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キュベリズム  作者: ゼロ
新生活
1/8

下宿先を探せ

この作品は途中で挫折し、また続けるかもしれないということを考え残しているだけですので、物語は全然終わっていないので見ないことをおすすめします。

「はあ~。寮に入る金さえ在ればな~。」

3月の三寒四温の受験終わりのシーズン、空が心地よい日差しで地面を覆う中、僕の心は昼の月のような明るさしか無かった。


僕は府内一位の名門公立高校に入学したものの、寮に入る金が足りず、学校への下宿先を探している身だ。単に下宿先探しと言っても昔ほどそう甘くはない。このご時世、人を簡単に泊めるような人はそういないし、ましてや3年ともなるとゼロに近い。やっとのこと見つけたとしても金銭を要求してきたりする。下宿先探しで6時間が経った。心がポッキリ逝ってしまいそうだったので明日に仕切り直すことにした。漫画のように最後に見つかると言うことなど当然なく、次の日がきた。


今日は少し考えをかえ近くの山へ歩いた。朝の涼しい時間帯。山のあのなんともいえない心地の良い冷たい空気が肌を撫で、木の擦れた音や小鳥の鳴き声が耳を包み、緑の多い風景が目を癒す。五感で山を感じることで昨日の疲れがなかったのかのように感じ、軽い足取りへと変わった。


とはいえ30分も歩くと急に疲れが戻ってきた。砂利道に足を捕られ、ずいぶんしんどくなってきた。そんな中僕はある木造の半分近代的な家を見つける。門は錆び付いて古めかしい気もするが、インターフォンは少し汚れたぐらいででキレイだった。


「すいませーん。」

と僕はインターフォンを押した。扉をガタガタと開け姿を現したのは、昔話に出てきそうな愛想の良さそうな笑顔が良いおばあさんだった。

「どうしたんだい。」

「すいません。あの若月将弘って言います。3年ほど泊めて下さいませんか。お手伝いは何でもしますんで。」

そういうとおばあさんは笑って

「3年?長いねえ。わたしゃ生きてるか分からないね。ハハ。泊まってくれてもいいけどお手伝いしっかりしてもらうからね。」

おばあさんが少しニヤッとしながら言ったのを僕は

「喜んで。」

と感謝の気持ちを胸に大きな声でいった。


「まあ上がりなさい。長旅で疲れたでしょう。」

「すいません。お邪魔します。」

外から見ても思っていたがこの家はそれなりに大きい。家のなかは木の匂いが広がっていて、なんだか心地よい空気だ。廊下を歩いて左に行くと、今ではほぼ見ない(少なくとも農村以外では)土間があった。


土間には初めて入るが想像よりもだいぶ土っぽい床だ。土間からは外に出れ、外には井戸まであった。まあ山の麓にあって、近くに家が一軒も無いようなところだからまあそんなもんかと自分で納得した。


一階を見て回っていると肩が荷物で痛くなってきたので

「荷物どこに置いたら良いですかね。」

とおばあさんに訪ねると、おばあさんは思い出したような顔で

「二階に上がって右の部屋に置いて来てちょうだい。そこがあなたの泊まるとこになるから。」

と言われ、ギシギシと音の鳴る階段を上がり、部屋の襖を開けた。


僕は驚いてカバンを肩からずり落とした。



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