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 おとぎの地球の終わりがやってきたかのような悲鳴を聞きつけて、看護師さんが数名病室にやってきた。

 眼鏡を掛けたら宙をふわふわ浮いている遠野不知火さんが現れたんですよーなんて言えるわけもなく、蝉が入ってきたことに驚いて叫んでしまったのだと適当な言い訳をしておいた。

 真夜樫とおとぎは余計な仕事を増やすなと、とてもきつそうな看護師さんに厳重注意を受けた。二人はびくびくしながらその看護師さんにすみませんすみませんと何度も平謝りしたのだった。もし今後思い立って看護師を目指すことがあったとしても、この病院では働かないと真夜樫は決意するのだった。

 おとぎに眼鏡を貸していた真夜樫には分からなかったが、その間も不知火のそっくりさんは楽しそうに宙をふわふわ浮きながら、能天気にすごい悲鳴だったとか言っていたらしい。

「えっと、ども」

 おとぎに眼鏡を返してもらい、真夜樫はその少女の正体を知るためにコンタクトをとってみることにした。おとぎはさっきから部屋の隅でガタガタ震えているが、真夜樫はもう肌寒さなんて全く感じなくなっていた。

「ども」

 真夜樫の言葉をオウム返しするように不知火のそっくりさんはそう言った。

 不知火本人もオウム返しを良くやっていたなと一瞬思い出に浸りかけるが、頭をブンブン振って意識を現実に無理やり引き戻した。

「あの、お名前は?」

「お名前……多分遠野不知火。これ、どう見ても私だし」

 そう言って彼女は細い指でベッドの上に眠る遠野不知火を指差した。

「えっと、でもベッドに眠ってるのが遠野不知火だろ? だったら君は何?」

「残留思念?」

「え? 残留思念?」

「生霊みたいなもの?」

「え、じゃあ幽霊?」

 幽霊という単語を聞いておとぎがびくりと体を揺らした。おとぎには不知火の声は聞こえていない。だから真夜樫の言葉だけで二人の会話を想像しているのである。

「幽霊というか魂?」

「何で全部疑問形?」

「私も良く分からないから」

 とりあえず、事故に遭ったせいで遠野不知火の肉体と魂が分離してしまったという考えで良いのだろうか。

 いや、というよりもこれは本当に現実なのだろうか。昨日辺りからずっと長い夢を見ているのではないだろうか。だってこんなファンタジーなことは普通現実には起こり得ないはずだ。

「これ、夢? あの、ほっぺたつねってくれない?」

 真夜樫は不知火にそう持ちかける。夢だったらきっと痛くも痒くもないはずだから。

「無理」

 そう言いつつも彼女は細く白い手を真夜樫の頬に伸ばす。このままいけば頬で不知火の柔らかい手の温もりを感じられるはずだ。真夜樫は少しドキドキしながら待った。

 しかしいつまで経っても彼女の手が真夜樫の頬に触れることはなかった。彼女は何度も何度も真夜樫の頬に手を持っていくのだが、何度やってもスッとすり抜けてしまうのだ。

 机に置いてあったコップを持ったり、椅子を運んだり、窓を開けたりしようとしてくれたのだが、そのどれもが失敗に終わった。

 どうやら彼女は何にも触れることが出来ないらしい。全ての物が彼女をいないもののように扱う。彼女を拒絶する。彼女を受け入れない。

「実体が、ないのか……?」

「多分。ところであなたの名前、まやかしのぞむー?」

「え、いや、真夜樫望だけど……」

「……初めまして。よろしく」

「初めましてって……俺達同じ部活で去年の文化祭からずっと一緒に活動してて……」

「……覚えてない」

 しかも不知火は今までの記憶を一切失くしてしまっているようである。一緒に廃墟を探索したことも、一緒に部室で昼ご飯を食べていたことも、今まで話した内容も全て。

 真夜樫はどれもはっきりと言葉にして説明できるくらい鮮明に覚えているというのに。

「そ、そっか。そうなんだ……」

 何だか胸の奥がキュッと締め付けられる思いだった。

「昨日廃工場で君を見つけた。懐かしい気持ちがして、声を掛けたのに君は全然気付いてくれなかった。気付いて気付いてって思ってたら寒いって言って帰っちゃった。仕方なく付いていったら私が病院のベッドで寝ててびっくりした」

「じゃあやっぱりあの写真に写ってたのは不知火だったんだ」

 真夜樫の見間違いではなかった。あの写真に写った少女は紛れもなく遠野不知火だったのだ。

 どうやら不知火は心のどこかで真夜樫のことを覚えていたようだ。そして真夜樫に自分の存在を気付いてもらおうと一生懸命アピールしていたらしい。

「やっと気付いた。自分が他の人とは違う存在、誰にも見えない存在になってたんだってこと。そしたら急に怖くなって、君にどうしても気付いてもらいたいって強く思ったら本当に気付いてくれた」

