを除く瞳があった。
「目は覚めた?」
俺は扉側に優しい声音でしゃべりかける、すると扉が完全に開きそこには白髪の少女が立っていた。
「ユニのこと助けてくれてありがとう」
白髪の少女は恥ずかしいのか手をまごつかせる。
「別にいいよ気にすんなって」
「うん……ありがとう」
下をむきながら手をまごつかせる彼女、なんと言うか小動物的な可愛さを持ってるな。
何だあれは……
少女の後ろから謎の人影が現れる。
「何だお前! 一体どうやって現れたんだ」
俺は驚愕のあまりソファーから立ち上がる。
俺は自分の目を疑った、目の前に立つ白髪の少女、その後からカラスのようなマスクを被った人物が扉からすり抜けて立いた。
全身黒ずくめでその姿はまさしくカラスだ。
「ユニコーン迎えに来たよ」
白髪の少女ユニコーンは後を振り向くと固まった。
「レイブン………」
カラス男はユニコーンの手首を掴み、強引に連れて行こうとする。
「いや、ユニはもう戻りなくない、ユニはパパとママを探すの!」
ユニコーンも必死の抵抗をするがカラス男レイブンの手から逃れることはできない、何か彼女を助ける方法は……何かないのか。
辺りを見回す、病院の廊下に置いてあるものはソファーと消化器、駄目だこれと言って使えるものがない。
いや………消化器これだ!
コックを引き抜きホースをカラス男の顔に向け消火剤を噴射。
不意打ちをくらったカラス男は怯み、ユニコーンの手を放す。
その隙にユニコーンの手を引き寄せる。
「なっ、待ちなさい!」
消火剤もなくなり再度ユニコーンを取り戻そうとしたカラス男目掛けて空になった消火器を投げつけ、その隙にユニコーンを抱え俺は再び炎天下の外へと走り出した。
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