新たなる出会いと本性
かおりはすごく不安そうな顔で美津恵を見ていた。そして美津恵は振り返り
[今から見るものや現象は絶対におばあちゃんとこの5人の中だけに留め、この6人以外に口外しないこと。もし言ったらただじゃすまないからね。]
とキャラが変わりまるでとりつかれたかのようにそう言った。みんなが黙って美津恵の行動を見ていると、美津恵の前にあった地蔵堂から美津恵が何かを取り出した。その何かは確かに口外するとヤバいと誰にでも分かる代物だった。
美津恵の両手の上には空き缶位の大きさの、デビルといった感じの見た目の、黒い人型の妖怪がいた。少し可愛く思ったのは、目が大きく白目と黒目が分かれているからなのだろう。みんなが反応を取れない中、最後尾にいた賢次が前にでてきた。
[へえ~。面白いね。でもさー、君がいるべき所はこんな地蔵堂じゃなくてさ、研究所じゃないの?]
そう言いながら賢次がデビルを掴もうとした瞬間、パチンという音と共に、賢次の腕が大きく後ろに投げ出された。
[失礼な人ですね。初対面の相手の頭をいきなり掴もうとするとは。]
[しゃ、喋った。]
そのデビルは一瞬紫の波動を放ち、賢次の腕を弾いた。美津恵は混乱しているみんなを見て急いで説明した。
[この方は昔竹浦家を守ってくれたアーロンと言います。さっきの波動を見てら分かるとおもうけど、この星の者ではありません。だいぶ奇妙で怖く感じると思うけど、悪い方じゃないんで。]
[とはいってもねー、こんな奴信用できへんで。]
[そうだよ。守ってくれたっていうのも意味不明だし、そもそも何で日本語喋ってんだよ。]
かおりと洋樹の純粋コンビが不満を訴えた。僕は頭が混乱していて反応すら出来ない状況でいた。ただ賢次はこの状況を冷静に判断しているように見えた。
[この方についてはまたどうせ会う機会があるのでその時話します。だから取り敢えず家に戻りましょう。]
そう言い美津恵は地蔵堂にアーロンを戻した。僕が先頭になり家に帰ろうとしたその時
[キャーーーーー]
と高い悲鳴が鳴り響いた。僕たち5人は急いで声のした方向に向かった。さすがに賢次は速く、最後尾から10秒もたたぬ間に僕を抜かして先に向かった。そこに着くと賢次はなにやら熊避け鈴を高い位置に持ち、カランカランと鳴らしていた。まさかとは思い賢次の向いている方向を見ると、200メートルほど離れたところに熊がいたのだ。そしてその前を女の子が走って来ているのが分かった。おそらく熊から走って逃げて来たのだろう。
あまり時間もないので、僕は賢次とアイコンタクトをとった。賢次のしたいことがわかったので、僕は熊と女の子の間に走り込み女の子を熊から守れる体制に入った。
一方賢次は
[ナイフじゃダメだ]
といい、丈夫な50センチ位の木の枝を急いで集め熊の死角から熊の背後に回った。熊が残り20メートル、10メートルと近づいてきていた。しかしその豪腕をふるうよりも、賢次の方が速かった。
[グチュ。]
賢次は後ろから前に周り熊の目を木の枝で突き刺した。熊が痛みで暴れようとするが、賢次は予め近の大木に木に縄を巻きつけていた縄を前に回るときに回していたため、木と賢次と縄で熊を拘束でき、少なくとも前には動けなかった。そして、賢次は拘束したまま後ろから膝の付け根、首、うなじ、と的確に弱点を突き刺していった。熊が血を吹きもう倒れこんでいた。
そこからが賢次にすれば本番だった。熊がつらそうに鳴くなか、賢次は熊の上に乗り、何回も突き刺した。血が必要以上に流れるなか、洋樹とかおりは思わず後ろを向いた。刺すのが続き耐えきれなくなった美津恵が
[もういいんじゃないですか。]
と若干うるっとしながらいった。そして賢次は我に返ったように
[ああ、そうだな。]
といい最後に喉笛をかっ切りとどめをさし、こっちに目線を向け
[美津恵は女の子を先に家に送ってちょうだい。残りの4人でこの熊をもって帰ろう。食料になると思う。]
と場にいる誰よりも冷静に判断し、みんなに指示を出した。美津恵は少し急ぎめで泣きじゃくっている女の子を連れ家に先に帰った。