 「ありがとう」と不知火は天使のような微笑みを浮かべた。

 不知火は表情の変化が元々乏しい。笑顔も普通の人が浮かべるようなものより何倍も薄いものなのだが、彼女の笑顔には何か見えない魔力のようなものがある気がした。

 幽霊みたいな存在なのに天使かーと笑顔に見惚れてしまった照れ隠しにそんなことを考える。

「い、いや。別に俺は何も……」

「なーに照れてるんですか、まやかし先輩」

 じっとりとした瞳でおとぎがこちらを睨みつけてくる。相変わらずビビって体を震わせているくせに、真夜樫に対する態度だけはとても強気である。

べ、別に照れてないしとものすごくバレバレな言い訳をしながらすぐ不知火に視線を戻した。

「でもそしたら今までの五か月くらい、一体何してたんだ?」

「五か月? 五か月も経ってた?」

 不知火は不安げな表情で信じられないと小さく呟く。

だが信じられなくてもこれは本当のことである。不知火が事故に遭い、意識不明になってから確かに五か月という時が経過している。

 でも不知火はそれに気付いていなかったようだ。

「帰るところが分からなくて彷徨ってた」

「そう、なんだ……」

「うん。辿り着く場所は廃墟ばかりだった。でもどれも懐かしくて嫌な感じはしなかったからひたすら彷徨ってた」

 辿り着く場所は廃墟ばかり。その話を聞いて真夜樫の心に何かピンとくるものがあった。

「……そうか。……じゃ、じゃあ、さ。良かったら一緒に廃墟を回らない? 部活で廃墟探索してるし、そのついでにでも……」

「え?」

「いや、あの……廃墟が何か手がかりになるんじゃないかと……。そんな風になっちゃった理由や元に戻る方法を見つけられるのかも、と思って……」

「一緒に探してくれるの?」

「う、うん」

 真夜樫は彼女が意識を取り戻すためなら何でもやってやる気持ちでいた。

 その気持ちは、自分が一緒にいれば彼女はこんな風になっていなかったかもしれない。彼女に少しでも償いがしたい、そんな自己満足。

 そして前みたいに部室で一緒に昼ご飯を食べてほしい。一緒に廃墟を探索してほしい。何も話さなくても良いから隣にいてほしい、そんな自分のわがまま、欲求。

 そして少しの好奇心から来るものだった。

「雲塚も手伝ってくれるよな?」

「へっ!? いや、何の話……」

「不知火と一緒に廃墟探索して元に戻る方法を探すのに、だ」

「ああ、良いですよ。どうせ夢ですし、これ。手伝ってあげますよって適当に言っときますよ」

 おとぎのその言葉を聞いて不知火は嬉しそうに少しだけ顔を綻ばせた。おとぎは夢だから適当、と微妙な返事をしているにも関わらず、素直に喜ぶ不知火はどこか抜けている。

 不知火はちょいちょいと真夜樫の眼鏡を指差した後、おとぎに目を向けた。どうやらおとぎと話したいからその眼鏡を貸してやってくれと言いたいらしい。

 口で言えば良いのにと思いつつ、仕草が可愛かったので大人しく部屋の端っこで丸まっているおとぎに近寄った。

「何ですか、先輩。って、うわっ! また眼鏡押し付けないで下さい!」

 次の瞬間には、おとぎの瞳にほんわりと笑う不知火の姿が映ったことだろう。おとぎは不知火と二、三言言葉を交わし、真夜樫にずいっと眼鏡を返却した。そしてついでにこれが夢なのか現なのかを確認するかのように真夜樫の頬を思いっきり引っ張った。

「いってててて! そ、そんなに強く引っ張るなよっ!」

 頬をいきなり引っ張られたのは気に食わないが、そのおかげでやはりこれは現実なのだと気付かされたのだった。

「やっぱりいるんですね……幽霊って」

「幽霊じゃなくて生霊やー。勝手に殺さんといてー」

 不知火がおとぎに全くキレのないツッコミを入れる。しかし当然と言えば当然だが、不知火の腕はおとぎの体をするりと通過してしまう。しかもおとぎは眼鏡をしていないので声すら聞こえない。そのため何の反応も起こさない。ツッコミを入れられなかったことが悲しいのか、不知火はシュンと肩を落としてしまった。

