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ガーディアン  作者: soy
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ラズベリー

ラケシス目線です

村人が私の事を男だと思っていると、言うことに気が付いたのは隊長になってから二週間がたった頃だった


「隊長さん」

「どうか、なさいましたか?」

「なさいましたか?なんて、こんなおばちゃんにまで丁寧で貴族様は違うね!」

「あら、アディさん、貴族様だからじゃないよ!隊長さんは、紳士なんだよ!」


村のおばちゃん達に紳士だと言われて気が付いた

誤解だと言った方が良いのだろうか?


「ナヨッチョイのかと思ったら、野良仕事まで手伝ってくれるし、洗濯や買い物まで手伝ってくれるんだから女性の味方だよ」


野良仕事は、クライブの家族がやっていた仕事を手伝わせてもらっていたから楽しいし、洗濯や買い物もあまりやったことが無いからやれて楽しかったんだ


「あ、あの、私は早くに両親を亡くして、貴族の家に預けられましたが、皆さんと同じです、貴族ではありません、手伝いも楽しいのでやらせて下さい」


すると、おばちゃん達に素敵だと言われてしまった


「ラケシス様!お願いしたいことが!」


そこに現れたのはミスティだった


「おばちゃん達、ラケシス様借りて良い?」

「うちの息子連れてって良いよ」

「うちの孫も」


ミスティは困った顔をしておばちゃん達に言った


「ラケシス様しかできないの!」


そして私の方を見るとミスティは申し訳なさそうに言った


「実は今日ギースの誕生日で、あいつ、ラズベリーのパイが好きなんです…」


今はラズベリーの季節には少し過ぎてしまっている、っと言うことは、ミスティは私にラズベリーをならせてほしい、らしい


「相談してみないとわからないよ?」

「お願いできますか?助かります!」


私達の会話は奇っ怪だっただろう


「で、何処の木?」

「うちの庭の木だとばれてしまいますよね?ああ、リコリスおばちゃんの庭のラズベリーは甘くて美味しいよね!おばちゃんラズベリーの木、借りて良い?」

「うちの木はもう実が付いてないよ?」

「うん、ラケシス様が交渉してくれるから」


おばちゃん達は、?マークを飛ばしながらも、リコリスおばちゃんの庭までついてきた




私が庭に入ると、庭の精霊達の気配を感じる

私はラズベリーの木まで案内してもらうと、木の前に胡座をかいて座った

回りのおばちゃん達は地べたに直接座った私をまじまじと見ている


「こんにちは、私はラケシスと言います、少しお話しても良いかな?」


植物に宿る精霊は小さく弱いからたぶん、精霊の声も姿も見たり聞いたりはできないだろう

木の影から現れたラズベリーの木の精霊は可愛い少女の姿をしていた

ラズベリー色のフレアーなミニスカートドレスをまとっていた


「可愛らしいお嬢さんだね」

『精霊王の力を感じるわ』

「気まぐれから、愛されているらしいよ」

『話ってなにかしら』


私はなるべく優しい笑顔で話した


「じつは、私の友人が君の実らせるラズベリーがとても美味しいのだと教えてくれてね、少しわけて欲しいんだけど、無理かな?時季が過ぎてしまってるのはわかってるんだ!無理にとは、言わないよ」

『私が断ったらどうするの?』


精霊は上目使いに言った


「ラズベリーのパイをどうしても作りたいから、君が断るなら別の子に頼むしかないな」

『私が一番甘いのに?』

「君に無理をしてほしくない、来年まで我慢することになるけど、君が一番甘いのはその時に確かめさせてもらうしかないね」


精霊は怒ったように、頬をふくらました


『私が一番甘いの!味見は今して!』


精霊は目の前の枝に実を二粒実らせた


『味見よ!』


私はその二粒のうち一粒を摘まむと口に入れた


「ああ、これは美味しいね!これでパイを作ったら当分幸せでいられそうだ!」

『し、仕方ないわね!少しだけよ!』

「ありがとう、後でミルクを持ってきたら受け取ってくれる?」


精霊は少しだけ頬を赤らめて微笑んで消えた

木を見るとラズベリーがたくさん実をつけていた


「いっぱいだ」


少しって言ったのだけど、ツンデレだろうか?


