夜中の業
拙いペンを走らせる
乾いた音が鳴り渡る
あることないこと書き連ね
酸いも甘いも書き写す
線と線とを混ぜ合わせ
影の中に光を与え
醜いものや綺麗なもの
思い浮かんだイメージを
白の宇宙に放り投げ
出鱈目にまた書き起こす
描いて書いて吹き込んで
知らない何かを作り出す
擦って抉って誤魔化して
頭の中から呼び起こす
流行りものに脇目も振らず
異質で異常な感性を
柔らかな紙に書き殴る
暴力に似た愛撫のような
乱暴であって繊細な
表現欲に取り憑かれた
汚れたペンは走り出す
森羅万象を捻じ曲げて
悪鬼羅刹を思わせる
不吉で蠱惑なペン捌き
眠れる街さえ震わせる
犯罪的な夜中の業