「と、とりあえず! これからどうする? 今からどこかの廃墟に行くか?」

「今日は休みません? 何かドッと疲れました。明日朝早くからでどうです?」

 おとぎは不知火にも同意を求めるように、虚空を見つめた。不知火を見つめているつもりなのだろうが、全く検討違いな場所だということは黙っておくことにした。

「そうだな。じゃあ今日と同じ時間に駅で。最強装備で」

「最強装備って……」

 真夜樫がおとぎの呆れた視線を全身で受け止めていたその時に、スッと手を挙げたのは不知火だった。

「私、どうすれば良い? どこに帰れば良い?」

「あ、君ん家に案内しようか? やっぱり自分の家の方が落ち着くだろうし」

「え……」

 不知火が不安げな瞳で真夜樫をジッと見つめてくる。記憶喪失の彼女にとっては自分の家でも知らない家と変わらないのだ。だから不安なのだろう。

 でも家に行けば真夜樫と会った時のように懐かしさを感じるかもしれない。何かを思い出す可能性もなくはないのだ。

「不安かもしれないけど一度自分の家を見てみたらどうだ?」

 しかし不知火はふるふると頭を横に振った。

「のぞむーと一緒が良い」

 とてもとても嬉しかった。記憶を失っているとは言え、家族ではなく自分を選んでくれたということに得も言われぬ心地よさを感じた。

「だ、だったら……うち来るか?」

 妙に気持ちが浮足立って、普段の自分なら絶対に言わないだろうことを言ってしまった。そして言ってから「あれ、もしかしたらなんかいやらしかったかもしれない」と一気に後悔の波が押し寄せてきた。彼女には触れられないので何かしようにも出来るわけがないのだが。

「行く」

 前言撤回する前に不知火が力強く即答した。

「え? 何ですか? 何の話ですか?」

「え、えっと……行くところがないので不知火にはうちに来てもらうことにしました……」

 真夜樫がそう言った瞬間、おとぎの表情が大きく歪んだ。まるでゴミでもみるかのような蔑みの瞳でこちらをジッと睨んでいる。

「べべべ、別にやましい気持ちはこれっぽっちも! これっぽっちもないから! っていうか触れないし! なっ!」

「私、何も言ってませんけど。へー、そんなこと考えてたんですかー。ふーん。家に置いておいてもし何かの拍子に触れるようになったら一気に食っちまうつもりですかー。へー。遠野先輩、気を付けて下さいね? 何かあったら私の家に来てください」

 また見当違いなところを見つめながらおとぎはじと目でそう言った。不知火はそんな彼女の顔を覗き込みながら何の話と言わんばかりに首を傾げている。

 何も分からなくて良い。そのままの純粋な不知火でいてくれと真夜樫は切に願うのだった。

「のぞむー、私を食っちまう?」

「く、食っちまわない!」

「男は狼ですからねー。こんな草食そうなまやかし先輩でもスイッチが入ると何をしでかすか分かったもんじゃありませんよ、遠野先輩。信じたら最後、パクリといかれちまいますよ」

「だからお前は何を言ってる! いかれちまわないよ!」

「不知火で良い、おとぎっち」

 突然不知火がそう言った。おとぎが苗字で呼んでいることが気になったのだろう。

 真夜樫も人を呼ぶ時は苗字で呼ぶ。小学校の時の友達も苗字で呼んでいたし、向こうも苗字呼びだった。

 中学の時はクラスの中心になるようなギャルっぽい女子達に『まやかし』というあだ名で呼ばれ、馬鹿にされていたのでおとぎにそう呼ばれるとその時の記憶が蘇って嫌だったりする。

 だから『のぞむー』なんていうあだ名で呼ばれたのは生まれて初めてだった。

 彼女がそう呼んでくれた時、とても嬉しかった。何だか自分が彼女の特別な存在になったような気がした。

 カメラや携帯や自転車、人でも物でも何でもかんでもあだ名を付けるのが彼女の癖だと知ったのは少ししてからだった。

 別に彼女の特別になったわけではなかったのだと知って少々がっかりしたのは事実だが、それでも嬉しいことに変わりはなかった。真夜樫にとって、馬鹿にされるのではなく、純粋にあだ名で呼んでもらえるということはとても特別なことだったからだ。

 そして誰かを下の名前で呼ぶということも初めての経験だった。

 最初は普通に苗字で呼んでいた。でも彼女は苗字で呼ばれることをあまり好ましく思わないらしく、半ば無理やり下の名前で呼ばされるようになったのだ。

 『不知火』、全く女の子らしくない名前だ。それでも初めて呼ぶ時はとてもドキドキした。ただ下の名前で呼ぶというだけの行為なのに、彼女との距離がグッと近付いたような錯覚に陥るくらいだった。