「ラケシス様、いつの間にあんなタラシ文句を覚えて…」


私はそのまま後ろに倒れるように横になった


「昔、クライブに教わった」

「あいつ、殺す」


ミスティの目に殺意が宿る


「まあ、そのお陰で今、ラズベリーをわけてもらえたんだから許してやれ」


私は笑いながら起き上がると土をはらった


「ラケシス様、そんなに土だらけになって、もう少し年頃の女の子として、自覚を持っていただかないとアルト様に怒られてしまいますよ」

「アルト様には言わないで欲しいな~」


私は実った実を一粒摘まんで食べてフリーズした

回りのおばちゃん達が怖い顔をしていた

だ、騙すつもりはなかった、言うタイミングがなかっただけなのだ

そう、説明しようと思った


「隊長さん、女の子なのかい?」

「おばちゃん、何当たり前の事を…」


そこで、ミスティはおばちゃん達の怖い顔に気が付いた


「えっ?おばちゃん達顔が怖いよ!」


ミスティが思わず呟いた

同意見だが、口に出したらいけない


「隊長さんにミスティちゃん、ちょっとおばちゃん家来ようか?」


なぜかおばちゃんに両脇を固められ、引きずられるようにして家の中に連行されたのだった





外で人の声がした気がする


「ラケシス様~どこですか?あれ?リコリスばあちゃん家ラズベリーなってる?まさか?」


ほどなくして家のドアをノックする音が響いた

私は思わず叫んだ


「クライブ助けて~」


私の声とドアノブをがちゃがちゃいわせる音が響いた


「ラケシス様、えっ?ばあちゃん?ドア蹴破りますよ!」


家主が動くのが物凄く早かった


「副隊長!大人しくそこでまちんしゃい!隊長がどうなっても良いのかい?」

「えっ?ばあちゃん何してんの?ラケシス様に変なことしてないよね?」

「しちょらん、しちょらん」


私は悲しくなりながら言った


「してる~無理、もう無理、嫌だ、恥ずかしい~」


私の声にさいどドアノブががちゃがちゃいった


「ラケシス様!何されてんですか?」

「何って、えっ?嘘でしょ?無理!その方が無理!嫌だ!出たくない~着替えさせて、私の隊服返して~」


私はそのまま家から放り出された


「クライブ!見るな!」


叫んだところで遅かった

クライブと目が合う

私は恥ずかしさで、うずくまった

村のおばちゃん達は家の中に私を連れ込むと隊服を脱がし風呂に入れ、何だかよくわからないマッサージをされ、女物の服を着せられた

女物、数年前まで当たり前の格好、ここ、一年ばかり一度も着ていない

清潔かんのある白を貴重とした、青が差し色のワンピース腰のところに青いリボンがついている

ミスティは目を輝かせて、助けてくれる訳もなく私に、メイクをすると満足したようにラズベリーを摘んで帰っていった

おばちゃん達はアクセサリーに靴まで揃えて、かなり楽しそうに私を着せ替え人形のように遊んだ末にクライブの前につきだしたのだ


「見ないでって言ったのに~」


私は家のドアを叩いた


「お願いだから、私の隊服返して下さいお願いします~」


おばちゃん達は家の中でケラケラ笑いながら言った


「隊長さん、めちゃめちゃ可愛いお嬢ちゃんだったから力作すぎて、すぐになおされちゃうのは悲しいからよ~村一週してきたらどうだい?」

私は血の気が引いていく気がした


「ムリムリムリムリムリムリ」


そんな私の肩をクライブがポンポンと叩いた


「ラケシス様、ばあちゃん達は村一週しないと隊服返してくれないでしょうね」


私はクライブの方をむくと言った


「馬鹿!なんでそんな、嬉しそうなんだよ!」

「えっ?すみません、つい、昔のラケシス様を思い出してしまって………育ちましたね」


クライブの目線に私はクライブの顔面を殴った


「胸見ながら言うな!」

「痛たたたたた、いや、つい、」

「変わってない、お前は全然変わってない」


私はまた家のドアを叩いた


「せめて、サラシだけでも返して~」


中からは笑い声がきこえる


「せっかく、でっかいおっぱいもってんだからあんなもので潰しちゃいかん、形が悪くなる」

「形が変わっても良いから、返して~」


それに反応したのはクライブだった


「ラケシス様、駄目です、形が変わるとかマジで大事だから」


私はそのまま、クライブの腹に蹴りを入れた


「黙れ」

「ラケシス様ミスティに似てきた」


小さく何かを呟いて、苦しそうに腹を押さえるクライブが少し心配になる


「く、クライブ…だ、大丈夫?ムカついて変質者退治する時と同じように蹴っちゃったけど……クライブ?」


クライブは私の方に手をのばす

思わずクライブに近付くとクライブに抱えられた

お姫様抱っこ…昔クライブによくやってもらった……いやいやいやいや、子供がやってもらうそれとは違う気がする

フリーズする私に、クライブは笑顔を作った


「隊服返してもらえないなら、隊に戻って着替えれば良いですよ!」


悪魔の微笑みだと、思った


「い、嫌だ!辱しめられる~」


私が叫んだのを、合図のようにクライブが走り出した


「ヤダヤダヤダヤダ、クライブのアホ~」


私の叫び声だけが、悲しくこだました

クライブはラケシスが可愛くてご機嫌です


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