プロローグ「忘却の夢」
どうも六月です。
なろう初投稿です、初のオリジナル作品です
よろしくお願いします。
どこまでも広がる花畑、赤、青、黃、様々な色の花が咲き誇る大地、少女はその長い白髪を風に遊ばせポツンと立っていた。
目線の先に誰がいた。
若夫婦とその娘と思われる少女が一人。
白いワンピースに同色の帽子、髪は白髪、大きな瞳の美少女。
白髪の少女は母の胸に頬ずりをして甘えていた、父と思われる男性はコップに飲み物を注ぎ女性に渡す。
楽しそうにする家族、その微笑ましい光景を見ているこちらも幸福になる。
「あれ……この光景どこかで見たような」
しかし少女はこの光景に違和感を感じていた。
この光景どこかで見たことがある、そう感じてならなかった。
少女は家族の方へ目線を戻す。
「あれ、なんで」
さっきまでは確かに若夫婦の表情や顔立ちがしっかりと見えていた、しかし今は、顔から首の途中までが黒く塗りつぶされ見えなくなっていた。
「これってどう言うこと、そう言えばあの子………」
白髪の少女は気づいた、自分と若夫婦の娘と思われるあの白髪の少女が瓜二つだと言うことに。
「なんで………どうして……、もしかしたらあの二人はユニのママとパパなの？」
少女は若夫婦目掛けて走り出す。
彼女は自分の両親のことを一切覚えていない、物心ついた時には両親と離れ離れになっていた。
だからこそ知りたかった、自分の母がどんな人なのか、自分の父がどんな人なのか、本当に二人は自分の両親なのか。
なにより二人に思いっきり甘えたかった。
「待ってパパ！ ママ！」
少女が若夫婦の傍までやって来たその時、花畑は一瞬にして暗闇に飲み込まれた。
色鮮やかな花畑も楽しげな家族の姿も、ここにはもうなかった、あったのは上も下も前も後もわからない暗闇だけだった。
「うっ………一人ぼっちは嫌だよ……」
少女はその場で手で顔を覆い泣き始めてしまう。
その鳴き声すらも暗闇は容赦なく飲み込む、そして少女は夢から覚めた。
目蓋を開き視界のモヤを取るため目を擦る、はっきりと見えた視界には暗闇も花畑もなかった、あったのはいつも見ている部屋の天井だった。
物心ついたときから、軟禁されてからずっと見て来た天井だった。
「なんだ夢か………でも夢の中だけでもパパとママに甘えたかったな」
おぼろげにしか覚えていない両親のことを思い出すと心の奥底から悲しさがこみ上げてくる。
少女は寂しさを紛らわすために膝を抱えうずくまる。
しかし我慢できずその大きな二つの瞳から、ポロポロと雫が溢れる。
このとき少女はまだ知らなかった、この日から自分の運命が大きく変わって行くとこを。
続きも期待していてください。
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