 そして真夜樫はいつの日からか、もっともっと彼女と近付きたいと思うようになっていた。

「不知火で良い、おとぎっち。だって」

 声が聞こえていないおとぎに不知火の言葉を伝えてあげた。

「あ、では不知火先輩と呼ばせていただきますね。それにしてもおとぎっち……。たまごっちみたいですね」

 不知火のあだ名付け癖を知らないおとぎはそう言って苦笑いを浮かべた。あだ名を良く付ける不知火だが、センスはあまりなかったりする。

「おとぎっちはハーフ? 金髪、碧眼きれい」

「金髪碧眼できれいだけどハーフなのかって。そう言えば俺も聞いたことなかった。勝手にハーフだって思ってたけど」

「あー、一応クォーターだったりします。日本生まれ日本育ちですが」

「クォーターパ○ンダー?」

「クォーターパウ○ダー? って首傾げてる」

「期間限定ハンバーガーじゃないです」

 不知火のボケか本気か分からない謎の質問をおとぎはスッパリと斬り捨てるのだった。流石のおとぎさんは不知火先輩にも容赦がなかった。

 不知火の表情に特に変化はなく、怒ったり気を悪くした様子もないが、なにやら目だけが静かにキラキラと輝いていた。それに加えて、小さく「侍……」という呟きが聞こえてきた。

 どうやら自分のボケを清々しく一刀両断するおとぎの姿に、侍のそれを見たようである。

「そういえば不知火も目、青っぽいよな?」

「そう?」

 不知火は真夜樫の顔を覗き込みながら瞳をパチパチさせた。鏡に自分の姿は映らないため、真夜樫の眼鏡のレンズを鏡代わりにしようとしているようだ。

 そんなに顔を近付けられたら恥ずかしくて堪らない。真夜樫の頬は一瞬にして真っ赤に染まる。

 このくらいのことで顔を赤くするなんて情けなさ過ぎる。真夜樫は二人に悟られないようにすぐに顔を逸らし、異様に高いテンションで言った。

「じゃ、じゃあ不知火も雲塚と同じクォーター○ウンダーなのかもな!」

 少し声が裏返ってしまい、おとぎにフッと鼻で笑われた。どうやらおとぎには何もかもお見通しのようだ。

「やった。お揃い」

 おとぎとは打って変わって、不知火は真夜樫の顔が真っ赤だとか、声が裏返っただとかは全く気にしていないらしい。表情の変化は相変わらず乏しいが、おとぎとお揃いかもしれないということが嬉しいらしく、何かのリズムに乗るように左右に揺れている。

「だから私、クォーターパウン○ーじゃありませんよー」

「お、そんなこと言って良いのか? 不知火がお揃いだって嬉しそうに左右に揺れてるぞ」

「え、えー。そ、そんな嬉しいんですか? な、何か照れちゃいますね」

 頭を掻きながら、えへへと照れくさそうにおとぎは笑う。そしてそのにこにこ笑顔のまま真夜樫から光の速さで眼鏡を奪い取った。

「お、おいっ! 勝手に!」

「不知火先輩! 早く記憶も体も元に戻れるように頑張りましょうね! 色々教えてもらいたいことがたくさんありますから!」

「あんなに怖がってた癖に薄情なやつだな」

 真夜樫が呆れたようにそう言った。別に呆れ以外の他の感情は含んではいない。別にこっちの先輩には何一つ聞かないのにねとか思っていない。聞かれても答えられる自信は皆無だ。

「だ、だって仕方ないじゃないですか。正体が分からなかったんだから。いつの間にか寒気もなくなりましたし……」

「あ、雲塚もなくなったんだ」

 あの寒気は得体の知れないものに対する恐怖から来るものだったのか。それともみんなに気付いてもらえない不知火の不安から来るものだったのか。はっきりとしたことは分からないが、真夜樫もおとぎももう寒気を感じることはなかった。

「それにしても、眼鏡って不便ですね。今まで掛けたことなかったんで邪魔で仕方ないです。でもこれからずっと眼鏡装備になるんで慣れなきゃですね」

 クイッとわざとらしく眼鏡を持ち上げながらおとぎは言った。彼女の視線は真夜樫ではなく何もない宙に向いている。

 いや、真夜樫には何もないように見えるが、きっとそこに不知火がいるのだろう。

「何も不便じゃないよ。雲塚がそれを俺に返してくれれば全て解決するからね。早く返して。じゃないと目の下のクマから恐ろしい悪魔を生み出してしまうかもしれない」

「さーて。そろそろ行きましょうか、不知火先輩!」

「スルーかよっ! ここに頑張って面白いこと言ってみた真夜樫先輩もいるんだぞっ!」

「あ、そのツッコミはなかなか面白いですよ、まやかし先輩」

「え、ホント? じゃ、じゃなくて! だーから、ま・や・が・し!」

 そんな風に生意気な後輩にからかわれ、置いていかれそうになりながら不知火の病室を出た。

 最後にベッドの上の不知火の顔をちらりと見ると、当然と言えば当然だが、未だに固く瞳を瞑ったままで目を覚ます気配は一つもなかった。

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