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「プロローグ」
彼女と交わした最後の言葉ははっきりと覚えている。というよりも彼女とはほとんど会話をしたことがなかったから、もしかしたら交わした言葉の全てを覚えているかもしれない。
彼女は最後にこう言った。
「どうしても行きたい場所がある」
いつものぼんやりした表情ではなく、とても真剣な眼差しで。
あの日自分が側にいれば、彼女はあんなことにはならなかったかもしれない。今でもいつものように自分の隣にいてくれたかもしれない。
でも今更後悔しても遅いのだ。
眠り姫は未だ夢の中