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わたしヒロインなんでしょーか?

 


 わたしが平民から男爵家に迎えられたことは貴族の間ではわりとホットな話題らしく入学早々貴族のご子息ご令嬢方には遠巻きにではあるけどじろじろひそひそと遠慮ない視線を浴びせられる。

 いやホントこれなんて少女小説??本物のお貴族さまってもうちょっと色々と気配りとか上手いことやるものだと思ってたんですけども?チラ見どころかじろじろよ?平民よりもストレート過ぎません??



 クラス分けの貼り出しを確認に行くとご令嬢方がきゃあきゃあと騒いでいた。

 どうやらアデル王子と同じクラスらしい。

 おぉー…。王子様と同じクラスとかわたしの境遇は少女小説設定なの?感心してるわたしの横で浮かれてはしゃぐご令嬢方に圧され「あわわわわわっ」派手に転ぶ。


「いったぁーい…」

「あらあらごめん遊ばせ」

 ちらっとこちらを見てくすくすと笑っているご令嬢方。やぁねーこんな所で転ぶなんてはしたない、お里が知れますわねー、て。えー聞こえてますけども…。


 それって謝ってんの?ちょちょー……!?

 わたしが転んだまま驚いて固まっていると少年が近寄ってきた。


 見上げると豪華な金髪に見事なアクアマリンの瞳の見たこともないようなキラキラした美少年がいる。うわー天使ですか…。目を見開いてさらに固まるわたし。


「大丈夫かい?」少年はやさしい微笑を浮かべて手を差し出す。


「アデル王子殿下!!!」

 周囲の声でこの人が同じクラスの王子様だとわかり更なるデフォ設定に驚く。


 アデル王子殿下の手を取って立ち上がらせてもらうとありがとうございます、とできるだけ丁寧にお辞儀をした。


「はじめまして、僕はアデル。第二王子だ。君も同じ三組かな?よろしくね」

「はじめまして。ウルド男爵の娘、ディアドラ・ファリスと申します。こちらこそよろしくお願いします」

 スカートを摘まんで持ち上げ礼を取る。


「ああ、君が」アデル王子がふと視線を外して呟く。


「何かと慣れないことがあるだろう?困ったことがあれば私を頼るように」

 いやもうそれはキラッキラの見事な笑顔でにっこりとするアデル王子。

 見つめられてるわたしよりも周囲のご令嬢方からはぁ~とため息が漏れる。


「入学式そろそろだね。講堂へ移動しようか」そう言ってアデル王子はわたくしをエスコートするように歩き始めた。一緒に行ってくれるらしい。友達もいないし講堂の場所わからないんで助かりますぅありがたい。王子様って親切ですね。


 後ろから少年が二人付いてくる。

「?」振りかえって首を傾げる。二人の少年がこちらを凝視しているがわたしの顔を見ると目をひんむいてパチパチさせた。

「???どちらさまでしょう?」


「お、俺はデイメル公爵の息子、エリオット・ダレイトンだ。よろしく」

「私はラーン伯爵の息子でイライジャ・ハーロウと申します。よろしくお願いします」

 ダレイトン様は背の高いがっしりとしたイケメン。ハーロウ様は黒い長い髪が目を惹くほっそりとした美形タイプ。

 わたしも自己紹介して微笑むと二人はほっぺが真っ赤になった。

「?」

 あれですよね、王子の取り巻きというやつですよね。まーイケメン揃い。イケメン相手に残念だけど高貴な方々相手に粗相しちゃいそうで違うほうのドキドキものなんですけど。

 


 王子様方と一緒にいたせいか女の子にはかなり距離を取られてしまい登校した時と同じ好奇の目線にさらされる。朝と質が違うなぁ。これって妬みですよね。たまたまなんですよ?わたしが王子様と一緒にいるのは。友達でもなんでもないですからね?うーん視線が突き刺さるー。

 このままデフォで行くならわたしの学園生活あれかしら、ねちっこくいじめられるパターン…。はぁ…。








 ───────────────




 入学式が終わるとクラスで最初の儀式的授業、魔力の属性チェックが行われる。


 一人ずつ前に出て教壇にあるクリスタルに触れる。クリスタルの反応で土・水・火・風、稀に光・闇と6つの属性のどれか分かるらしい。

 どの属性でも授業の内容は基本的に同じだが得意とする魔術も使い方も全然違うためいちばん最初に把握しておく必要がある。


 アデル王子の金色の前髪がクリスタルからすぅっと出た旋風にふわっと靡く。風属性だ。

 ダレイトン様はクリスタルがキィンと高音を出して震えた。土属性。ハーロウ様はクリスタルの周囲に青い炎が上がる。火属性。

 他にも水属性の生徒は蒸気が上がったり冷気が出たりわりと反応の幅が広い。風もそよ風から小さな竜巻、炎はいろんな色だったり炎の形が違ったり。だいたいどんな反応だとどの属性なのかがわかってきた。


 次はわたし。クリスタルに触れると白いぼんやりとした光がふわっと教室中に広がる。あれ、これまでの他の生徒の反応と全然違う。失敗かしら。


 クラスの担任、イエイツ先生の顔がこわばる。

「ファリスさん、君は光だね」

 教室がざわついた。

 あー珍しいって言ってたやつね。光っていってもなんか他のと違ってどういう傾向の魔力なのかわかりにくいですね。これから学ぶんでしょうけど。

「光属性は記録によると15年ぶりだね」イエイツ先生が手元の資料をめくって確認する。「簡単に言うと光属性は聖なる神による魔力。15年前の記録の生徒は今では国を守護する聖女様だよ」


 えー!そんなレベルの珍しさなのー??なんか実感ゼロだわぁ。またもやデフォ。

 わたしってばもしかしてもしかすると物語のヒロインなのかしら。めんどくさいんですけれども。はぁ…。









 


 




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