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嗚呼、異世界に逝って来ます!  作者: まめみもむ
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嗚呼、出会い!

頭が追いつかない。

何があったのだろう。


「あの〜、すみませ〜ん、あの〜」

現状を理解できない俺に、唐突に声が掛けられる。

「はい、なんですか?」

声を掛けられたのは背後から。振り返りながら返事をする俺に、申し訳なさそうに上目遣いで見つめてくる、一人の美少女。

白色を主とした洋服を身にまとっており、髪も透き通るように美しい白髪。

目は、穏やかな紺色。歳は、俺とあまり変わらないように見える。そして、手には魔法使いが使うような杖を持っていた。

さすが異世界。チート級の可愛さだ。

美少女は、心配するかのように俺に尋ねてきた。

「ず〜っと声を掛けていたのですが…大丈夫ですか?立ったまま気を失っていたようだったので、杖で叩いてしまったのですが…」

なるほど、さっきの衝撃の謎が解けた。

「ちょっと散歩でもしようかな、と思ってこの辺りを歩いていると、立ったまま気を失っている人を見つけたんです。プッ」

ん?今笑った?

まあいいや。

そして、気を失っている俺にガツンと。

説明を聞いて、無意識に痛む頭を抑えていると....

「すみません。他に方法が思いつかなくて。痛みますか?」

そう言って美少女は、ペコペコ頭を下げてくる。

「大丈夫だよ?ありがとう。」

正直かなり痛かったが、話を進めたかったので、謝罪を受け入れる。

「君、名前は?」

なんとなくだが、これからお世話になりそうなので、名前を聞いておこう。

「あっ、はい。申し遅れました。アザリアと申します。」

アザリアは、ペコリと頭を下げ、名乗った。

「俺の名前は、逢坂拓磨。よろしく、アザリア。」

俺が名を名乗ると、アザリアはじろじろと俺を見る。

例えるなら、動物ショップで可愛い子猫を見つけた時の子供のような目をしていた。

「どうかしたか?」

正直、見ていられると、ドキドキしてしまう。

「す、すみません!!服装と名前が珍しかったので、つい」

そう。今の俺の格好は薄い青色のジーパンに白い半袖のシャツ。異世界に相応しくない服装だった。

「あ〜。俺は....その〜.....遠い国から来たんだ!ほら、田舎者だから、田舎にはこの辺りで見ない服とかもあるんだぞ〜」

まぁ、嘘なんだけど。

どうせ「異世界から来ました!」なんて言っても信じてもらえないだろうし、引かれるだろうし…

「ふへ〜。拓磨さんは、どこに住んでたのですか?一度行ってみたいです〜」

「!?」

そんなの聞かれても困る。ここ(異世界)の地理なんて、全くわからない。

「どうかしましたか?」

「いやっ、な、なんでもない」

さぁ、どう答える俺。

そうだ!さっきの衝撃だ!

「いや〜、どうもさっきの頭への衝撃が強すぎて思い出せないんだよ〜」

すると、突然アザリアが俺に向かって杖を構え、目を閉じた。

「ど、どうかしたのか?」

アザリアは俺の質問に答えなかった。答えれなかった。

集中しているのだろうか?

「☆△□★⿴」

アザリアがなにかを唱え始めた。

杖に、白い光が集まっていく。

って言うか、人に杖を向けないで欲しい...怖い。

ちょっとの間戸惑っていると、唱え終えたのか、目を開けたアザリアは、俺に向かって....

「ヒール」

頭の痛みが消えていく。凄い!これが魔法か。

どうやら、回復魔法を掛けてくれたらしい。

「どうです?」

「うん。痛みが消えたよありがとう」

ゲームでは使えたが、今の俺は魔法が使えない、らしい。

だが、勉強して練習をすれば誰でも使えるそうだ。

これからどうなるかわからない。異世界に来たなら魔法くらい使えるようになっておきたい。

「そうですか!良かった〜。で?思い出しましたか?出身地。」

うわ〜。どうしよう。頭の痛みを癒やし、記憶を取り戻させる的な意味もあって掛けてくれたのか〜

正直に言うか?

これ以上取り繕うのも疲れてきたし、回復魔法も掛けてくれたし、別に信じてもらわなくてもいいから話すだけ話してみるか。

「実は俺、異世界から来たんだ!」

どんな反応をするのだろうか…

「ふへ〜。じゃあいろいろ分からないことばかりでしょ?私、一人の暮しなので今日は、泊まっていきませんか?」

あれ?

驚かない?

「驚かないのか?俺、異世界人だなんだぞ?」

提案はありがたいが、思っていた反応と違い過ぎて、こっちが戸惑ってしまった。

「この世界は、異世界の人が時々来ることがあるんですよ〜」

ふへ〜。それなら最初から言っておけば良かった。

「じゃあ、俺のような奴は珍しくないってことか。」

ある意味、気が楽だ。

「話がそれましたが、どうします?」

「すまない。今回は甘えさせてもらうことにする。こっちに来たばっかりで、お金も食べ物もないんだ。本当に助かる。ありがとう。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

家に向かう道中アザリアが

「お金に困っているなら明日、仕事します?」

夕日に背を向け、俺にそんなの提案をしてくる。

「仕事まで紹介してくれるのか?」

なんて親切な子なんだ...

「いえ?仕事は二人で決めて、二人でするのですよ?」

「ん?」

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